お願いします千織さんっ!こっち見てニコッてしてください!!   作:猫好きの餅

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おまたせしました。ちょっと新作の方にかかりきりになってしまった。遅れて申し訳ない。





千織さんの心配した顔が良すぎて昇天しそう

 

 

 

 

街中に2発の銃声が鳴り響く。

 

復讐を終えて姉妹が身を寄り添い合い、これからのことを話出す。その最中、母の好きだったレインボーローズが咲いたのを見てエンディングに入った。

 

 

 

 

 

「……カーットー!!…シーンも問題なし!終了だよっ!」

 

フリーナさんの声が聞こえて、俺は血糊を吐いて倒れる演技をしながら溜めていた息を吐いた。

 

事前にある程度打ち合わせしてたとはいえ結構疲れた。綾華とシュヴルーズ、めっちゃ本気で斬りかかってくるし……何回かガチで当たってるところあるし、ジンジンして痛い。

 

 

フリーナさんが興奮して姉妹役の2人に話しかけているのを尻目に、俺はゆっくりと身体を起き上がらせた。

 

結構な血糊を使ったから衣装と仮面が真っ赤だ。

 

とりあえず仮面を外して顔に垂れる血糊を拭いていると、横からタオルが差し出された。

 

「お疲れ様」

「……千織さん」

 

タオルを持ってきてくれたのはマイスィートヴィーナス千織さんだった。有難く頂いて手や顔の血糊を落としていると、視線を感じた。

 

見ると千織さんが俺を伺うような目で見てきている。

 

「えっと、どうかしました?」

「…結構動けたのね。前になにかやってたの?」

「…前にスタントマンをやっていた時期があるので、こういう演技は得意なんです」

 

もちろん嘘だ。ただそれがしっくりきたのか、千織さんはそれ以上何も聞かずに「とりあえずシャワーでも浴びてきなさい。顔真っ赤よ」と背中をぽんと叩いて撮影陣の方に戻って行った。

 

え、何今のっ!?つーか初めて身体触られた!?よっしゃ背中もう二度と洗わないと心に決めた。

 

 

 

 

 

「…クレイさん」

「ん、綾華もお疲れ様。怪我してないか?」

「え、ええ。身体は大丈夫です。………あ、貴方は一体…?」

 

まぁ、そう来ますよね。稲妻社奉行のご令嬢は剣の方も達者のようで太刀筋がめちゃくちゃ綺麗だった。だから何度が手加減し損ねたところがあったから心配だったんだ。

 

「元素を使ってないとはいえ…私の剣をあそこまで翻弄したのは貴方が初めてです。……過去になにかおやりになっていたのですか?」

「…あー、まぁちょっと色々合って公には言えないんだよ。後でシュヴルーズさんに聞いてくれ」

「む、いいのか話しても?」

 

意外、と言いたげな顔で見てくるシュヴルーズに頷きを返しておく。

 

「シュヴルーズは知っているのですか?」

「まあ、特巡隊ではかなり有名だな。後で教えるから他言無用で頼むぞ?」

「は、はいっ。……クレイさん、それではまた明日。今日はありがとうございました!」

「うん。またな」

 

去っていく綾華とシュヴルーズに手を振っていると、今度は横からつんつんと突っつかれる。なんだなんだと振り向くと目がキラキラの宵宮と旅人さんにパイモンちゃんが。

 

「クレイさんって、演技もいけるんやな!さっきの演技、めっちゃ凄かったで!」

「うん、シュヴルーズと綾華の攻撃を簡単にいなしてたし…演技じゃなくても戦えるの?」

「演技で戦うところは初めて見たけど、凄い緊迫感だったぞ!」

 

3人にわーわー詰められた俺は頬を引き攣らせて後ずさる。この数の質問に答えてたらさすがにボロを出しそうなので「あっ!血糊落とさないと!」と声を上げてそそくさとその場を後にした。

 

 

 

ーー影から俺に向かう視線に、気が付かない振りをしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血糊を落とした俺は、撮影道具の倉庫に向かう。さっき撮った場面が今日のラストってこともあって、俺が帰ってきた頃には全て片付けが終わっていた。

