初めまして。私の名はオーマジオウ。最低最悪の魔王である」
玉座に座る金と黒の男は成二に語りかける。
「魔王だと?いったい何が起こってるんだよ」
「お前が今しがた使っていたライダーたちの力はもうじきなくなる」
成二の言葉を遮り男は続ける。
「終焉の導き手としての役割を与えられたお前が手にしていなければいけない力だ」
「その力を取り戻すためにお前は9つの世界を回り仮面ライダーたちと出会え」
「なんでそんなこと・・・?」
「お前もまた“仮面ライダー”だからだ」
「仮面ライダー・・・?」
「悪いがあまり説明できる時間もない」
男にノイズのようなものが見え始めその姿が徐々に見えずらくなる。
「お前ならいずれ理解するだろう。己がなぜ旅をし、なぜ戦うのか・・・」
ノイズが徐々に大きくなり、男の姿が見えなくなっていった。
気付くと成二は食堂の厨房の前に立っていた。
「あれ?帰ってたのか?ドアの音したか?」
厨房からでてきた蓮次は少し驚きながら成二に声をかける。
「あ、ああ。ちょっと騒動に巻き込まれてな」
「ところで後ろのそいつは?」
蓮次は成二の後ろを指さす。
「え?そいつ?」
振り向くと成二の後ろに白いドレスを着たあの少女が立っていた。
「あ!おまえ!さっきのはなんだ⁉なんか知ってるんだろ?」
成二は少女に詰め寄りながら問いかける。少女は無表情で答える。
「わからない。記憶があいまいだから。」
「ならなんであいつらのこと知ってんだよ!」
淡白な答えに納得いかずまた問いかける。
「わからない。知識はあるけど記憶が結びついてない」
「なんなんだよお前!」
「まあまあ成二落ち着けって。よくわからんがほんとに覚えてないみたいだしさ」
蓮次が仲裁に割って入る。
「で、この子誰?」
「よくわからん怪物に襲われてたよくわからん奴だ」
「なんだそれ」
要領を得ない蓮次に成二は街であったことを説明する。
「なるほどな。よくわからんのは変わらんが状況は分かった」
蓮次は難しい顔で状況を理解しようとしている。
「あと私も今日からここに住むことにした」
「はぁ⁉勝手言うな!ただでさえ訳分かんねぇ状況に加えて記憶喪失のよくわからん奴の世話までしろってか?」
「あの怪物達を知っていた“記憶“があなたと一緒に居るべきだと言ってる。だからここに住む」
成二をじっと見つめながら少女は続ける。
「あと、私はおまえでもよくわからん奴でもない。フユカって名前がある。それは覚えてる」
突然店の外から爆音が鳴り響いた。三人は慌てて店を出る。
店を出ると一体の怪人が街を破壊していた。
「お前の話は後回しだ。とりあえずあれ止めるぞ」
成二は変身し走り出した。
「ドーパント・・・?メモリは風都にしか流通してないはず・・・?」
「まさか⁉」
フユカは振り返り街並みを見渡す。
「なぁ・・・店の前ってこんな景色だっけ・・・?」
釣られて周りを見渡した蓮次が呟く。
そこから見える景色は蓮次の見慣れたものではなくいたるところに風車が見え、遠くには巨大な風車のような建物、風都タワーが建っている。
「ダブルの世界・・・すでに世界を渡っていた・・・」
困惑する二人のもとに突風が吹く。
すると街並みの向こうから二人の男が歩いてくるのが見えてきた。
「なんだ?」
謎の二人組は蓮次とフユカのそばまで来ると二人に語りかける。
「おい、ケガしたくなきゃ下がってろ。」
黒のハットをかぶった男はぶっきらぼうに言う。
「ショウ、あいつだドーパントと戦っている」
もう片方のパーカーを着た男はハットの男に伝える。
「とりあえずドーパントから片づけるぞ。」
そういうと二人はガイアメモリを取り出し、ハットの男がドライバーを装着する。
『変身』
パーカーの男はメモリをドライバーに差すと突然倒れこんだ。
「サイクロン!ジョーカー!」
ハットの男は仮面ライダーへと変身した。
「大丈夫か⁉」
倒れた男に蓮次が駆け寄った。
「そいつ持って下がってろ」
蓮次にそういうと仮面ライダーは走り出しトゥエンティと戦っているドーパントに飛び蹴りした。
「なんだ⁉あれ?」
「仮面ライダーダブル。相棒の意識と共に戦う、風都を守る戦士」
男を引きずりながら聞いた蓮次にフユカが答える。
蹴りを受け吹っ飛んだドーパントにダブルは畳みかける。
「悪いが速攻だ」
「今回のメインは君じゃないんだ」
ダブルはハットの男とパーカーの男の声で話すとドライバーから黒のメモリを抜き、右腰のマキシマムスロットに装填する。
