陰の実力者は聖杯戦争に巻き込まれて!   作:リゼロッテ

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お久しぶりです。エピローグ含めて残り2話くらいになると思います。難産続きで申し訳ありません


21話 過去と現在の果てに未来がある

 

「──女、今一度問おう。貴様が剣を取ったのは何故だ?」

 

シャドウの問いかけは的確にセイバーの突かれたくない箇所を正確に抉り出す。それでもセイバーは言葉を出し絞る。

 

「──私は国を救いたかった。多くの人に笑っていて欲しかった。例え私が人の身を辞めようとも私は……」

 

そこにあったのは純粋な願いだった。理想の為、自らを捨てて国の為に邁進したセイバー。例え裏切られ、疎まれることになったとしても。

 

「──その理想のために剣を取った貴様に今更何を悔いることがある? 人の身を捨てたのであれば貴様に悔いる資格などない」

 

シャドウはセイバーに向けていた剣を振り下ろすと共に魔力と怒気が少しずつ強くなっていく。

 

「──貴様は自ら孤高の道を選んだ。遥かな高みを目指す者に友は必要ない。──そもそも、友であったかのすら疑わしいがな」

 

「──! 貴様……! 円卓を、我が盟友を愚弄するのか!?」

 

「──始めは憧れだった。だが根底にあったのは願いだった。例えそれが夢想だと笑われようと、そうなる日まで夢を追い続けた。周りがどれだけ変わろうとも──貴様が聖杯に託す願いはその決意の否定、信念の否定だ」

 

「──貴様の在り方も願いも理解できん。やはり貴様の王道は淡すぎる。そんな揺らいだ信念も覚悟も覇王には相応しくない!」

 

シャドウは口を閉じると同時にセイバーへ向け剣を突き立て突進。セイバーも剣で応戦し、お互いの剣と剣の摩擦音が無人の地下駐車場に響いた。

 

英霊随一の剣術を持つ騎士王と陰の実力者になるため、極限まで己を鍛えた狂気の男。

互いの剣は会話をするようにぶつかり合う。

 

「──貴様に何が分かる!?私の無念が、嘆きが、悲しみの深さが!」

 

「くだらんな。選定をやり直した先にはハッピーエンドが待っているとでも? そんな都合の良い現実は存在しない!」

 

「私は国を導きたかった! 誰もが笑える幸せな国にしたかった! 私が……この剣を抜いた、せいで……」

 

「貴様が剣を取って救えぬ国ならば、誰が取っても同じことだ。──世界にはどれだけ願っても叶わぬことがある。叶わぬから人はその夢を見続ける。──できれば夢見る少女であった頃の自由な貴様に会いたかった」

 

シャドウはそう言って一歩引くと車に向かって走り出し、剣で車を持ち上げるとセイバーに対して投げつける。仮にも地下駐車場であるこの場に車があるのは必然なのだが、一瞬の虚を突かれたセイバーは避けるのではなく、車を叩き斬ってしまった。

 

シャドウは真っ二つに割れた車の隙間から飛び出すようにセイバーに接近し、蹴りを繰り出す。セイバーは僅かに生まれた隙から蹴りをまともに食らい、後方へと吹っ飛ばされた。

 

そんな攻防が幾許か続く。もはや二人の間に語ることはないと言わんばかりに距離を取り、二人は構えを取る。

 

セイバーの剣が実体化し左手が輝く。光の粒子がセイバーに集まり、痛々しいほどに光り輝く。

 

光の集束・加速で運動量を増大させ、光の断層による究極の斬撃。魔力の消費量も威力も桁違いの一撃が放つ態勢へと移った。

 

シャドウのその様をニヤリと見つめると自身もまた剣を振り上げ、魔力を込める。螺旋を描くように剣に集約し、刀身には紋様が浮かぶ。

 

「──美しい光だ。気高い光だ。そして痛ましい光だ。貴様の結末の果て、我が最強と渡り合えるか見ものだな」

 

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!

 

 

夜天を征くは我が紫紺の原子(アイ・アム・アトミック)…!

 

 

互いの宝具が正面から衝突し、拮抗状態が生まれる。強烈な光と闇の激突はその余波を逃すように天へと昇華していく。当然その衝撃波は天井を突き破って施設の外まで解き放たれる。

 

それは即ち、互いの宝具は互角であることを表していた。とはいえマスターの援護の無い状況下で連打の難しい二人の切り札が拮抗したのはある意味で決着を長引かせた。

 

 

 

 

「──どうした。来ないのか、騎士王」

 

シャドウが挑発すればセイバーは距離を詰めて応戦し、互いの剣と剣がぶつかり合う。火花が散り、外から入ってくる月の明かりだけが二人を照らし出している。

 

 

 

──────

 

 

 

二人の男が対峙していた。二人の一致する特徴を挙げるとすれば互いの目にハイライトが無いこと。そして歪んだ価値観を持っている人殺しだということ。

 

一人は衛宮切嗣。恒久的世界平和を聖杯に願う暗殺者。

 

もう一人は言峰綺礼。聖職者でありながら聖職者にあるまじき歪みを抱えた外道。

 

衛宮切嗣の顔に笑みはない。眼前の言峰綺礼という男に嫌悪感と殺意を滲み出す。

 

逆に言峰綺礼は自身のロサリオに軽く口付けをして不敵な笑みを浮かべている。

 

切嗣が銃を抜き、綺礼は黒鍵を構える。

両者の沈黙と緊張が破裂するその刹那──

 

───壁が壊れる音。何かが砕けその空間を侵すように瓦礫が吹き飛ぶ光景が見える。

 

セイバーとシャドウの戦闘の余波が流れ込み、二人の男は虚を突かれる。

 

 

「──あれ?神父さんじゃん」

 

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シャドウの宝具は精密な魔力操作の技だと思って下さい。リカバリーだろうとオールレンジだろうとサーヴァントの規格内ではアイ・アム・アトミックで統一される設定です。
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