 

俺がここに来たのは、さっき貰った視線の主が何か動きそうだなと思ったから。

 

しばらく待っていると、倉庫の扉がゆっくりと開く。入ってきた人物に俺は横から声をかけた。

 

「こんばんは」

「ッ!?」

 

まさかこんな時間に中に人がいるなんてびっくりするよな。

 

俺の声にびっくりした、………道具係のベロニカさんは胸元を抑えて目を丸くする。

 

「……あ、あら。クレイさん?こんな時間にどうかしたんですか?」

「いやぁ、ちょっと忘れ物しちゃいまして。さっきやっと血糊を落として着替えて来れたんですよ。ベロニカさんは?」

「私も同じく忘れ物です。時間も時間ですし、さっさと忘れ物を取って帰りましょうか」

 

そう言い本当に忘れた着替えを取ると、横目でベロニカさんの方を見る。

 

ーーーやはり、彼女は忘れ物なんてしていなかった。それに彼女の纏う雰囲気から焦りと悔しさが見て取れる。多分、俺を警戒してるんだろうな。……裏の方面で。

 

試しに自分のちょっと雰囲気を暗殺者寄りに変えてみた。

 

「っ」

 

案の定、彼女の肩がビクリと跳ねる。

 

俺はそのまま彼女にゆっくりと近づく。何やら覚悟を決めたように唾を飲んだ様子で、懐に手を伸ばし……。

 

「じゃ、忘れ物を取りましたし、帰りますか」

「……っ、」

「どうかしました?」

 

俺はベロニカさんの横をすり抜け、照明のスイッチに手を掛けながら言う。それを見て、胸をなでおろした彼女は「…そうですね」と先に倉庫から出た。俺も照明を消してから外に出る。

 

俺が外に出ると、もうベロニカさんの姿はなかった。

 

 

 

 

「……やっぱクロか」

 

彼女が何を企てているかはわからないが、もしこの映影自体を壊そうというものならそれに協力してる千織さんのためにも、許す訳には行かないよな。

 

……懐に入る武器と言えば、ナイフ、もしくは短銃かな?

 

もしかしたら明日は少々面倒なことになるかもしれない。

 

「……これも俺が関わっちゃったからかな?」

 

俺のひとり言は、そのまま月夜に溶けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

 

 

 

「クレイさんっ!……すごい方だったのですね……!」

 

なんかファンが出来てた。

 

撮影場所に着いたら目がキラッキラの綾華に詰め寄られて後ずさりする。

 

「なぁシュヴルーズさん?絶対これ盛って話しただろっ?」

「む?いやそっくりそのまま事実を話したぞ?」

「それでそんなになるか……?」

「それだけ君の功績が大きいということさ。……ところで千織はそのことを知らないのか?」

「私がなんだって?」

 

突然横から声が聞こえたのでびっくりしながら振り返ると、腰に手を当てた千織さんの姿が。シンプルに疑問だったららしくて、こてんと首を傾げた姿が大変お可愛い。

 

「いや、昨日のクレイの演技は見ものだっただろう?ここまで演技ができたということを、千織は知っていたのか?と私が聞いていただけさ」

 

さすが特巡隊、咄嗟に本当っぽい嘘をついた。

 

「いや、私は知らなかったわよ。というか、千織屋以外のコイツのことはほとんど知らないわね」

「それでいいのか…?一応従業員だぞ?」

「ええ、毎日助かってるわよ?愛情表現が激しいのが傷だけど」

 

シュヴルーズさんが「いや、この人あの伝説の…」って凄い言いたそうにしてるけど、ほんとに抑えて欲しい。

 

「それに、貴方剣も使えるのね。今度相手になって貰おうかしら」

「絶対鬱憤の捌け口ですよねわかります」

 

そんな感じで話していると、監督とプロデューサーが来た。…お?初めて見る顔もいる。

 

