フルーとアキルドを置いてシュウメイに連れられ、大きなテントの中に入るとちょっとした生活空間と、なんかでっかい車みたいななにか、そしてパソコンが置いてあった。シュウメイは手慣れた動きでパソコンを操作すると、四分割された映像が映し出される。電子機械が使える忍者……?
《「どうしたんだい?シュウメイ」》
《「くだらない理由だったら燃やす」》
《「俺の作った簡単パソコン活用している様でよかったよ」》
《「後ろの子、誰?シュウメイくん」》
「スター団ボスの皆の衆。御無沙汰でござるな。」
上からツンツンと尖った黒髪に白い帽子を被ったDJ風の服装の男、頭頂部は黄色く染めていて炎の様なオレンジがかった赤色の髪をした紫色のリップの女性、ピンクを基調とした高貴な雰囲気の衣装を身に着けた桃色の髪の少年、悪役レスラーを彷彿とさせる鬼めいたメイクを施した顔の人物……声からして恐らく女子……がモニターに表示される。
「この者はラウラ殿。うちのチームシーに入ったスター団の新入りなのでござる」
「どうも、ラウラだ。愛している蟲ポケモンを馬鹿にしたらぶっ飛ばす。記憶喪失で、グレープアカデミーの転入生だ。今日登校したんだが問題起こしてスター団に拾われた」
《「待て待て待て待て。ツッコミどころ多すぎぃ!」》
《「かなりファンキーな新入りだね」》
《「てか記憶喪失なのか……大変だな」》
《「自己紹介に入れるぐらい蟲ポケモンを愛してるんだね……」》
自己紹介すると面白いぐらいに反応が返ってきた。こいつら好きだ俺。
「それで物は相談なのでござるが……彼女を、新たなボスにしてみるのはいかがかな?と」
《「は?シュウメイ本気?マジボスも知らない奴を、ボスにだって?」
《「本気で言ってんのか、シュウメイ」》
《「確かに掟によればボスを増やしちゃならないってことはないし、シュウメイにも何か考えがあるんだろうけど……」》
《「どういうことなのか、説明してもらえるかな?」》
四者四様とでもいうのか、皆我が強い。誰かがリーダーってわけじゃなく、本当に同じ位のボスたちなんだなと理解できる。
「ははっ、部下にも同じことを言われたでござる。冗談ではござらぬよ。皆も気づいているでござろう?スター団は道を見失いかけている。マジボス殿が戻るまでスター団は存続させねばならない、だけども末端の独断行動でスター団の評判は悪くなる一方でござる」
《「……続けて」》
「……纏める人間が、もっと必要でござる。新しい風を吹かせて、スター団をよりよいものとする。そのために………まだ登校初日で悪評がそこまで広がっていない彼女をスター団の顔役に、広報にするのでござるよ」
「おい聞いてないが」
「今言ったでござるからな?」
広報なのは聞いてないぞ。いや別に目立つのは良いが、ポケチューバ―みたいなものになれっていうのか。
《「なるほど。確かに俺たちじゃ無理だね。でもスター団ってだけで忌避する人間もいるんじゃない?」》
「最初はラウラ殿の好みである蟲ポケモンの解説とかどうでござろう?彼女の蟲ポケモン愛は我に勝つほど、本物でござる。その熱意を見せて悪い人間ではない、と証明したところでスター団の実態を紹介する動画も作る、とかどうでござろう?そのためにも、彼女にはスター団でも上の立場……つまりボスの座につかせたいのでござる」
ピンク髪の問いかけにそう答えるシュウメイ。なるほどなあ。
《「言いたいことは分かった。バトルの腕もシュウメイが認めたんだからすごいんだろうな。だけど、広報はともかくボスだと認めるのは俺たち四人を納得させたら、とかどうかな?」》
《「確かにな。私たちを納得させることができたら、ボスになってもいいだろ」》
《「贔屓目なしで……そうだな、ジムリーダーのジムミッションみたいな感じでお題を出すとかどうかな」》
《「いいねそれ!それを乗り越えたら私たちと戦って、勝てたらボス!それならタナカちゃんもみんなも納得してくれるよ」》
「……そりゃ、中々厳しい条件だな?だけど、蟲ポケモンのよさを広めるのも、いい奴らなお前たちのよさを広めるのも、むしろやってみたい。俺でよければ、やらせてくれ」
#ラウラの蟲かごチャンネル
【初配信】初めまして、スター団広報担当です。それはそうと蟲ポケモンの良さを語りたい【ラウラ】
「お疲れ様でスター!スター団新入りのラウラだ!今日は蟲ポケモンの良さを伝えようと思うぞ!今回はアイアントの巣の解説だ!」
〈待て待て待て待て〉
〈どうせ釣りでしょ〉
〈スター団なのに蟲ポケモンの良さを伝えたいとかもうわかんねえな〉
〈パルデアにいない蟲ポケモンの解説で草〉
俺なりの戦いを始めようじゃないか。スター団もリスナーも全員蟲の沼に落としてやるよ!
こちらの世界では一足先にポケチューバ―化。スター団広報担当、新入りのラウラです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。