転生した結構やべぇやつ   作:ただのコマチ

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どうも。
隔週投稿が常になりつつある今日この頃ですね。

唐突な過去編、2話目になります。
サラッと新しい人物出てきますけど…地味に名前の由来にこだわってたり。

アンケートなんですが、そりゃあまあ分かりませんよね。
…なんで1人分かってる人が?
……ほんとになんで…?
自分でも結構面倒くさい設定を作ってしまったと思ってます。


※多大なる自己解釈を含みます。
 「これは違う」というのがあれば遠慮なくお願いします。




Q.子獅子→獅子→『?』

 

 

 

 

 

 ▽月◇日

 

 

父が怖くなってから半月が経った。

 

いまだに父は戻っていない…うわごとみたくブツブツ母の名前を言うことはなくなったけどさ。

じゃあ戻ってんじゃないのかって?

…違う気がするんよね。

多分、母の名前を呟き続けるよりもっと大事なことがあるからだろう。

 

 

学校生活の方は……まあ、順調である。

一軍さんのおかげでクラスにも馴染めてきてるし、あずきちゃんとも仲良くできてるし。

でもなんか、あずきちゃんがさらに近くなったような…気のせい?

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ▽月○日

 

 

高校はあずきちゃんと一緒のところに行くことにした。

 

なんか高校を頑張って選んでる人にはブキギレられそうだけど、ほんとにどこでもよかったからね。

あずきちゃんに言ったらめちゃくちゃ喜ばれて、抱きつかれた時はちょっとびっくりした。

一応私の心は男のままなんですけどねぇ…

 

 

…あとさ、最近たまにあずきちゃんの目が怖いような気がするんよ。

父とは別ベクトルで。

 

……私なんかしたかなぁ…

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ●月X日

 

 

春休みだよ。

入試? この私にかかれば造作もない(誇張なし)

元々高校生卒業目前までは行ってた訳ですし、中学レベルに関しては余裕なんですわぁ…

ただし地歴、お前はダメだ。

 

 

…そんで、問題がひとつ。

 

父が立ち直った。

それもよくない・・・・方向に。

 

どうやら私を使って母の蘇生を試みているらしい。

なーにやってんだ父…そりゃ禁忌も禁忌よ?

 

父は贔屓目抜きに賢い、そりゃもう私なんか及ばないくらいに。

私が母とは違うことくらい理解ってるはず……なんやがね。

父の目には、ドス黒い“スゴ味”があった。

有言実行やると言ったらやる不撓不屈なんとしてでもやり遂げる……そんな“スゴ味”があった。

 

 

…まあ、ぶっちゃけどうでもいい・・・・・・

別に失敗しても死ぬだけ・・だし…あずきちゃんになんかある訳やないし、それでいいよ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ○月□日

 

 

どうやら夏休みに一気に実験を進めるらしい。

ここで学校を休ませてでもって考えじゃないあたり、まだ優しい父のままらしい。

これを優しさと取るか…合理性って言うかは、まあ微妙なところやけど。

 

…今年の夏はあずきちゃんと遊べねぇかもしれん。

父はここまで私を育ててくれた訳だし…まあ母第一やったけど、少なくとも『いい父親』ではあったから。

恩義があるし、父のトチ狂った実験ひとときのなぐさめに付き合ってあげてもいいとは思う。

でも頼むから成功させてくれよ。

こんな短いスパンで死にとうないし、また腑抜けられても困る。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ○月○日

 

 

…きっつい。

 

なんか色々薬飲まされた。

どうやらもう計画は始まっていたらしい。

まあそりゃそうか、『夏休みに一気に進める』とは言ったけど『夏休みまで始めない』とは言ってないもんね。

 

ちなみに、父はめっちゃギラギラした目をしてた。

おい父、一歩間違わなくても犯罪者の仲間入りやぞ。

実の娘に目ェギラつかせて迫るって…うーんこの()

あと、実験をどう思うか聞かれたから「どうでもいい」って言っといた。

まあ本心ですしおすし。

 

 

薬と実験(改造?)のやり方とか仕組みとかはまったくもって分からんかった。

魔学に関しては本当になんにも分からぬ。

前世でなかったものだし、今世でも興味ゼロだし。

 

ご親切なことに父が細かめに説明してくれた。

『自我を殺して…』だとか、

『魂を器から取り除いて、器を洗浄して…』やら、

『器を限りなく空白に近づけることで…』とか、うんたらどうたら。

 

要するに、『一回殺します』ってことですな。

とんでもないこと言ってんぞーコレ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ○月△日

 

 

最近めちゃくちゃ眠い。

あとなんか気分も悪い。

 

絶対あの薬のせいやんけぇ…

なんか魂を分離?するためらしいし、この不調はその弊害ってとこか。

 

学校生活にも支障が出始めた。

めっっっっっちゃ眠い、いつでも5時間目の気分。

私が前世持ちで、授業中に寝かけても問題ない学力でよかったぜ…

んで、父に相談したら眠気覚まし的なのをくれた。

わざわざ私の身体(というより実験)に影響が出にくいようなやつを作ったらしい。

うっわーさすが、父やっさしー(棒)

 

…まあそれでも眠いものは眠い。

 

あずきちゃ〜ん、ちょっとノート見せて〜。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 □月X日

 

 

「……お”ぇ………がふっ…」

 

 

あ”ー……気持ち悪い…

なんか血ィ吐いてもたんやが。

やばいって(KONAMI感)

 

父は血を吐いた私を見てめっちゃ喜んでた。

…あ、別に吐血が性癖な訳じゃないぜ?

