突然だが、皆様は人体実験をどう思っているだろうか?
おそらく多くの方たちは、人体実験に対してよい印象を抱いていないだろう。
それが当たり前だ。倫理的にありえない、そう考えて当然だ。
しかし、この学園都市においてはそれはよく起きている。
学生たちが何の変哲もない日常を過ごしている裏で
何も知らない子供たちが実験によってその儚い命を散らしているのだ。
とあるビルの一室に顔の左に刺青を入れた強面の男性が、ソファーに凭れ掛かっている。
そこへ白衣を着た暗い茶髪の女性が入り込んでくる。
「あ”?なんだぁ?研究室から出てくるたぁ~珍しいなコモリ野郎」
「網に獲物が掛かったのでね、本格的に動き始めようかと思って...相似はいないんですか?」
女性は誰かを探しているようで、目の前の男に探し人の居場所を尋ねる。
「知らねぇなぁ~、どっかの研究所にでもいんじゃねぇか?」
「そうですか、それは残念。できれば彼の実験資料が欲しかったんですけど...」
女性は少し残念そうにしてその部屋を後にしようとする。
「資料?なんのだ、物に寄っちゃ俺も持ってるかもしれねぇぞ」
「え?あぁ、そうですねぇ...暗闇の五月計画の資料あります?」
「あぁ...ここにゃねぇな」
男の返答に「そうですか」と軽く返事をした後、扉を開けて部屋を出ようとしたところ
「そういやぁ~、獲物ってのは誰のことなんだ?第一位か?それとも第二位か?」
男の質問に女性は不敵な笑みを浮かべながら答える。
「第三位ですよ♪」
「ショータ、次はあっち行きたい!」
「おい、勝手に走って行くな!」
「今度はあっち」
「だから、待てって!」
ただ買い物しに来ただけなのに、なんでこんなに疲れなきゃいけないんだ?
てか、すばしっこすぎだろ!これだから子供は...
「マジで待てって、買うわけでもねぇのに店ん中入んのは迷惑になるだろ?」
あれからしばらく追っかけっこをした俺は、捕まえた杏沙に説教を垂れていた。
「ごめん」
杏沙はしょぼくれた様に椅子に座り込んでいる。
その様子を見て反省しただろうと思った俺は、そこらで説教をやめる。
「わかったならいいんだ。さて、今からお前の服と今日のご飯を買いに行くぞ」
「う、うん!」
それからしばらくして、買い物を終えた俺たちは寮へと向かっていた。
誰かと何かをするのがこんなにも疲れることとは...
前世ではボッチを極め、社会に出てからも友人と呼べる人すら作れなかった俺からしたら初めての経験だ。
まぁ、童女を友とカウントしていいのかは疑問だが...
「今日の晩飯はカレーだ」
「カレー?」
カレーを知らないのか、首を傾げて不思議そうにこちらを見ている。
「カレー知らねぇの?」
「うん」
「マジか」
まさか実験に使われている
だとしたらとんでもねぇな
「カレーはなぁ、黒っぽい茶色のもんに肉や野菜がゴロゴロと入ったのを米と一緒に食べる料理だ」
「よくわからないけど、おいしそう」
本当に知らねぇんだなぁ...普段何食ってたんだ?」
「いつも食べてたのはすっごく硬い四角い棒みたいな奴と、なんかねちゃねちゃした物体」
「なんだよそれ、ほんとに食事か?...ん?俺今声に出てたのか?」
「うん、出てた」
気付かぬうちに心の声が漏れていたのか、恥ずいな
「料理らしいもんは一切口付けてこなかったってか、ひでぇもんだな」
ほんと、実験てのは何処まで行ってのクソみたいなのしかねぇな。
そんなことを思っていた時
グゥ~...
と小さな音が聞こえてきた。
俺は音が鳴った方へ眼をやると、そこには当然杏沙がいて、顔を真っ赤にしている。
「晩飯の話したら腹減ったか?」
俺がそう聞くと杏沙は静かにうなずく。
今日の晩飯用とこれからの食料は買ったけど、昼飯は用意してないなぁ
と思った俺は近くのファミレスに向かった。
ファミレスに着いたとたん杏沙はいろんなメニューを注文しだしてびっくりした。
「そんなにお腹すいてたのか?」と聞くと小さく「うん」とだけ返事して注文を頼んでいる。
俺はその間に飲み物でも取ってくるかと思い、しばらく席を外した。
「ショータは優しいな...」
私はメニュー表を棚に戻し、席を立ったショータの背中を眺める。
私に悪意のない、純粋な心配の感情を向けてくれる初めての人。
私の能力、「
その能力で悪感情が感知できないのなら、彼は私に悪意を抱いていないことになる。
今まで出会った人はみんな、私に対してやまた別の誰かに対しての悪意を持って接してきた。
道行く先で出会う人たち全員がそんな人たちばかりだったから、悪意を感じたらいつでも対処できるよう身構えてたけど
彼なら心配はいらなさそうだ。
そう考えながら、私は料理が運ばれてくるのを待っている。
今までとは違う、いつも夢に見ていた日常的な生活に心を躍らせていた。
「おや、貴方のそんな顔は初めて見ますね?彼との接触がいい刺激になりましたかねぇ?」
突然後ろから声がする。
振り返るとそこには白衣を着た女性と
全く悪意を感じなかった、悪意どころか気配さえも...
