転生した結構やべぇやつ   作:ただのコマチ

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どうも。
4日前に書き始めて滑り込みセーフです。
まあハロウィン要素ほぼ無いんですけどね。

※2/5 誤字報告ありがとうございます!



一応ハロウィンらしいね

 

 

「エルさん、トリックオアトリート!」

「………あぁ、ハロウィンですか」

「今忘れてましたよね」

「気のせいですよ〜」

 

通勤してきた春先さんから開口一番、本日10月31日はハロウィンである…らしい。一応確認…合ってるね。

こういう行事ごとを忘れるのが私なんだよね。流石にクリスマスやら正月やらは忘れないけど、エイプリルフールとかはホロメンがなんかやってるの見てようやく気づく、って感じだもん。

 

「そーいえば、街中もハロウィンの飾りオレンジ色が増えてましたねぇ」

「それで忘れてたんですか?」

「言われないと意識もしませんでしたし…」

「なんか解釈一致です」

 

どこが? …『行事に興味ないところ』って、私そんなイメージなんですか?

 

「…ということは」

「ん?」

「今エルさんはお菓子を持っていないのでは!?」

「なんでそこに喜ぶんですか」

「そりゃ喜びますよ〜…フフフ…」

「怖いですねぇ…」

 

完ッ全にいたずらっ子の目やないですかヤダー…なんかAZKiさんもおんなじこと言ってきそうでやだな。こんなところで推しとファンの類似点感じたかねぇんですが。

うっわ目ェキラッキラさせてらっしゃる……何されるか分かんないのが怖いね。

 

「まあ持ってるんですけど」ニュッ

「…影収納その手がありましたね…」

「少々見通しが甘かったですね。私が手ぶらに見えるなら、最低でもその10倍はものを持ってると思ってください」

「そんな…」

「いやなんでそんなへこむん……はいどうぞ」

「ありがとうございます…」

 

なーんかホロメンの皆さんからもねだられそう…春先さんはどうするつもりなんでしょうか。イタズラされるのはかわいそうですし、もしものために一応少し多めに渡しておきますかねぇ…

 

「あぁ、ありがとうございます……エルさん」

「別のお菓子が良かったですか?」

「いえ…ふと思ったんですけど、手ぶらゼロになに掛けてもゼロでは?」

「……」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「やっぱり色々持っておくもんですねぇ」

「ほんとですねぇ…」

 

仕事も終わりどこかグッタリした様子の春先さんとともに、改めて蓄えることの大切さを噛み締める。かの大王も『備えあれば嬉しいな☆』って言ってるからね。懐の容量もほぼ無限だし、色々突っ込んどいて正解だった。

てかほんとにお疲れ様でしたね。チョコレート余ったんでどうぞ。

 

「今年は絡まれ方がすごかったですね」

「エルさんの印象が柔らかくなったからじゃないですか?」

「…度々思うんですけど、私ってそんなにキツい態度だったんですか」

「そうですねぇ……刺々しいというより関わりづらいというか…話しかけづらい雰囲気は出てましたね」

「えぇ…」

 

何やってんの私ィ……まあこれもホロメンと距離取ろうとしてたからなんだろうけどさ。AZKiさんやら春先さんもそうだけど、私と関わりたいと思ってくれる人は存外多いらしい。嬉しいことではあるけども…正直私にそこまでする価値はないと思うんやがねぇ。みーんな物好きならいざ知らず。

 

「物好きじゃなくてもエルさんとは仲良くなりたいんじゃないですか?」

「サラッと心読まんといてください」

「あれ、違いました?」

「…合っとりますけど」

 

ほんっとになんでAZKiさんといい、一部の人は私の心を読んでくるんですか。まだAZKiさんは長い付き合いやしおかし…くはあるけどまあ分かる。

でも春先さんはほんとに何故。私の表情筋さん、けっこう動きづらいと思ってるんですがねぇ…

 

「エルさんって人を見境なく助けるじゃないですか」

「…まあ、はい」

「AZKiさんみたいに距離が近いほど口調と態度が雑になりますけど、初対面なら基本は丁寧語で物腰も柔らかいじゃないですか」

「…合ってますね」

「仕事がデキてスタイルも良くて、しかも美人!!」

「……」

「…コレで物好きだけが〜、とは言わせませんよ?」

「…その熱意はなんなんですか…」

 