「ああ、この人はモリスさん。元々この映影に資金の援助をしてくれていた人だ」

「あ、ああ。今回は見学させてもらう事になった。よろしく頼む」

「モリスさん、資金の方はお気になさらないで下さいね。映影はこうして無事に進んでいますので」

「…そうだな。ありがとう」

 

俺と千織さんは思わず顔を見合わせた。

 

「…なによ」

「いえ、俺がちょっと見張っときますね」

「…ほんと、察しだけは良いんだから」

 

なんかお互い信頼してるみたいな会話、凄い気持ちいいです。

 

多分、千織さんはこのモリスって人を警戒してるんだと思う。それには俺も同感だ。……何より、後ろのベロニカさんの雰囲気がガラリと変わったのがわかった。真っ直ぐにモリスさんを見つめる視線に乗った感情は、殺意。

 

こりゃ、一悶着ありそうだな。

 

俺は増えた悩みの種にため息を吐きながら、裏方作業に順次するのだった。

 

 

 

 

 

 

特に問題もなく撮影が終わり、打ち上げをすることに。川辺で椅子を広げて軽い宴会みたいになってる。

 

「千織さん、ちょっと俺倉庫に忘れ物したんで、行ってきますね」

「…ええ。……何するの?」

「隊長さんがなんか始めるみたいですよ?」

 

俺は昼間のうちにシュヴルーズさんがら計画を話された。ちなみに彼女は今この場にはおらず、この後登場する予定だ。

 

「…あ、モリスさんっ、ちょいと倉庫に置いてある花火運ぶの手伝ってくれへん?」

「わ、私がか?」

 

宵宮が動いた。俺は先に倉庫の中に入って待機してある。

 

その後、手筈どおり倉庫の中にモリスを誘導し、銃声を響かせる。振り向いたモリスは倒れた宵宮と、それを跨いで煙を上げる銃を向けたシュヴルーズが視界に入り、一気に青ざめた。引き戸を一生懸命押して開けようとしてる辺りかなり焦っている。

 

俺はモリスではなく奥から見守っているもう1人の視線に注視した。

 

シュヴルーズが銃を向けながらモリスを追い詰めていく。色々否定の言葉を並べていたモリスだが、容赦の欠片もないシュヴルーズの射撃音によって、腰が抜けてしまっていた。

 

「特巡隊長シュヴルーズ、貴様をエリサ殺害の罪で逮捕する」

 

呆然とするモリスを他所にカメラを持ったパイモンが出てきた。

 

演技だとわかり、モリスが溜めていた息を吐いたところで。

 

「…チッ!」

 

俺の後ろから舌打ちがした次の瞬間、銃声と共にモリスに飛んできた鉛玉をシュヴルーズが銃身で防いだ。

 

「同じく貴様もだ。道具係ベロニカ」

「…くっ」

 

彼女を包囲するように俺と旅人が姿を現す。それに反応して、彼女はモリスにではなく俺に向かって銃を向けた。

 

「銃を下ろせッ!」

「お断りよ。…そのゲスは逮捕されるからまだいいとして…貴方だけは確実に…!」

「随分と高く買われてるな俺」

 

ベロニカは俺の眉間に銃を向けながら言う。

 

「貴方が来てから私の計画はめちゃくちゃよ。まさか"本物"が紛れ込んでいるなんてね…」

「銃を下ろせと言った!腕の1本くらい撃ち抜くぞ」

「ふっ、やれるものなら、……やってみなさいっ!」

 

ベロニカはおもむろに真横に銃を向けた。その射線上には宵宮と、その後ろに演出用の火薬と花火……ッ、まずいっ!

 

「宵宮ッ!!」

「ッ!やめてっ!」

 

旅人の声が響くのと、俺が風の神の目を着けて宵宮に向かって翔ぶのは同時だった。直後に銃声。

 

俺は、宵宮を抱えて何とか身をひねった。何かが腕を掠めると同時にそこが熱した鉄棒を当てられたように熱くなる。そして銃弾は火薬の塊に直撃し、眩い光を放ち始めた。

 

俺は抱えた宵宮が怪我をしないように、火薬の方に背中を向け、鼓膜が破れないように彼女の耳を塞いだ。神の目の風を俺の背中方面に集中させ、残りは宵宮の体を包んで少しでもダメージを軽くしようとする。

 

 

 

ーーー轟音。

 

 

直後、倉庫の一角が跡形もなく吹き飛ばされた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ドォォン!!