「紫月 杏沙さん、一緒に来てもらいますね?」
私はすぐに席を立ち、外に向かって逃げ出る。
しかし、外にも待機していたようで逃げ場は何処にもなかった。
呼吸が荒くなり、動悸も激しくなり始める。
どうすればいいのかが判らなくなる。
「おや?逃げるのはもうおしまいですか?でしたら、おとなしくつかまっていただきますねぇ」
「誰がッ!」
この女をどうにかしさえすれば、ここから逃げれる。
そう思い、すぐさま行動に移す。
私は能力を最大限使う。
私は他の精神系とは違い他人に対する干渉は不得手だ。
しかし、対象を一人に絞ればある程度の干渉もできる。
私は目の前に立つ白衣の女に対して最大出力の精神干渉を行う。
しかし、白衣の女は先ほどと変わらない笑みを浮かべたままこちらを見つめ続けている。
「私に対して精神干渉を行おうとしたのでしょう?」
干渉が効いていない、
「あなたは今、どうして干渉が効いていないのか?と考えているでしょう。
何簡単ですよ、私の周囲には微弱な電磁波によるバリアのを張っていましてね?
それで
マジックの種を明かす見たいに説明を行った彼女を睨みつけながら、私は次の対策を考える。
精神干渉が効かないなら直接攻撃をして...
「よそ見、厳禁ですよ?」
瞬間、後頭部に強い衝撃が走る。
しまった、パニックになっていたからとはいえ、周囲への警戒を怠っていた。
視界がかすむ、意識が...遠く...
紫月 杏沙の確保はこれで終わり...と行きたいところですが、どうやらそうはいかないみたいですねぇ~
ほぉ~ら、出てきた。
ファミレスの自動ドアが開き、制服を着た男子学生が出てくる。
「おい、これは一体何のつもりだ?
「なんの?あぁ、紫月 杏沙ですか?それでしたらご心配なく。
少し気を失っているだけですから、命に別状は...」
「そういうんじゃねぇよ」
私の言葉を遮り、怒気を孕んだ言葉をぶつけてくる。
不味いですねぇ...このままだと確実に戦闘が起こる。
それはいいんですが、現状我々は彼に対しての対処がまともにできるほどの装備がないんですよねぇ...
とりあえず、逃げるためにも彼らに囮になってもらいましょうか
「やっちゃってくださいね?」
虚ろな目をしながら正義正義とつぶやくだけの人形どもをけしかけ
私は背後に控えている車に捕獲対象とともに逃げ込み、車を発進する。
ファミレス前の通りから爆発音が聞こえてくるが、問題はないだろう。
彼はそう簡単には死なないし、誰かを殺すこともできないでしょうからね。
都市の闇の一端を理解していながら暗部に落ちず、だからといってありきたりな日常生活を送るわけでもない。中途半端な
その気になれば学園都市程度簡単に潰せてしまうだろうに、そんな力を積極的に使おうとしないのは諦観故か?それとも...
木原...奴が何でここに居んだ?
いや、そんなのよりもまずは杏沙を連れ戻さないとな
俺は能力を展開し、目の前から襲い来る
一人が爆弾を投げつけてくるが、俺に爆風は飛んでこない。
別の奴が閃光弾を投げつけてくるが、無意味だ。
俺の周囲には常に微小の反物質が展開されている。
これらはすべて半自動的に俺に対して及ぶ害を打ち消してくれる。
これにより、俺に対してまともにダメージを与えられない。
といっても、俺の演算ありきの事象だから俺の処理速度を超えると突破されるけど
まぁ、そんな攻撃レーザービームみたいな攻撃しかねぇと思うけど
科学的に言うならレールガンかな?
...なんか寒気が、気のせいか?
まぁ...つまり、物理法則に則った世界で俺に勝てる奴はほとんどいない。
実際、今バカスカと銃弾撃ち込まれてるけど、消える方が早いせいで俺に届いてないし
届きもしない攻撃を続けてはいっちょ前に正義がどうの言いやがって...
童女誘拐は正義なんですかねぇ!?えぇ!!
「いい加減面倒になって来たな」
ちょっと本気出すか、少しばかり周り壊れるけど...こいつらしつこいし、仕方ないよね?
「知ってるか?」
俺は大声で叫ぶ
「対消滅ってのは、本来物質の質量がそのままエネルギーに換算されるんだ。
けど、その一部をえ~っと、ニュートリノだったか?っていうのが奪っちまうから本来の質量分のエネルギーが出なくなっちまうらしいんだ」
俺は大きめの反物質を創り出し、地面に目掛けて放つ。
「でもな?俺の能力下でならその制限を無視できるんだよ」
次の瞬間、通りに大爆発が起きた。
次回
とある科学の反物質
第5話:計画γ
皆様、お久しぶりです。
始まって間もないこんな作品に評価がついてうれしいけど、こんな高い評価貰ってもいいのかな?って思う気持ちがある中
もっと評価くれ―!!コメントくれ―!!となっている悲しき承認欲求モンスターな私がいる作者です。
前回の投稿からまたしても1週間ほどたちましての投稿になりますが、いかがだったでしょうか?
私としては戦闘描写入れたかったけど、まともな戦闘描写が思いつかなくて(能力的にも)、結果として主人公がただ暴れてるだけの描写ができてしまった...
原作開始前の彼の物語もいよいよ中盤に差し掛かってきました。
彼は杏沙を救うことができるのか?それとも悲劇的な結末を迎えるのか?
それはまだ先のお話。
次回の更新は結構遅めになりそうです(学期末が近いので忙しくなります)
それではまた次回~