推しの子 ルビーちゃん大勝利√   作:ルビーちゃん可愛いやったー!

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第3話 せんせと私はラブラブ!!

 

 お互いの正体が分かったアクアとルビーは大人たちの目を盗んでは現状の再認識をしていた。そして……

 

「えへへ、せーんせ!」

「なに? さりなちゃん」

「なんでもな~い!」

「うわ、いきなり抱きつかないで」

 

 アクアの正体を知ったルビーはアクアに甘え倒していた。少し前まで気持ち悪いおっさん扱いをしていたのが嘘のようである。いきなり抱きつくと、バランスを崩して自分の頭の重さで倒れてしまうにも関わらず、ルビーは何度も繰り返していた。

 

「むー、せんせは私と再会できて嬉しくないの!? ぎゅーって抱きしめてよ!」

「いや、再会出来たのは嬉しいけど……もう何回目?」

「何回でもして欲しいの!」

 

 奇跡が起きて、前世で夢にまで見たアイドルの子供として生まれた。しかも、双子の兄は前世で恋い焦がれた先生となれば興奮しないわけがなく、ルビーはずっとハイテンションだった。

 

「せんせ、分かってる?」

「えっ? なにが?」

 

 その興奮を共有できないのがもどかしいのか、ルビーは大きく手を広げ、手振りを交えながら興奮しながらアクアに言った。

 

「死に別れた恋人同士が転生して、双子として生まれ変わって再会する……こんなの少女漫画でもないドキドキの展開だよ!」

「いや、少女漫画でそういう展開がないのは普通は兄妹同士で恋愛関係駄目だからだと思うんだけど」

「えっ? 普通にあるよ。なんならエッチな関係になるよ!」

「少女漫画って今、そんなの普通にやってたりするの!?」

「近親◯姦は一代までなら大丈夫なんだって!」

「誰!? そんな事を言うような漫画を小中学生の目に入るようなものに載せるの許可した人!?」

 

 少し前まで、お互いにアイのキモオタだと思っていたが、兄妹のような関係……ルビーからすれば恋人の関係に戻った二人はお互いに前世での関係と同じか、それ以上に親密な関係に戻っていた。

 

 そんなじゃれ合いをしていた二人だったが、ルビーが話題を変え、聞きたい事があると言い出した。転生をしているという事は死んでいるという事に他ならない。なにがあったのかを聞きたかった。

 

「せんせはさ。そういえばなんで死んじゃったの?」

「あ~、話せば長くなるんだけど……」

 

 アクアは雨宮吾郎時代の話をする。病院に勤めていたら偶々、アイが妊娠した状態で病院に来たこと。アイドルの仕事を続けつつ産みたいと言ったこと。それに力を貸そうとしたこと。順調にアイの出産予定日まで過ごせた事。そして、アイのストーカーらしき男を追いかけて死んでしまった事。

 

「そうだったんだ……」

 

 少し前までの興奮した様子からうって変わったルビーの頭を撫でる。

 

「まあ、こうやってアイも無事に赤ちゃん産めて、さりなちゃんとも再会出来たんだ。むしろ殺してくれた事に感謝してるくらいだから気にしないで」

 

 ルビーからしてみれば頭が良くて優しいイケメンの医者でお金持ちで女の子にモテモテな勝ち組人生を歩んでいたせんせが、そんなものよりも自分との再会の方が嬉しいと言って愛してくれている。そんな認識をしているのだがアクアは気がついていなかったし、自覚は無かった。

 

 自分への愛の深さを実感してにやけを抑えられないルビーは再度アクアに抱きついた。

 

「せんせ……大好き!」

「うわ、だからいきなり抱きつかないで!」

 

 揉み合いになったような格好になっても抱きつくルビーに苦笑していたアクアだったが、ルビーのある一言で顔を引きつらせる事になる。

 

「でも、心配だな……」

「えっ? なにが?」

「だってさ。アイは偽名とか使って隠していたはずなのに、出産の予定日を知ってるようなヤバいストーカーがまだ居るって事でしょ?」

 