なんでこんなに細かく分析を…まあ合ってますよ、前半分くらいは。見た目はまあ……中の上くらいではあるとは思いますけど、皆さんに比べりゃしたした。褒められるほどのもんでもないですし、ましてやそこまで執着されたり望まれたりするようなもんじゃないんですけど…

 

「料理も上手で運動もできる…ほんとになんなんですか?」

「言われるほどのもんじゃないと思うんですけど…」

「…嘘です、絶対嘘です!」

「えぇ…」

「エルさんは自己評価が低すぎなんですよ…他人ひとからどう思われてるか知らないんですか?」

「どうもなにもないでしょう」

「そういうところですよ…興味はないんですか…」

「無いですね」

「……(絶句)」

 

おいなんやその目は。まるで私が何者か分からなくなった様な目をしているじゃあないですか。心外ですねぇ…興味を持とうにも、その興味が湧かないんですから仕方ないんですが。

 

「仕事がなくならない程度に良ければそれでいいです」

「えぇ…」

他人ひとからどう思われようと私は私ですから。他者の評価も大事だとは思いますけど、最終的に自分を決めるのは自分なんですよ」

「……普段からそんなこと考えてるんですか?」

「いえ、今それっぽいの考えました」

「えぇ…?」

 

なんですかその顔は…今度は私のことがますます分からなくなりつつもなんとなく想定はできていたって感じの顔じゃないですか。忙しいですね。

…あれか? 私があんまし表情動かさないから真面目に言ってるのか分からないのか? だとしたら関わりづらいって言われるのも分かる。

…けど『関わりたい』は分からんな。

 

「でもまあ、やっぱり私の態度に問題があるってことですか。関わりづらいってのは、改善すべきでしたね」

「今は改善されてますねぇ……でも問題は

「自己評価なら改めるつもりはないですよ」

……」

「私の能力に人と比べて上回る所はあれど、それはあくまでも視点を絞ればの話です。私は普通のすこし下、それ以上でもそれ以下でもありません…それでいいじゃあないですか」

 

「…私を調子に乗せんといてください」

 

 

調子に乗りたくは、驕るつもりはない。

驕りは失敗につながる。自分への過信は失敗した際の絶望感を煽り、尚且つ対処を遅らせる…他人ひとを乗せる時にはコレ以上ないほどの優れ物、でも呑まれちゃいけない。

…だから嫌いなんだ。扱い易いほうがずっといい。

 

あ、ホロメンは別だぜ? 好きになれば、欠点すらも魅力になるのさ。たとえポンでも問題児でもね。

 

…まあ、七大罪にも入ってるんだ。過ぎればダメ、無さすぎもダメってこったね。獅乃部エルわたしとは直接的には関わってない・・・・・・・・・・・のが幸いかな。

 

 

「……」

「…あっ、ごめんなさい…急にこんな話」

「いいんですよ。エルさんの自己評価がすっごく低いって分かったので」

「それは許す理由になるんですか?」

「え、もちろ……いやー、やっぱりちょっと足りないかもデスネー」

「おい」

 

今ぜってぇ言い直したろ。聞かなきゃよかったか…何を要求されるか考えると怖えよ。

 

「敬語の件、完全に忘れちゃってますよね?」

「……あ」

「むー…約束忘れちゃったんですか?」

「…ごめんなさい、完ッ全に忘れてました」

「じゃあ、明日から気を付けてくださいね。絶対ですよ?」

「…はい」

「ふふっ…だそうですよ。AZKiさん」

「えっ」

 

「…エルちゃん、ちょっとお話ししよっか♡」

「……」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

そんで、今私はAZKiさんと我が家に向かっているわけなんですけど…

 

「……」

「…」

 

…圧が。圧がすごい。

春先さん、絶対AZKiさんの存在分かっとりましたやろ……どこから居ったんかは知りませんけど、春先さんは気づいた上で私の分析やら口調の話やらをしてくれたという訳ですかそうですか…

 

「…ねぇエルちゃん」

「……はい…なんでしょう」

「あはは、そんな畏まらないでよ。前に『昔みたいに話して』って言ったでしょ?」

「……今そうさせているのはAZKiさんなんですけど」

「言ったでしょ?」

「……はい」

 

マジで何も言えねぇ…スタコラサッサと逃げやがって…恨むぞ春先さん。

具体的に言えば自販機からお釣りが出なくなったり親指の先っちょだけ蚊に刺されるようになったり配信見てたら良い所で通信障害起きるようになったり……とにかくちょっと嫌な感じの呪いをかけるからな。

