ACVD 繋がれた獣と黒い鳥   作:StainHeart

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今回でこのシリーズは終わりです。


最終話まで拙い文章ですが、それでもよろしければご覧下さい。


HIGH FEVER - Remember -

首輪付きは傭兵をアサルトアーマーで滅しようとしたが、傭兵は機転を効かし首輪付きの凶行から逃れた、最後の力を使い、片腕と片足の無くなった首輪付きの機体は今度こそ地に伏し動かなくなった。

 

タワー最上部ではアラームと警告が鳴り響く、首輪付きのアサルトアーマーの衝撃は炉にダメージを与えてしまったらしい。

《警告 警告 最上部エネルギープラントに申告なダメージを確認 汚染防止の為まもなくこのエリアは大気圏外に破棄します。》

 

 

獣が捕えられていた炉の部屋から傭兵は脱出しエレベーターに向かっていた。とても信じられないがこのタワー最上部は飛行機能がついているらしい。

(これは報酬どころの話じゃなくなったかな。飛ばされるまであとどれぐらい時間があるか判らないが急ぐしかない)

彼はもと来たルートを引き返そうするが、途中幾つかのハッキングしたはずの扉がロックされ。迂回しながら進むことを強いられた。傭兵は感じていた、この遺跡は自分を生かして帰すつもりはないのだということを。そしてその予感は間もなく当たることとなる。

 

傭兵がいる最上部とは真逆に位置する場所、タワー地下

新たな兵器と機械化された魂を加工し産み出す為の工場は最上部の出来事を視ていた。

《オリジナルイレギュラーの沈黙を確認…ソウルシュミレート高水準に達している個体を試験型機にインストール…高速輸送により最上部の侵入者を排除…》

 

傭兵は迂回しながらもどうにか帰還するためのエレベーターに近づいていた。そしてかなり道幅の広い通路につく、マップは完全に全て把握出来るわけではなく一部未開の場所もあった、どうやらここがその場所のようだった。突如として彼の後ろの扉が閉まった。そして前方の通路の横の壁が開いた。壁の中から紅い人型の巨人が複数出現した。人型の肩部分には全員"9"という文字が見えるエンブレムが着いていた。

 

「そうか…あんたはコイツらを次期の使者やガーディアンにしようって訳か」人型兵器のサイズ自体は自分のACより少し大きいぐらいだったがパーツは既存のACとは大きく違っていた。なにより背中にはOW並の巨大なキャノン砲の様なもの搭載していた。

傭兵の機体は武装もレーザーブレードしかなく損傷もかなりのものとなっていた。そして紅い機体は傭兵を排除しようと迫ってきた。「強攻突破するしかない!」

 

紅い機体は傭兵にレーザーブレードやパルスマシンガンの様なもので攻撃してきたが彼は遮蔽物に隠れながら紅い機体の大群の中を回避しながら駆け抜けてゆく(もうすこしでエレベーターまで…)

大群とも距離が離れた、しかし前方にも複数紅い機体が出現した。(挟まれた!)そして背後にいる機体が空中に飛びながら背部の砲を撃ったのが見えた。傭兵は弾を避けようとしたが、砲の威力は凄まじいものだった。既存のACが使う装備でもキャノンは存在するがそれは桁違いのものだった。

傭兵は弾自体は避けきったが壁に着弾し広範囲の爆発を起こした、傭兵の機体は爆発に巻き込まれ四肢が砕け散った。

 

 

 

 

熱で酸素が薄くなり喉が焼ける感覚がする。

体中が鈍く痛む。

意識が薄い、衝撃で一瞬気を失ったらしい。彼は傭兵をやっていて機体ごと強い衝撃を受けることには馴れていた、戦場で衝撃を受けた程度で一々長いこと気絶していては的になるだけだ。

どうやら機体は爆発で大破し幸運にも自分が乗っているコア部分だけ残ったらしい、しかしコックピット内は半壊し、乱暴に開けた箱のようにぱっくり開いていた。

自分が無事なのが奇跡のようだ。

早くコックピットから出てエレベーターに…

半壊した隙間から出ようとしたがバランスを崩して倒れる。

 

 

左腕と右足が動かない。

首を動かし自分の体を眺める。

左腕と右足があるはずの場所は真っ赤な液体が大量に垂れており

腕も足もそこにはなかった。

よく見たらコックピットの中は赤く彩られており

それは自分の血だとわかった。

そして下の方に自分の腕と原型がない足のようなモノが転がっていた。

乾いた笑いがこみ上げた。

だが悲観はしていなかった、ただ、出来れば痛みなく一瞬で逝きたかったな…

頑張ってみたけどダメみたいだ、俺は最後までとことんついてないみたいだよ。

”あとは任せろ”なんて言ったうえで情けないけど、これで面倒な役割もしなくて済む。

きっちりとほぼ生身の自分の生体反応もキャッチしているのか、紅い巨人たちは動けない自分に迫ってくる。

傭兵は虚ろな目でそれを眺めた。

 