父の名誉にかけて言わせてもらおう…そんな性癖は持ってない、多分。

 

とりあえず興奮してた。*1

どうやら『いい傾向』らしい。

なんか、魂と肉体の分離が進んでる証拠、だって。

うーん、完璧なマッドサイエンス。

どこに出しても恥ずかしくないね…出したくないけどさ。

 

…とりあえず早めに片付けるか。

血の汚れってあんまし放置したくはないんだよね。

落とすの面倒だし。

服には…付いてないね、ヨシ。

 

 

 

…あれ、あずきちゃん。

どしたの?

家ん中はともかく部屋ん中まで来て……あ、これ?

血ィ吐いちゃった☆

 

…いや、そんな慌てんでも。

ちょっと吐血しただけ…別に、無事ですけど?

 

…うん、ほんとほんと。

ほんとに大丈夫、なんともないって。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 □月△日

 

 

今更やが、『魔学』って言う割には随分と現代的な気がする。

もっとこう…魔法陣とか悪魔とか、この素材とこの素材で錬金術〜…ってのを考えてたんやけど。

父がやってるのは思いっきり現代科学である。

私にやってんのも薬とか注射とか、魔法のまの字の欠片もない。

 

 

で、これについて父に聞いたんやが、

 

「…私には、魔法の才能がないからな」

「あっ(察し)」

 

…父、ごめんやで。

そうよな、普通はもっとファンタジーなことするやんな、父が特殊な方やんな。

もしかして『魔学研究の権威』って、『魔学を科学でやった(概略)』って意味だったり…するんだ。

 

「……お前も、おそらくは…私と同じだろう」

「へー」

 

そかそか、私もダメなんやね。

少しは憧れるっちゃ憧れるけど、まあいらんかな。

 

…え、いいのか、って?

別に使えなくても死ぬ訳じゃないんでしょ?

ならええよ、どうでもいい。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 □月▽日

 

 

夏休み、突入である。

 

んで、父よ。

実験進めるんでしょ、私はどうすりゃいい?

あー、ここ入ればいいの?

 

頼むから成功させてよ〜?

 

 

 

……んじゃ、おやすみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…せい……にん………は…こう…』

『E……1…6………バイタル……こう…』

 

 

暗闇の中で画面とガラスケースだけが光を放つ。白衣の集団が固唾を飲んで一点を見つめている。

その空間には『熱』があった。

言葉では言い表せないような『熱』が、集団の心を捕らえる妄執が満ちていた。

 

ガラスケースの中には少女がひとり。

未発達の身体に飴色の髪を持った獅子の獣人。

およそこの場に似つかわしくない容貌でケースの中を漂う姿。

そこからは説明できない神聖さと恐ろしさが感じられ、少女が纏う不思議な危うさの混じった不安定さを引き立てていた。

 

 

『…定…は?』

『適…率、……%…完……です!』

 

 

興奮したように言葉を交わす集団とは対照的に、少女の眼には生気がなく冷めきっていた。

 

その様子は生命なき人形のようで。

 

規則的に響く心電図の電子音だけが、少女が命あるものであることを示している。

 

 

『…エル……すまない………開けろ!』

 

 

リーダー格らしき男の一声により、ガラスケースが、開く。

徐々に水位が下がり少女の足が底に着く。

液体の中で脱力してただ浮かぶだけだった少女は、その2本の足でしっかりと立っていた。

 

 

『……ああ……ああ……!!』

 

 

その様子を目撃したリーダー格の男の胸中にあるのは…長年の望みを託した実験が成功したことへの喜びか、それとも、合意を得たとはいえ娘を手にかけた自分への怒りと悲しみか。

男はただ、綯交ぜになった激情のままに涙を流す。

その他白衣の研究員の中に男と同様に涙を流す者もいれば、事実を静かに噛み締める者、歓声をあげる者…いずれにせよ彼らにとって喜ばしい結果であったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

『魔学研究の権威』、獅乃部シュウ

 

 

彼が指揮を取った研究テーマは…誰も成したことのない、ある種の偉業であった。

 

 

 

『悪魔の完全制御』

 

 

 

この世界において、悪魔は本来魔法陣や契約、儀式などを介して悪魔界から呼び出されるものである。その際に依代や媒体を必要とするかは悪魔によって異なり、『手順を間違える』『契約を破る』などの行為に対しては双方、もしくは片方のみ呼び出した術者に罰則が与えられる。なお、後に複数の個体が例外となるがそれはまた別の話である。

 

悪魔が高位であればあるほど、力が強ければ強いほど、制御、すなわち『契約を強制させる』ことが難しくなる。悪魔の抵抗によるものか、術者が愚かであることによるものかは定かではないが、少なくとも悪魔の強さと厄介さが比例することは確かだ。

 

 

では、高位の悪魔を完璧に制御する方法は?