「ジョーカー!マキシマムドライブ!」
ダブルの体が風と共に宙に浮き、左右に分割された体でキックを繰り出す。
『ジョーカーエクストリーム!』
必殺キックを食らったドーパントは爆散し人間の姿になりその身体からガイアメモリが排出され砕けた。
「人間?」
蓮次は驚きそうこぼす。
「ドーパントは地球の記憶から生み出されたガイアメモリを使用して怪人に姿を変えた犯罪者。中身はなんの変哲もない人間よ」
その疑問にフユカは淡々と答える。
「それで、次はおまえだ。トゥエンド」
ダブルはトゥエンドに向き直り襲い掛かる。
「おい!なにすんだよ!」
突然の攻撃に驚きながらトゥエンドも応戦する
「ふむ、格闘戦では決め手に欠ける。ショウ!」
「はいはい」
パーカーの男の声での助言でダブルはドライバーのバックルを閉じ、黒のメモリを抜き、銀色のメモリに差し替える。
「サイクロン!メタル!」
ダブルの左半身が黒から銀に変化に背中に棒状の専用武器メタルシャフトが生成される。
ハーフチェンジしたダブルの風の乗った素早い棒術は素手のトゥエンドより間合いで優っており決め手にはならないものの拮抗していた戦況を有利にしていた。
「よし、このまま押し切るぞ」
優位を取ったことを確信したダブルは赤いメモリを取り出し今度は緑のメモリと入れ替える。
「ヒート!メタル!」
ダブルの右半身が緑から赤に変わりその攻撃に熱が加わる。
「くそっ、だったら!」
トゥエンドは腰のカードホルダーだったライドブッカーを取り出し、ソードモードに変形させ応戦する。
「やられっぱなしでいられるかよ」
ATTACKRIDE! SLASH!
カードを読み込ませたことでライドブッカーの刀身が分身し威力を底上げする。思わぬ反撃にダブルは怯み驚く。
「ショウ!距離を取れ!」
パーカーの男の声が叫ぶとダブルはまたメモリを取り出しハーフチェンジする。
「ヒート!トリガー!」
今度は左半身が青に変わり、生成された専用銃トリガーマグナムをすかさず撃つ。
「ぐっ!」
放たれた火炎弾を食らうトゥエンドだったがダブルもまたその反動で後ろに下がった。
「やっぱりむやみに使う技じゃないな」
ダブルはまたメモリを取り出しハーフチェンジする。
「ルナ!トリガー!」
右半身が黄色に変わりトリガーマグナムを構える。
「今度は打ち合いか?相手になるぜ」
ライドブッカーをガンモードにしトゥエンドもダブルに向けて構える。
「相手にできるか?」
そう言いながら銃撃戦が開始されるがダブルの光弾は遮蔽物を避けてトゥエンドに向かっていく。
ATTACKRIDE! BLAST!
負けじとトゥエンドも分身した銃口で応戦する。
「絡め手は効いてんな。このまま決めるぜ」
ダブルはまた黒のメモリを取り出しハーフチェンジする。
ルナ!ジョーカー!
銃撃でひるんだトゥエンドに伸びる手足で追撃を仕掛ける。
「絡め手がそっちだけと思うなよ」
攻撃をいなしながらカードを読み込む。
ATTACKRIDE!ILLUSION!
トゥエンドの姿が六つに増えそれぞれがダブルに攻撃する。突然の多角的な攻撃にダブルも苦戦し始める。
「これで決まりだ」
トゥエンドの一人が必殺技のカードを取り出しバックルにセットしようとする。
「待って!」
しかし突然フユカの声が響きその動きを止めた。
「攻撃を防いで優位に立ったんだから十分よ!それにこれ以上戦う必要はない!」
フユカは続けて叫ぶ。
「だってあなたたちどちらも仮面ライダーなんだから!」
フユカの言葉にダブルははっとする。
「仮面・・・ライダー?」
ハットの男の声が呟く。
「なぁこいつ本当に危険なのか?仕掛けたのはこっちだし害意があるように思えない」
「だが僕の検索では・・・!いやよそう。他人の考えや感情には僕より君の方が敏感だ」
パーカーの男の声が答える。
「とにかく勝負はここまでだ。こっちも聞きたいことがある。幸いうちの前だ。中で話そう」
変身を解いた成二が食堂を親指で差す。
「だな。こっちが想定してたより単純な話でもなさそうだ」
変身を解いたハットの男は成二に付いていく。
「あいた!」
声の方を向くと蓮次とパーカーの男が顎と頭を押さえうずくまっていた。どうやら倒れた体を抱えていた蓮次の顎に目を覚ましたパーカーの男が突然起き上がりぶつかったようだ。
「すまない・・・今度から目覚めた時の周囲の環境もよく把握するようにするよ・・・」
To be continued…
長くなったので前後編に分けようと思います