大草原の中を一台の馬車ががたごとと進んでいく。回収目標の牛を乗せる事が出来る馬車ということで、私が寝転んでころころ転がっても余りあるほどの大きさだ。
「あと、どれくらいですか?」
「牧場まではあと3時間ほど、そこから広いので……魔域の入口まではもう30分程でしょうか」
「分かりました。……横、失礼してもいいですか?この荷台、広すぎて少し寂しいので」
「どうぞ、狭いですが。眺めはいいですよ」
御者が少し横に避け、御者台に一人分のスペースを用意してくれる。その横に座らせて貰い外を眺めていると、広い草原の真ん中を駆ける魔動列車が見える。
「綺麗でしょう、草原。もう少し後なら小麦畑が線路の向こうに見えるんですけれどね。風に揺れて海のように波立つんですよ。もっと綺麗に見えるんですけれど……とはいえ、その時期は略奪しに来る蛮族が活発になるせいであまり外に出ることはないんですけれどね」
「もし、秋ごろにどうしても出る……ってなった際には是非アンズさんにご依頼ください、その時はきっと私が護衛させていただくので」
「その時は頼ませてもらうよ。よろしくね」
のんびりと馬車に揺られていると、少しずつ瞼が重くなっていく。ふわふわした意識の中で外を見ると……きらりと、鈍い金属の光が見えた。
道具袋の中から望遠鏡を取り出し、光の方向を見ると――そこには、数体の蛮族が居た。
「……御者さん、少し飛ばしてください。蛮族が数体、こちらを見ています」
「っ、了解です。席に掴まっておいてください」
手綱の中を一台の馬車ががたごとと進んでいく。回収目標の牛を乗せる事が出来る馬車ということで、私が寝転んでころころ転がっても余りあるほどの大きさだ。
「あと、どれくらいですか?」
「牧場まではあと3時間ほど、そこから広いので……魔域の入口まではもう30分程でしょうか」
「分かりました。……横、失礼してもいいですか?この荷台、広すぎて少し寂しいので」
「どうぞ、狭いですが。眺めはいいですよ」
御者が少し横に避け、御者台に一人分のスペースを用意してくれる。その横に座らせて貰い外を眺めていると、広い草原の真ん中を駆ける魔動列車が見える。
「綺麗でしょう、草原。もう少し後なら小麦畑が線路の向こうに見えるんですけれどね。風に揺れて海のように波立つんですよ。もっと綺麗に見えるんですけれど……とはいえ、その時期は略奪しに来る蛮族が活発になるせいであまり外に出ることはないんですけれどね」
「もし、秋ごろにどうしても出る……ってなった際には是非アンズさんにご依頼ください、その時はきっと私が護衛させていただくので」
「その時は頼ませてもらうよ。よろしくね」
のんびりと馬車に揺られていると、少しずつ瞼が重くなっていく。ふわふわした意識の中で外を見ると……きらりと、鈍い金属の光が丘の向こうに見えた。
道具袋の中から望遠鏡を取り出し、光の方向を見ると――そこには、数体の蛮族が居た。
「……御者さん、少し飛ばしてください。蛮族が数体、こちらを見ています。私は荷台に戻ります。私が声を掛けたら、合図をお願いします」
「っ、了解です。その時は席について、どこかに掴まっていてください。何かに触れて跳ねないとも限りませんから」
荷台に戻り、声を掛ける。御者が手綱を取り指示を出すと、馬車を曳いていた馬が速度を上げる。
幌の隙間から外を覗き、慌てて追ってくる蛮族の姿を目で追う。
その後も何体かこちらを追ってきてはいたが、丘から転げ落ちたり、ぬかるみに嵌まったりと数を減らしていき…………十数分走る内に、もうその姿は見えなくなった。
「もう大丈夫です、御者さん。あいつらの姿はもう見えませんから」
「分かりました。一度止まります、馬に急な負担をかけてしまったので」
「どうぞ。こちらこそ、急に無理を言ってしまい……申し訳ございませんでした」
「いえ。蛮族に襲われるより、よっぽど良かったです」
なだらかに下がった丘の下、周囲から多少の遮蔽が取れた場所で一度立ち止まる。馬車から降り、道の先に目を向けると、柵で囲われた牧草地と厩舎が見えた。
「あの先にあるのが、目的の牧場で間違いないですか?」
「えぇ。ただし、ここからもう少しかかりますが」
「でしたら、私は一度ここで降りても大丈夫ですか?魔動バイクならあります、牛たちのためにもあまり時間はかけられませんから」
「分かりました。少ししたら牧場の入口で待っていますね」
御者と別れ、スフィアから魔動バイクを解放し跨る。
牧場は、もうすぐそこにあった。