 

答えは『無い』。

人間の力では届かない超常の存在を御する術など無い、あるはずがない。

それが魔学研究者の総意であり、一般論だった。

 

 

 

 

 

そこにひとりの男獅乃部シュウが異議を唱えた。

 

 

 

その男は獅子の獣人だった。

最愛の妻を早くに亡くし、残された娘を大切に育てる…はずだった・・・・・

 

妻の死体は綺麗だった。致命傷となった胸の傷以外には一切の外傷もなく、安らかに浮かべた寝顔のような表情は死人とは思えなかった。

 

 

だから、考えてしまった。

 

 

 

 妻は 必ず生き返る

 

 

 

男は愚かな妄執アイデアに取り憑かれた。

 

妻の死体を保存し、可能性を探った。

死霊術や降霊術による偽りの妻ではなく、妻そのものを、完全な『ヒカリ』を蘇らせるために、男はあらゆる手段を探りあらゆる手法を試した。

同じ境遇と考えを持つ者が集い、それだけ手段も回数も頭数も増えた。

時に人の道に悖る実験を行い、数えられないほどの犠牲を重ねた。

 

それはまさしく気が遠くなるほどの、気を遠くしなければならないほどの努力だった。

 

そして、男はある結論に辿り着いた。

 

 

 

 悪魔を降ろす

 

 すべてを癒す驚愕の悪魔を

 

 

 

ただ治癒能力を持つだけでは足りない。

死者の蘇生すら可能にする力が無ければならない。

 

ならば、悪魔を掛け合わせればいい。

 

治癒能力を持つ悪魔を重ね合わせ、それでも足りない力を区分の近しい同種の悪魔を更に重ねて補強する。

 

 

だが悪魔を重ねた分だけ制御の難易度も上がる。

 

ならば、確実に御せる器に入れてやればいい。

 

実験を繰り返し、降ろす悪魔と近しい種族のカラダならば長年の魔学研究の成果により制御することが可能だと判明した。

多種多様な悪魔を混ぜるといえど、ベースとなる悪魔の比率が大きく、器はベースの悪魔に合わせればよい。

 

五足・獅子頭・無体の驚愕の異形

ソロモン72柱が序列10位『総裁』ブエル

 

その悪魔を御するための器に適した種族は『獅子の獣人』。それも従順な精神であれば制御の難易度は更に下がる。

 

 

 

 

…ああ…それならば…しかし…

 

 

妻が残した娘は賢い子だった。

歳の割に大人びており、親の言葉に強く反発することもなく…かといって全肯定ではなく、自立した考えを持っていた。

 

男は、娘を器にするコロスことを躊躇った。

 

男にはまだ良心が残っていた。

効率と望みのためには不必要なソレを捨てられない、悲願の成就を熱望する研究者には向いていない。

迷い問いかけた男に、娘はこう答えた。

 

 

「どーでもいいよ」

 

 

強がっているようには見えなかった。

何事もないかのように、「明日の晩御飯は何がいい?」とでも聞かれたかのように、自然に答えてみせたのだ。

 

そんな娘に背中を押され、男は決断する。

 

 

妻の残した形見を、共に笑い合い日々を過ごした家族を、実の娘を手にかける、カクゴを決めた。

 

 

 

 

 

実験は予定通り、完璧に進んだように見えた。

ムスメ悪魔ブエルを降ろすことに成功し、器に対する定着率は98.7%と想定を大きく上回っていた。

 

その場にいた誰もが成功だと歓喜した。

誰もが悲願の成就を信じて疑わなかった。

誰もが男の偉大さを仰ぎ見た。

 

 

だから、気づけなかった。

 

 

実験は、致命的なある一点を除いて完璧だった。

 

ムスメ作られるウマレルその瞬間。

幽世カクリヨとはまた違う、遠く離れた異世界から迷い込んだ魂が混ざり込んだ。

 

原因、理由は一切不明。

なぜ何の関係もないはずの魂がここに?

なぜ何の因果もないはずの少女の肉体に?

 

異常というものは見つかれば即座に対応される。

が、気づかれなければそのまま放置される。

 

その異常バグも気づかれることはなく、解明されることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、実験は成功した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かのように見えた。

 

 

 

 

 

 

*1
作者『表現悪化してない?』




獅乃部シュウ
エルの父親。
ライオンの獣人で魔学研究者。
通称『魔学研究の権威』
家族を大事にしており、極度の愛妻家。


獅乃部ヒカリ
エルの母親。故人。
ホワイトライオンの獣人で専業主婦。
旧姓は『  』

本編でまいた(つもりの)伏線・過去イベを示唆する描写について

  • 全部拾って理解している自信アリ
  • いくつか予想ついてる
  • 嘘、そんなのあったの…!?
  • 答え合わせを正座待機
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