 

「…あの、AZKiさんはどの辺りからおったんです?」

「エルちゃんがチョコレート渡した所かな」

「最初っからやんけぇ…」

「…楽しそうだったね」

「……」

「…普段からあんな感じなの?」

「いや、普段はもう少し距離感が遠めで

「ほんとに?」

…ほんとですよ」

「エルちゃんって嘘をつく時に目が一瞬だけ左に動くんだよね」

「……さすがにそんなカマ掛けに引っかかるほどバカとちゃいますよ」

「へー……これで嘘だったらどうしちゃおっかな〜」

「嘘ですいつもと同じくらいですごめんなさいぃ…」

 

これは嘘を言ってはいけない、経験則…いやこれ本能だ。本能が思いっきり危険や言うてる。議長さんと話した時より緊張してるもん……AZKiさんってマジでなにもんなんよ。

てか、私を追い詰める時にやけに目を見てくると思ったら…嘘かどうか見とったってワケやね? もうちょい早よ言っといてぇな…

 

「はやーい…そんなに怖いんだ」

「そりゃ…ねぇ……(いや今も充分怖ぇんですけど…)」

「今も充分怖いって思ってるでしょ」

「……ノーコメントで」

「『沈黙は肯定とみなす』、だっけ」

「…なーんで心を読めるんよ」

「エルちゃんのことならぜーんぶ分かるよ」

「その理屈で心読むんはおかしない?」

「おかしくないよ」

「えぇ…」

 

 

……

 

 

そんなことを話すうちに家に着いた…いや着いてしまった。この空気感のままAZKiさんを家に上げたくはないんだが、隣に見える清らかな笑顔凄まじい圧力がそうさせてくれない。普段はもっとフワフワしてて優しい感じじゃありませんでした…? まあそれも魅力に思えるのがオタクの性なんですけどね。

 

「んでさ…私口調直した思うんやけど、なんでそーんなにジットリした目をしとるんです?」

「…お料理手伝おうと思ったのに」

「え? …あぁ、お客さんに手伝わすワケには行かんやろ」

むー…」

 

そしてご機嫌ナナメのAZKiさん。さっきとは違って圧を感じないのがとっても平和で嬉しいですよ。

むくれ顔…いいですねぇ。出来ることなら高解像度で保存して春先さんに送ってあげたいですね。配信じゃないのが悔やまれるな。

で、AZKiさんの言い分やが…ええやん、ひとりでやってもうてもさぁ……ほら、来客さんはもてなすモノだしましてやホロメンだし。時間加速させたら楽勝ですし、忙しい時はしょっちゅうやってるから慣れたもんよ。

ちなみに今日のメニューは帰りに買ったかぼちゃを使ったかぼちゃのグラタンにコンソメスープ、そしてサンドイッチ。せめてものハロウィン要素である。議長さんの時もそうだけどさぁ…ホロメン急襲が多いんよ。もっと凝ったおもてなしをさせてくれ。させろ(命令形)

 

「あ、もしかして、このメニュー嫌でしたか?」

「そうじゃないの」

「じゃあ…なんでですか」

「…一緒に作りたかったのに」

 

…あれか、仲良い子と一緒にいたかったりしたかったりするあの感じか。*1

それをAZKiさんが私相手に、ってのは驚きだけど…そこまで私に親密さを、親愛を感じてくれてるってことだよね。嬉しくはあるよ、うん。

 

「さいですか」

「…顔赤いの、隠しても分かるからね」

「…うっさい」

「ふふっ…かわいい」

「………冷めると嫌ですし、食べましょか」

「あ、逃げた」

「…AZKiさんがしょっちゅうかわいい言うてくるんが悪いんですわ」

「そう言う所がかわいいんだよ?」

「……」

 

 

 

「あ、エルちゃん」

「トリートですよねそうですよね、ええもちろんあります用意ができていますとも」

「…むー」

「散々やられとるからな、もートリックとは言わせへん。どーせ撫でてくるつもりやったんやろ」

「…エルちゃんも私のこと言えないよね」

「そりゃあんだけやられたんで。これで予測できひんのはアホウドリレベルで危機感のないやつだけとちゃいます?」

「(だいぶ口が悪くなっちゃってるなぁ。昔もこんな感じだったからいいんだけど)…それは流石に言い過ぎじゃない?」

「さぁ? 勢いでしゃべったからなんとも言えんね」

 

