陰の実力者は聖杯戦争に巻き込まれて!   作:リゼロッテ

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3話 陰の実力者は冬木市を練り歩きたくて!

 

マスターとの秘密?の会議が終わった後、ぼくは外の街を歩くことにした。転生する前の国も日本だったけど、時代も世界線も違うなら見て回るのも悪くない。それに裏では聖杯戦争が行われてるなんて微塵も思ってないこの街を堂々と練り歩くのも中々乙だよね。

 

聖杯戦争の舞台となるのは冬木市。豊かな自然に古くからの街並みと近代的な街並みを併せ持つ地方都市だ。早くから諸外国に開かれていたこともあり、多くの魔術師が移住してきている。質の良い霊脈と極東の島国という立地から聖杯戦争の舞台に選ばれたのだ。

 

そんな地でシャドウがしていることといえば、買い食いである。地味で目立たない一般モブを装いつつ、その土地の名物を食べ歩く。

これはシャドウが転生した後の世界でもやっていたことだ。陰の実力者としてのインスピレーションを働かせつつ、街を歩いて情報を得る、しっかり考えているのだ。

 

 

 

あくまで良い方向に拡大解釈すればの話だが

 

 

 

シャドウが街を歩いていると、この街、あるいはこの国では異色な2人組がショッピングを楽しんでいた。

 

1人は銀色に靡く美しい髪と西洋的で玲瓏な美貌の貴婦人であるアイリスフィール・フォン・アインツベルン。

 

もう1人はタキシードスーツに身を包んだ騎士を思わせる金髪の少女、顔付きからは凛々しさと可愛らしさを感じさせるアルトリア・ペンドラゴン。

 

(うわあ凄い2人組だなあ、物語から飛び出してきたみたいに綺麗だけど……完全に周りの背景から浮いてるし目立ちまくってるなぁ。敢えて目立って獲物を誘き出す作戦かなあ)

 

シャドウは遠目から2人の様子を眺めながら思想に耽っていた。陰の実力者的に見れば彼女はネームドキャラであり、今後の聖杯戦争という演劇の良き登場人物でもあるのだ。

 

(でもあの2人はマスターとサーヴァントじゃないよね、魔力の繋がりは感じないし。そもそもあの銀髪の人は人間かどうかも怪しいし)

 

場違いな空気を醸し出す2人の視界に入らないようにそそくさとその場を去るシャドウであった。

 

場所を変えて冬木市のビルの屋上から街を見下ろすシャドウは高いところから俯瞰して世界を眺めるのが好きだったりする。陰の実力者らしいからだ。

 

そんなことをしていると、視界の中にサーヴァントの反応を捉えた。整った容姿と立ち振る舞いは正に騎士を思わせ、毅然とした態度からもそれは窺い知れた。そのサーヴァントは自らをアピールするかのように街を練り歩いていた。まるで囮として獲物を誘き出すかのように。

 

(こんな真っ昼間から変装もせずに姿を現すなんて美的センスに欠ける!ただ女難の相を感じるなあ、あれは無自覚に女の子をその気にさせるだけさせておいて「実は違います」的なことを悪気なくやるタイプだと、ぼくの中のモブ魂が告げている)

 

てことは女の子漁りでもしてるのかな。

じゃあ変装しても仕方ないよね、サーヴァントとして生前出来なかったことをやろうとするのはまあ悪いことじゃないし、精々楽しみなよイケメンくん。

 

 

こんなことがありながらも、時間は確実に過ぎて行く。

 

日は落ち、夜の帳が降りると空気が一段も二段もピリピリする。

 

夜、それは月が光を照らす漆黒の時間。

人々が寝静まり、明日を、朝を待つこの時間。

 

聖杯戦争は始まりを迎える。

 

 

 

「──バーサーカーはどうするんだ?」

 

シャドウのマスターである雁夜が問いかける

 

シャドウは家で1番良い部屋で窓を開け、ワインを片手に月を見つめていた。何故かって?陰の実力者っぽいからだ。

 

「街を探索したが、港のコンテナ倉庫で戦いのプロローグが奏でられるらしい」

 

「コンテナ倉庫か……確かにあそこなら一般人の目も無いし、開幕の一戦にはお誂え向きだ」

 

「そこへ行こう。プレリュードは我が奏でよう」

 

「──そうか、分かった。俺は隠れてるよ、正直援護とかはできそうに無い」

 

「案ずるな、見つからないように下水道にでも身を隠せ」

 

「下水道か……分かった。それと開幕戦といったが、どうやらアサシンが倒されたらしい。やったのはアーチャーだそうだ」

 

 

「………なんだと……? それは……本当なのか……?」

 

ワインを持つ手が雁夜からは見えない角度で震える。

 

「あぁ本当だ、アサシンのマスターが教会に保護を求めている、間違いない」

 

(アサシン!陰に潜み、標的を音も無く倒す。

決して表には出ないけど、歴史の陰に彼らが居た!陰の実力者としてここまでお膳立てされたクラスは無い!絶対生きてるはずだ。

「倒されたのは数ある内の最弱の1人」みたいなお約束を守ってくれるに違いない!)

 

「──目に映るものだけを信じるのは禁物だ。真実とは容易く隠すことができる」

 

「──よく分からないが、お前が言うのなら警戒しておこう……」

 

 

夜の帳は落ち切った。

プロローグの旋律が夜を鮮やかに彩るだろう。

 





短くてすみません。次話から戦闘をします
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