 

 

傭兵がレーザーの熱線で身を焼かれるのを待っていたが突如としてエレベーター側にいた紅い機体たちが轟音とともにまとめて粉砕された。それは巨大な鉄塊のようだった、OWマスブレードを装備した機体。

そしてその後ろには大量のヴェニデ部隊のACが展開されていた

「瀕死か...もう少し来るのを渋れば見殺しにできたものを」

それはヴァニデ部隊隊長の声だった。

「…助けに来たのか?」

「礼ならあの運び屋に言うことだな。しつこく食い下がりおって」

隊長は恨めし気に言う。どうやら微かなノイズの通信から傭兵がタワー内部の障害を倒してさらには窮地にさらされていることまで察知してヴェニデ部隊に傭兵の救出を依頼したらしい。

傭兵が任務を失敗したときも何度も彼の手腕で救われたことがあった。そして通信がほとんどできない今回も彼は傭兵を救った、彼は改めてのファットマンの運び屋としての技量に驚かされた。

 

傭兵は隊長に状況を伝えた、そして隊長はAC部隊に指示を出す

「2機は傭兵を連れて離脱せよ残りは後退しつつ敵を迎撃。安全を確保しだい迎撃部隊も離脱せよ!」ヴェニデ部隊は傭兵を救出しAC部隊も離脱に間に合ったらしい。

そして彼らが離脱した後タワーの最上部分はいくつか重荷を下ろすように巨大な回りの区画を外しロケットのような形に可変し凄まじい量の炎と煙を吐きながら空の彼方へ飛び立った。

依頼は完了した。

しかし成功したとは言い難いかもしれない結果だった。

 

依頼が終わったあと傭兵の姿をみてファットマンはとても悔いた。もう少し早ければと、しかし傭兵は気にしていなかった。そしてヴェニデは今回の依頼でタワーの資源が一つ失ってしまったことになる。だが結果として他の勢力に資源が渡らなかったと上層部は考えたらしく運び屋と傭兵を咎めはせず報酬も払った。この一件を最後にファットマンは運び屋を引退した。”彼”はファットマンにとって最後のパートナーとなった。

 

 

 

 

 

 

十数年後

ヴェニデは他勢力を降伏させ実質世界を支配していた。三大勢力の均衡が崩れ始めたのは数年前ヴェニデに新しい当主がついてからだという。

元傭兵だったというその男は隻腕で更に片足もなかった。しかしACも操縦でき圧倒的強さを誇っていた。

男はヴェニデに入り下級兵から一気に司令官と成り、そこからさまざまな手段・技量・時には武力をも使い絶対的力でヴェニデのトップまで上り詰めた。彼は普段黒い布を肩に掛け隻腕を隠していた。その姿からヴェニデの伝承に伝わる”黒い鳥”と陰で呼ばれ薄気味悪がられていたが。一部ではその絶対的強者の姿から先代当主でもあり組織創設者であるセサル・ヴェニデの再来とも云われ担ぎ上げられもした。

 

彼はよくヴェニデが最後に発見したタワーに一人で訪れていた。彼の周りの人々は不思議がった。

何故ならそのタワーは一度崩壊し改修したためもう解析するべき場所もなく単なる何もない建造物と云われているからだ。

しかし彼はあの獣が伝えてくれた記憶、情報により知っていた。タワーの地下深くのこと、そして人類を監視している者のこと、人類を統制復興するためのプログラムを。

 

 

プログラムを閲覧する限りこのまま人類が繁栄していけばまもなく地下の都市が開発され、そして大きな破壊が起こることだろう。

その後を裏で統制するため機関も必要だな。

渡り鳥、”レイヴン”のようにどこにも属さず天から世界を見回る。実際鳥のように自由とは言い難いがそういう存在が必要だ。

道のりは長いな、とりあえずプロジェクト名だけは端末に記しておこう。

 

”project Raven's Nest”と

 

 

 




いかがでしたでしょうか。
ほとんど私の想像なので時効系列の真偽はわかりません。それどころか私の書いたこのシリーズはACをもっと昔からやりこんだプレイヤーの方々からしたら矛盾だらけかもしれないです。
こんな矛盾だらけで作者の自己満足にあふれた作品でも楽しんでいただけたのなら幸いです。これにて獣と黒い鳥のシリーズは終了です。今までありがとうございました。
また小説を書くときはACの事かもしれないし全く違うジャンルかもしれないです。
そのときはまたよろしくお願いします。




ちなみに作中ヴェニデを持ち上げてるように見えるかもしれませんが、私自身VDではEGFに所属しています。


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