VSシュウメイ。楽しんでいただけると幸いです。
スター団の女子生徒フルーと男子生徒アキルドに連れられ東3番エリアの北までモトトカゲに乗せられてやってきた俺は、蟲ポケモンが多く生息する魅惑の森だった。
「なんだここは天国か!?お前たちのアジト、いいところだな!」
「おうよ!ここがどく組チームシーのアジト、しるしの木立ちだ」
「なんか違う意味で天国言ってる気もするけど……あたしたちの天国さね!」
そう言いながら案内されたのは、しるしの木立ちの景観を損なうことなく、むしろ共存するかのように設営されたバリケードとテント群。見張りのスター団にことわって入った先のひときわ大きいテントの前に、二人は案内する。
「シュウメイさん!スター団に入りたい生徒が現れました!」
「うむ、今参るでござる」
するとテントの上から錐揉み回転しながら宙返りしてきたのは、紫色の忍者装束を身に付けた人物だった。自分の性別は女のはずなんだが、男心にくすぐる格好だ。
「我はシュウメイ。スター団どく組チームシーのボスでござる。見ない顔でござるが……転入生でござるかな?」
「ラウラだ。俺は記憶喪失でな。それを取り戻すきっかけになるんじゃないかと、保護してくれたネモ…生徒会長の伝手で入れてもらった。まあ、俺は異端だったらしいがな」
そう語ると、唯一露出している顔の一部から見える眉を顰めるシュウメイ。生徒会長はスター団からしたら目の上のたんこぶだろうからな。
「その恩人の生徒会長を頼らずスター団に入ろうとするのは何故でござるか。見れば
「いいや、これは俺の信念の問題だ。記憶を失ってもなお、譲れないものがあった」
「ほほう。譲れないもの。わかるでござるよ。我にもあるでござる。して、それを聞かせてもらってもよろしいでござるか?」
そう言われ、俺は姿勢を正して手持ちのポケモン……マメバッタとタマンチュラを繰り出し頭と肩に乗せて宣言する。この場のスター団全員に聞こえるように声を張り上げる。
「諸君!俺は蟲が好きだ!蟲ポケモンが好きだ!愛している!だからこの愛を以て証明する!蟲ポケモンは!かっこよくて!かわいくて!美しくて!最高で!最強なのだと!俺はスター団に入って、証明してみせる!蟲ポケモンこそ綺羅星の様に輝くポケモン界のスターだと!」
「「「「「うおおおおおおおおおっ!!」」」」」
徹夜でなんかしてたらしく寝不足気味だったスター団の面々が、声を上げて盛り上がってくれる。俺の思想が理解されたかはわからないが、熱意は伝わったらしい。
「ふむ。ではその蟲ポケモンの凄さとやらを見せてもらうでござる。我もまだ育て初めのポケモンを使う故」
「スター団のボスってからには強いんだろ?相手に取って不足なしだ!」
「おう!頑張れラウラー!」
「私たちは応援してるさねー!」
アキルドとフルーが応援してくれている中で、1VS1でシュウメイとの対決が始まった。
▽スター団どく組の シュウメイが 勝負を しかけてきた!
「……シュウメイ!推して参る!!ベトベター!」
「マメバッタ!頼むぞ!」
手裏剣みたいなボールを投げたシュウメイはベトベター。俺はマメバッタ。相性はどっこいどっこいと言ったところか。トレーナーの指示ですべてが決まる対面だ。
「“とびつく”攻撃!」
「我がポイズンにて蝕んでくれよう。ベトベター!“
マメバッタのとびつきは、ベトベターの下から持ち上げるようにして放出されたヘドロによって押し流されてしまう。このまま触れていれば毒状態になるのは必至だ。それに何が厄介かって、一瞬どんな技かわからない指示をしてくることだ。このベトベター、シュウメイにだいぶ鍛えられていると見た。
「“こうそくいどう”で離脱しろ!」
「逃がさないでござるよ!“
「“にどげり”で迎撃しろ!」
ベトベターの手から投擲された手裏剣状のヘドロを蹴り落とすマメバッタ。防戦一方だ、じり貧か。こちらから仕掛けるしか、ない!