 

 

 

「…ッ!?…何っ!?」

 

椅子に座って川を眺めていた千織は、突如響き渡った轟音に椅子を蹴立てる勢いで振り向いた。

 

見ると、倉庫の半分が吹き飛んでもうもうと黒煙を上げ、直後爆発の衝撃波が千織の服を激しく揺らす。

 

「なっ、何事だいっ!?」

「わからないわっ!とりあえず消火をっ!みんなは!?」

「倉庫の中に入っていったはずですっ!行きましょうッ!」

 

綾華が霜風を飛ばして爆煙を一気に払う。フリーナが神の目を光らせて、水元素で生物を形作るのを尻目に、千織は倉庫に近づいた。すると、爆発の反対側から何人か飛び出てくる。旅人にパイモン、シュヴルーズに気絶したモリスとベロニカが一緒だ。

 

「…みんな、無事!?一体何があったの!?」

「こいつが撃った銃が火薬に引火したんだ!…って、そうだ!クレイと宵宮がっ!」

「っ!」

 

建物が吹き飛ぶ程を爆発だ。それを聞いた千織の額に冷たい汗が流れる。旅人の話によると、爆発の直前にクレイが宵宮を庇ったそうだ。

 

 倉庫を回り込んで2人を探すと、少し離れたところに2人が折り重なるように倒れていた。

 

 全員で駆け寄る。

 

「ちょっとっ!大丈夫っ!?宵宮血だらけじゃないっ!」

「……う、うちは無事や。……でもっ!クレイさんがっ!」

「っ、クレイっ!」

「クレイさんっ!」

「…ッ、これはっ…」

 

宵宮を庇ったらしいクレイの状態は、誰が見ても酷いものだった。

 

まず、爆発で飛んできた木材の破片が背中に刺さっている。銃弾が腕を掠め、頭も負傷したようで額から血が流れ、臓器にも何かがあったのか吐血もしていた。宵宮にかかっている血が全て彼の血だと理解した千織は自分の身体から血の気が引くのを感じる。

 

「と、とりあえず応急処置をっ!」

「き、キズが深すぎますっ!とてもこの場所では…ッ!」

「くっ…!」

 

せめて倉庫の作戦の時に自分がいれば。

 

そうまとわりつく後悔を振り払った千織は、クレイを運ぼうと手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

…ヤバい。

 

何がやばいって、ほんとやばい。

 

 

 

 

 

ーーーカラコン外れた。

 

ここで目を開けると諸々全部バレる。俺は目を閉じながら痛む身体を確認する。

 

右腕に銃弾のかすり傷。それに頭切ってるしなんか背中に刺さってるなこれ。庇った後に気がついたけどベロニカはそもそも宵宮を狙ってなかった。恐らく壁に脱出用の爆薬でも仕込んでいたんだろ。ただそれが花火に誘爆してこんな規模になったみたいだ。自分から当たりに行ってるとかまぁまぁマヌケだな。

 

「……ぅ、…ん、く、…クレイ…さん?」

 

俺の腕の中の宵宮が身動ぎして、か細い声を出した。どうやら無事だったようだ。宵宮の声を聞く感じ、結構ヤバめの怪我みたいだ。

 

少しそのまま横たわっていると、何人かが駆け寄ってきた様な足音が聞こえる。

 

「ちょっとっ!大丈夫っ!?…宵宮っ、血だらけじゃないっ」

「……う、うちは無事や。……でもっ!クレイさんがっ!」

「っ、クレイっ!」

「クレイさんっ!」

「…ッ、これはっ…」

 

そして、みんなの息を飲む音。背中に破片が刺さってるからか横向きに寝かせられる。

 

「こ、これ、全部クレイの…」

「フリーナっ、治療できるっ?」

「歌い手ッ!」

 

