本日は俺………いや私か……私が生まれてから十回目の誕生日である。
今からちょうど五年前の誕生日に前世の自我が復活しましたんだが……私は鏡を見てびっくりしたのは良い思いでだ。
何せ性別が反転して、容姿が前髪に一筋の白髪のメッシュが入った両儀式さんだったのだ。
いやね………私は確かに《直死の魔眼》を頼んだのだけれども、なにも女の子、ましてや両儀式になりたいとは言ってないんだよね。
まぁ、元々嫌いじゃないキャラだし、性別にしても前世と同じ性別で必ずしも産まれるなんて確証もない。
それに不細工に産まれるよりも何千倍も良いと言うか恵まれているのだ。
さて話は変わるが、私の産まれた奴良家は世間一般的に言う所の極道だ。
まぁ、私の容姿の元ネタになった両儀式の家も極道だったからそれは良しとしようか。だが、その構成員が問題だ。
奴良組はその全てが人外で構成されているのだ。
「お嬢!!何処に行かれたのですか!?」
「くっ……頭の放浪癖が遺伝したのか」
『探せ!!でないと俺達が奥様にお仕置きされる』
「もう能力を使いこなしているのか?お嬢は?」
私を探して屋敷内や奴良組のシマ中を魑魅魍魎の妖達が駆け回っている。
私はそれを《万物の選択》で空気を選択し座り込みながら空の上から眺めている。
そして満月の夜の元に一人で甘酒をちびちびと飲んで月見酒をしていた。
そして、私が望んだチートではないが父様から遺伝により受け継いだ私のチートに比肩する能力、《認識をずらす程度の能力》も使用して更に見付けにくくしている。
何故か奴良組の妖怪達は能力を東方風の言い回しをする事が多いんだよね。
「はぁ………美味しい。この体がこんなに幼くなかったら本当の酒で月見酒と洒落混むのになぁ……」
「あら?流石雅ね。その年で風流を理解しているなんて」
「ん?」
俺の横からここに要るはずの無い母親である奴良縁の声が聞こえた。
油の切れた機械のようにギギギと音が出そうな鈍い動作で横を見てみる。すると何故かの東方projectのスキマ妖怪みたいに空間の裂け目から体を出している母様が居た。
何故そんな事が出来るかと言うと母様もスキマ妖怪だからだ。
母様が父様と添い遂げる為に妖怪になったらスキマ妖怪になっていたらしい。と言っても一か八かの大勝負だったらしいけど……。
そして、この世界にも幻想郷は存在する。
だから同じ種族で名前の読みが同じ紫さんとは母様は親友の間柄なのだ。
去年の年の瀬に珍しく遊びに来て会った記憶が有るのだが何処か胡散臭い印象だった。
「かかか母様!?」
「ダメよ、雅。いくら宴が面倒でも脱け出すのはね。
………良いこと?貴方は奴良組の二代目になるの。
あなたを思って全国から訪れた奴良組の傘下達の好意を無下にしてはいけない。それが上に立つものの務めなの」
目が笑っていない笑みを浮かべ母様は優しく説教してくる。
そして、母様の一言一言が見に染みてちょっと泣きたくなる。
私は精神的にはまだまだ子供なのだ。正直、全国に門下が存在する極道のトップになる事の責任が重すぎて現実逃避気味だ。
だけども私の存在が思った以上に重要なものだと言う事は理解しているつもりだ。
「はい………。っ!?」
「あら、この感覚は……魔法ね。それも異世界のかなりの高度な。大方、次元の違う世界に干渉する魔法ね」
私が反省の意を示して母様が満足げな表情で私を見ているとき膨大な妖力とは違った力を感じ取った。
どうやら、すぐ近くの様だ。
「雅、行きなさい。貴女はもう自分の力を把握してるわね?いざとなったら逃げればいいわ。私も居るし、どうも危険は無さそうだしね」
「え?ちょっ!?」
私はいきなり現れたスキマの中に放り込まれ例の魔術が発動した場所に落とされた。
「いてて………っ!?大丈夫!?」
「ううぅぅ………」
私の目の前には血溜まりの中に倒れている私よりも二歳ぐらい年上に見える赤い騎士と言った装いで赤褐色の髪を持つ少女が居た。
あれ?この子って髪の色が違うけどアルトリアが現実に居たらこんな感じになりそうだよね?
「お母さん………お父様………ごめんなさい………約束守れなかったよ………」
「え?うそ?」
血塗れの少女は私の目の前で息を引き取った。
私は始めて人の死を目の当たりにした。
でも、感性が変化したからかそれを見てもそれほど精神的に感じなかった。
……もしかしたら、殺すことにも躊躇することも無いのだろう。でも、それは妖怪としての私だ。僅かに残ってる人間としての『俺』の心が痛いほどに悲鳴を上げていた。
「そうだよね、『俺』。………目の前で………関係の無い人間が死ぬのを黙って見てられるほど前世で人間できちゃいなかったんだよ!!」
私が産まれた際に護り刀としてとある大妖怪から贈られた刀、天生牙を鞘から引き抜く。
すると、視界が切り替わり目の前の少女に小鬼ぽい何かが纏わり付いていた。
これが天生牙の力で死を具現化させた姿。私はそれにありったけの妖気を刀に叩き込み、死その物である小鬼みたいな何かを斬り消失させた。
「うっ………ここは?」
「はぁはぁ………大丈夫ですか?」
少女を見事に蘇生する事に成功した私は息が上げながらもしっかりと少女に問題がないかざっと調べる。
よし、死を覆し全てを癒す天生牙の効果で外傷はなし。呼吸も正常だから多分大丈夫。
「……君は?えっと………貴女が私を助けてくれたのですか?」
「そうだよ。私は大妖怪ぬらりひょんの娘の奴良雅。貴女は?」
「えっと………私はアリシア・
ん?この子の名前………ミドルネームが衛宮?それにペンドラゴン?まさかだとは思うけど………ちょっと確認してみるか。
「ねぇ………アリシア?あなたのご両親ってアーサー王と錬鉄の魔術師って言われてなかった?」
「え……な、なんで知ってるの?!」
「いやね……私、前世の記憶が有るんだ。で、前世で君の両親を中心とした一大ジャンルが有ったんだよ。正確に言えばFate/Stay nightって言うゲームなんだけどね」
「……まさか雅も転生者って奴なの?」
「そうだね。もしかして転生者に嫌な思いででもあるの?」
「うぅん、違うよ。私と同じ立場の人と初めて会ったから驚いてる」
「じゃあ、あなたもなんだ……いやいや、まさかこんなところで他の並行世界の転生者に出会えるなんてね。ようこそ、ハイスクールD×Dの世界に」
「えぇ……ハイスクールD×Dとか………厄介な世界に来たものね」
「ちなみに今は江戸時代です」
「………原作開始まで少なくとも300年近くはあるんだ………。でもこれからどうしようかな?」
「行く所が無いなら私の所に来ればいい。その代わり、私の部下と言う名の盟友になってもらうけどね。そろそろ、一人ぐらい私の直属の幹部を見付けろって父様がうるさいんだよね」
「一門なしで居るよりはましか……不束者ですがよろしくお願いね」
これがこれから先、私にとってかけがえのない存在となるアリシアとの出会いだった。