危ない危ない…AZKiさんに先手を取られるとロクなことにならない。これは経験則。

アホウドリって人が近づいても全然逃げなかったらしいね。危機感の欠如…というより、人間を知らなかったってのが正しいんやけど。習性も影響したんやって。やっぱり勢いで喋っちゃいけないね。

…まあ、私もAZKiさんの好意を知らなかった訳だし、アホウドリに見立てるのが違うかと言えば……あながち間違っちゃないかもね。

 

…なんて、どうでもいいか。さっさと持ってこよ。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 side.AZKi

 

エルちゃんの後ろ姿を見ながら、小さくため息をつく。最近はもう警戒されちゃってなでなでもできていない。距離を詰めすぎちゃったかな。

…そして、エルちゃんの部屋着は変わっていないらしい。今日もTシャツ1枚、『長袖』って書かれてるけど半袖。エルちゃんってこういうの好きだよね……あっ今ちょっとだけ見え…やっぱり無防備すぎる。

気づいてないのかな…私けっこうしっかり見ちゃったんだけど、そういう視線って分かるものじゃないのかな。エルちゃんが視線に興味がないからなのか、それともただバレてないだけなのか…

エルちゃんが指摘しないことに甘えているようで、なんだか罪悪感がしてくる。

 

「お待たせしました…なんやその顔は」

「いやー? エルちゃんがちょっと心配になったの」

「…まぁええか。こちらがトリートになりまーす」

「わっ、すごい…」

 

考えているうちにお菓子が出された。

シュークリームだ…挟まってるのはオレンジ色のカボチャクリームかな。チョコペンで顔まで描いてあるし…これさっき作ったんだよね?

 

「いつの間に作ってたの?」

「さっきしかないやろ。今日の今日までハロウィンって忘れとったし、そもそも人来る予定もなかったし…急拵えですみませんね」

「…大丈夫だよ。こっちこそ急に来ちゃってごめんね?」

「ならよかった」

 

このクオリティーで急拵えって…やっぱり底が知れない。いろはちゃんとも気が合いそうだし、エルちゃんがもしスタッフじゃなかったら……一緒にお菓子作り配信とかしてたのかな。

 

「いただきます…ん、おいしい」

 

「……よかった」

 

そう言ってエルちゃんはふわりと微笑った。

かわいくてどこか儚げで……初めて会ったあの日に、私が惹かれた笑顔とおなじ。

 

「すっごくおいしい……ほんとに急拵えなの?」

「そうですよ…昨日言ってくれてたらもっと凝ったものを作ってたんですけどね」

「…じゃあ、来年は期待していいかな」

「来年……も、来るつもりか」

「うん♪」

「はぁ……まあ、このくらいならいくらでも」

 

 

 

…あれ、そういえば。

 

「エルちゃん、みんなにはどんなお菓子あげたの?」

「急やね…そんな特別なもんちゃいますよ。こーいう市販のやつを何個かです」ニュッ

「へー…」

 

…ってことは、手作り食べたの私だけなんだ。

のどかちゃんも食べてないよね…

 

「それがどうしたん?」

「ううん、なんでもない」

「…さいですか」

 

私だけ……好きな人エルちゃんが作ってくれただけでも嬉しいのに、私だけが手作りをもらった。

小さなことだし、他のみんなには悪いけど……独占してるみたいで嬉しくなっちゃうな。

 

 

 

「あと…さっきちょっとだけ見えてたよ♪」

「見えた………ッ!?」

「やっぱり恥ずかしいんだ〜」

「…そりゃそうでしょうよ……なんで言ってくれんかったんですか」

「えー…エルちゃんが無防備なのが悪いんだよ?」

「……アホ

「なでなでしていい?」

「唐突!?」

 

…エルちゃんって、煽る・・の上手だよね。

 

 

*1
作者:上手く言えないけど多分違うと思うよ?





…はい。というわけで、ハロウィンに託けたAZKi回でした。
ほんとは悪戯()をしてもらおうかとも思ったんですけど……私に急ごしらえで書ける文才もなく、2人の関係もそこまで進展はしていませんし…
なによりTwitterにあるあずいろssの方が100倍尊いので。
なんで私こんなの書き始めたんだ…

みんな…あず×エルって許してくれてます…?

  • 許す。もっとやれ
  • 雑食なんで良いよ
  • あずいろの方が好きだなぁ
  • いやそこはいろはスだろ
  • その他(ご意見あればぜひ)
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