フリーナ様の水元素を浴びて少し楽になった。俺は、瞳の虹彩を見られ無い程度に薄目を開けると、ガバリと起き上がる。

 

「くっ、クレイ!」

「シュヴルーズ、ちょっと俺ん家行ってアレ持ってきてくれ。ここから近いからさ」

「っ、ああ、わかった!」

 

事情を知っているシュヴルーズに軽く俺の目を示しながらいうと察してくれたのか、走り去っていった。家の場所とかは多分向こうが調べるだろ。俺は痛みを堪えて立ち上がった。

 

「ちょっと、大人しくしてなさいっ!」

「…心配してくれるんですか?千織さん」

「バカッ、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ?」

「そうですっ!ひとまず横になって下さい!病院に連れていきますからっ」

「…大丈夫。…フリーナ様、ありがとうございました。あとば自分で治しますんで」

「な、治すってどうやって…そんな酷い傷…」

 

俺は少しみんなから離れると、背中の破片を引っこ抜く。

 

「…ってぇな」

「ちょっと、そんなことしたらっ」

 

当然、血が割とシャレにならない勢いで流れ始め、女性陣から悲鳴が上がるが、俺は風の神の目を力を行使した。みんな俺が神の目を持っているのに今気がついたようで、目線が腰に集中する。

 

俺は風を糸のようにすると傷口に巻き付けた。血が吹き出ても空気の壁で押し返すイメージ。

 

俺は応急処置が完了すると首を鳴らして身体の異常を調べる。まぁ、これくらいの傷は別に問題じゃない。みんなが俺に駆け寄って心配をしてくれているのをむず痒く思っていると、シュヴルーズさんが戻ってきた。

 

「……クレイ、取ってきたぞ」

「ありがとうございます」

「…コンタクト?なんで今なの?」

「ああ、俺これがないと殆ど何も見えないんですよね」

 

流れるように嘘をついてその場でカラコンを付ける。一応ここまでは薄目でお送りしたので多分バレないと思いたい。

 

コンタクトをつけて、周りを見るとそれぞれ安心と心配が半々の顔をしてた。…あーあ、宵宮血だらけじゃんか、俺の。

 

「宵宮、怪我なかったか?」

「う、うちは無事や。…その、…ほんまにありがとうな。庇ってくれて…」

「無事なら良かった。……そういえばベロニカとモリスは?」

「ああ、あの2人なら爆発のショックで気絶している。逃げ出す心配はないさ」

「……そうですか。……っと」

 

さすがに血が足らないか。最初飛ばされた場所を見るとまあまあの大きさの血溜まりが出来てた。よろけた俺を千織さんが支えてくれる。

 

「ちょっと、大丈夫なの?」

「…おぉ、まさか千織さんと急接近できるとは」

「…大丈夫そうね」

 

どうやら俺の強がりだとバレてるみたいだ。

 

千織さんは俺の腕を自分の首に回す。

 

「とりあえず、コイツは病院に連れて行ってくるわ。宵宮も一応検査を受けた方がいいかもね」

「せやな、そうさせてもらうわ」

「僕たちは警察隊を待つよ。打ち上げはまた今度、改めてしよう」

「ええ、エローフェ。千織屋に行って宵宮とクレイの着替えを待ってきてくれない?」

「わかりました」

「わ、(わたくし)は…」

「綾華は、綾人に伝えて来て?また明日千織屋に来てくれればこれからの事は伝えられるから」

「オイラ達も、病院に着いていくぞ!」

「わかったわ。旅人、ちょっと手伝ってくれない?」

「うん」

 

 全員が頷き、それぞれ動き出す。もう片方の腕も旅人に支えられた俺はそのまま少しずつ病院に向かうのだった。

 

 

「……なんか、すみません」

「謝らないで。貴方がいなかったら宵宮は危なかったわ」

「私からも、友達を助けてくれてありがとう」

 

左右から聞こえた優しい声に安堵しながらも、俺の意識は少しずつ暗闇に沈んで行った。

 

 

つか、千織さんの心配した顔マジ可愛かったな。永久保存っと。

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