 

 *****

 

 side:アクア

 

「だってさ。アイは偽名とか使って隠していたはずなのに、出産の予定日を知ってるようなヤバいストーカーががまだ居るって事でしょ?」

 

 さりなちゃんのその言葉に俺ははっとなった。

 

 アイの出産日なんてものを知っているのはアイと斉藤社長。そして俺だけだ。この中の誰かがストーカーに情報を漏らした可能性が高い。そして、多分、それはアイだ。

 

 もちろん、病院の人間がアイに気がついてストーカーに売ったとか、社長が零した可能性だって無くはない。だが、病院の人間でそんな事をするような人間が居るかと言われると思い当たらないし、もしアイに危害があれば情報経路を絶対に調べられる。リスクがあまりに釣り合わない。

 

 斉藤社長も稼ぎ頭でアイが居ないとどうにもならないからこそ、こうやって隠蔽している。出産予定日なんてものを口を滑らせるとは思わない。

 

 消去法でアイになる。

 

 もちろん、流したのはストーカーじゃない。おそらく俺たちの父親に知らせて、それを横流しされた。その可能性が高い。

 

 それに心当たりがある。

 

 俺はアイにかなり贔屓をした。言い寄ってるとか言われても仕方のないくらいに。その言い訳に使ったのが、マタニティブルーや産後うつのリスクは、妊娠時や妊娠後の父親を初めとした親族や友人が理解者になって支えてくれるかどうかで大きく変わるから、そういう人が居ない人を支えるのが医療従事者としての仕事だと言って。

 

 これは嘘じゃない。臨床の体感というだけでなく、きちんと統計データもある。だが、医者が手厚くフォローは出来ない。そんな暇はないから基本的に役所に投げてしまっている。医者がつきっきりでフォローするなんてのはアイだけの特別対応だ。

 

 アイのファンだからやった事だが、これを医者のつきっきりのフォローが必要なくらい父親の存在がない事が不味い事だと思って、父親に相談して出産に立ち会って貰えないか会話をしていたなんて可能性を否定出来ない。アイも16歳の子供だ。不安になって恋人が恋しくなるとか、相談したくなるなんて事もあるだろう。

 

 こうしてアイと暮らして分かったがアイは危機意識が薄い。漏れるとしたらアイからだろうな。というのを確信してしまうくらいに。

 

 だとするなら、アイが不安になったり、上手くいかなくなった時に、俺たちの父親に相談する可能性は未だにある。もしかしたら既に住所なんかも把握しているかもしれない。

 

 ミヤコさんに言って、アイのスケジュール管理とかがどうなってるのかとか確認したり、防犯とかも気をつけてもらうように言って貰わないといけないかもしれない。

 

 見てると、アイって鍵を閉め忘れたり、チェーンを使わなかったり、インターホン使わないで出て行ったり、普通に近くのコンビニでアイスなんかを買ったりする上に、下着なんかも普通に外に干すんだよな。一人暮らしの女の子の気をつける事がまるで出来てない。

 

 アイに俺たちの父親と2度と連絡をするな。なんて言った所で無駄だろう。というか社長も散々言ってるし、俺たちがそういう事を言える年齢になるまで何年かかるか分からない。アイに不審者に対する危機感を持って貰うようになんとか動かないと行けない。

 

 やっぱりミヤコさんを上手く誘導して、そういう事を教え込むようにしないと駄目だ。

 

 目の前に居る少女を見る。

 

 せっかくこんな奇跡が起こったんだ。幸せに暮らして欲しい。前世で物心つく前から病院で暮らしていた少女に今度こそ学校生活をはじめとした普通の生活を送らせてあげたい。そして、もし、彼女がまだ望んでいるのであればアイドルになるという夢を叶えてあげたい。

 

 今度こそ……

 

「大丈夫。おれがなんとかするから」

 

 アイもルビーも今度こそ俺が守る。

 

 

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