「〝にどげり”!」
「卑怯と言ってくれるなよ?〝
「なに!?」
シュルシュルシュル、とその身を縮めて草の影に隠れてマメバッタの蹴りを回避するベトベター。ちいさくなるは、回避率を二段階上昇させるという強力な技だが。デメリットもある。まず小さくなった分、単純に移動距離が増えること。せっかく姿を隠せても攻撃したら居場所がばれること。そして何より体積の差から、物理的なダメージを一発でも受けたら終わりだという諸刃の剣だということだ。
「見つければ俺の勝ちだ…!」
「だがそう簡単に行かぬとわかっているでござろう!?ボス仲間に同じポケモンを使う男がいるから知っているでござるよ。マメバッタの脅威はそのスピード!ならばそれを封じるのみ!連続で〝
「マメバッタ!?〝こうそくいどう”で逃れるんだ!」
次々と、泥の手裏剣がマメバッタに炸裂していく。マッドショット、当てた相手の素早さを一段階下げるじめんタイプの特殊技。厄介極まりないが、それはこうそくいどうで素早さをぐーんと上げることでカバーする。だが、手裏剣状にしているためか弧を描いて飛んでくるため居場所を捉えるのは困難だ。このままじゃ、負ける。
「我らスター団ボスはスター団を纏めあげ引っ張ってゆかねばならぬ者!生半可な強さじゃ勤まらないでござるよ!」
「そうらしい、ジムリーダーと紛う実力だ……だが、負けない。蟲の強さを証明するために、俺はこんなところで負けられねえ…!」
「だがテラスタルも持たないユーが!なにができるでござる!?」
「小細工ならできるぞ!〝フェイント”だマメバッタ!」
フェイント。まもる、みきりなどの防御状態を解除させながら攻撃できる、先制技。ちいさくなるという状態を、防御状態だと解釈して、発動。その場でマメバッタが脚を鋭く動かすことで、動き続けていたベトベターが怯んで動きが止まることで、強制的に解除させる。
「なんと!?」
「とどめだ!マメバッタ、〝とびつく”!」
マメバッタより一回り小さくなっていたベトベターにとびつき、押しつぶすマメバッタ。ベトベターは元のサイズに戻り、眼を回して崩れ落ちる。俺達の、勝ちだ。
「なんと……フェイントをそう使うとは……完敗でござる」
「工夫すればどんなポケモンにだって勝てる。蟲ポケモンの可能性は無限大だ!」
この場のスター団全員に見せつけた。蟲ポケモンの可能性を。スター団のボスですら倒せるという可能性を。少なくとも、ここではもうなめられない。
「ユーの強さ……一介の下っ端にしておくのはもったいないでござるな……スター団では強さは絶対。もしスター団でないものに挑まれれば勝負を受けねばならず、負ければボスをやめなければいけない掟……ユーがスター団に入ってなければ、その掟に従うしかないほどの強さでござった」
「そんなことないぞ?まだまだだ、蟲ポケモンも育てていかないといけない」
「いや、これは他のボスの面々にも聞いてからになるが……ラウラ殿。ボスの立場、興味ないでござるか?」
「なんだって?」
「正気ですかシュウメイさん!?」
「たしかにラウラ、ボスの方々に負けない強さでしたけど……」
シュウメイの提案に、目を白黒させる俺と、疑問の声を上げるアキルドとフルー。するとシュウメイは人差し指を立てながら続けた。
「スター団は道を見失いかけているでござる。マジボス殿が戻るまでスター団は存続させねばならない……纏める人間が、もっと必要でござる。新しい風を吹かせて、スター団をよりよいものとする。そう思って故でござるよ。もちろん、他のボスを認めさせなければならないでござるが」
「……ボスか。それならなめられることもなくなるし、蟲ポケモンを布教もできるな。いいぞ、やってやる。スター団ボスとやらになってやろうじゃないか!」
ネモに悪いと思いつつ、俺はその提案を承諾するのだった。そのためにも、仲間を増やさなければな。二体じゃ心もとない。
ポケ蟲スカーレットで出てきたベトベトンの進化前となります。こっちは手裏剣使い。
・マメバッタ♂
とくせい:むしのしらせ
わざ:とびつく
にどげり
フェイント
こうそくいどう
もちもの:なし
備考:むじゃきな性格。ちょっぴりみえっぱり。気絶していたラウラに寄り添いそのまま仲間になったポケモン。ヤンキー気質でかまってちゃん。今作の相棒。定位置は頭の上。
・タマンチュラ♀
とくせい:はりこみ
わざ:とおせんぼう
カウンター
いとをはく
むしのていこう
もちもの:なし
備考:のんきな性格。物音に敏感。コサジの小道で捕獲されたポケモン。のんびりやでどっしりと構えて戦う。ラウラの肩が定位置。
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