贋作にも、澄んだような青空を   作:チキ・ヨンハ

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同類

 

 

休日。それは一週間の疲れを癒すことができる最高の日。過ごし方は人それぞれであるが、僕の場合は読書だ。なにせ、この一週間やることが多すぎてまともに本を読めていなかった。それも全部あの人の……

 

(……いや、考えるのはよそう。今は本の世界に没入するべきだ。さあ、この本はどんな物語が……)

 

と、僕が最初の1ページを捲ろうと手をかけた所で

 

ドンッ!

 

という音と共に、僕の家のドアが勢いよく開けられた

 

 

 

 

 

 

 

「ユウタ君!今日は出かけるよ!」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……休日は家でゆっくりしたいんですが」

 

「まあまあまあ!いいじゃんいいじゃん!」

 

あの後、僕の必死の抵抗も虚しく、結局外に連れ出されてしまった。クソ……なんでこんな暑い中外に出なくちゃいけないんだ……

 

「……で、こんな暑い中態々僕の読書の時間を削って外に連れ出して、一体何処に行くんですか」

 

「な、なんか棘あるね……」

 

「キノセイジャナイデスカー」

 

「そ、そうかなぁ?……まあいっか。うん、今日行くのはね、私の妹のところ!」

 

「妹」

 

「妹!」

 

「なぜ?」

 

「最初会った時言ったでしょ?妹の補佐も欲しかったって!」

 

……あー。言ってた様な、言ってなかった様な

 

「なるほど?」

 

「そ!だから今から会いに行こう!」

 

「……いや、なら前もって連絡とかを……」

 

「よーし!しゅっぱーつ!」

 

「……はぁ」

 

まあどうせ何言っても連れてかれるんだし、大人しく着いていって早めに終わらせよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新しい仲間を!紹介!しやす!」

 

「……」

 

「……」

 

「ほら!二人とももっとテンション上げて!」

 

「……休日に態々呼び出して何をするかと思えば……」

 

「まったく……」

 

「えぇ……思ってた反応と違う」

 

(みんな聞いてないんだ……)

 

連れてこられたとある建物、その一室の前に待たされているので、当然中の会話は聞こえてくるわけだが……どうやら中にいるらしき二人も何も聞かされていないようだ。……まあ、なんとなくそんな気はしてたけど

 

「……というか、仲間って何?」

 

「ん?ああ、二人と同じで、高校生になったら連邦生徒会に入ってもらうのが決まってる子ってこと」

 

「……へぇ」

 

「……なるほど。同じ境遇であることは分かりました。しかし、急に仲間と言われても」

 

「んー……まあそれもそっか。じゃあとりあえず実際に話してもらおうか。入っておいでー」

 

(……いや入り辛いって)

 

明らかに歓迎されてない雰囲気じゃん……まあ入るしかないんだけどさぁ

 

「はぁ……失礼します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(相変わらずお姉ちゃんは唐突……まあもう諦めたけど。……にしても、私たちと同じ、ねぇ。面白い人々なら良いんだけど)

 

昔から、私には"同類"が居なかった。私は、周囲の人間よりも秀でていると知っていたから。そして、それは私に大きな孤独感を与えていた

 

リンちゃんに会ってから、少しは変わったけど、結局、リンちゃんとお姉ちゃん以外は花と同じ。自分より圧倒的に弱い他者を見て、私はそれを同類とは思えなかった

 

そしてそれは、今も同じ。だからこそ、今から来るであろう人間に、期待なんてしていない。精々、姉が言っているから仲良くはしよう。そんな程度なもの

 

違和感

 

(にしても……なんだろ、この違和感)

 

ふと、感じた違和感。普段なら気にもとめないような、些細なつっかかり。だが、何故だが今は無視できない

 

……いや、気にする必要なんてない。他者に期待なんてしても無駄ということは、自分が一番よく分かっている筈だ

 

違和感

 

「失礼します」

 

そうして、入ってきた一人の少年。ヘイローもなく、銃も持っていない。そんな気を抜いている少年を心配……

 

 

 

 

出来るわけが無い!!!!

 

 

 

 

 

何?この存在感は!これまでの花達とは違う!

 

これは……この感覚は……初めて対等か、それ以上の"人間"に会えたような、そんな……初めて、退屈が裏返る様な、そんな感覚がする!!

 

気になる、この感覚が本物なのか。これからの私の人生に、彩りが与えられるのか!!

 

そんな感情に従うまま、私は彼に蹴りを放つ

 

「初めまして、乙骨ユウ……っ!?」

 

「止めるか!完全に意識外だったでしょ!」

 

「いきなり何を……」

 

「ねえ、乙骨君。自分と違う周り。自分だけがこの世界で違う存在の様な、そんな感覚になった事、ない?」

 

「っ……」

 

今の反応を見て確信した。彼も、私と同類!

 

「なら、キミとワタシは同じだよ」

 

「おな、じ?」

 

「そう、同じ。今まで、退屈だったんじゃない?」

 

「……」

 

「なら!私がその退屈をひっくり返してあげる!」

 

「っ!?」

 

受け止められたままだった足に力を込め、彼を外へと吹き飛ばす

 

「ちょっと!」

 

「ごめんねリンちゃん。ここで待ってて」

 

そう言い残し、吹き飛んだ彼の元へと向かう

 

「ゴホッゴホッ」

 

「……無傷、ね」

 

「……いきなり同類だなんだと言われて、正直混乱してたんですが」

 

「っ……ふふっ」

 

「……これまでで一番面白そうだ」

 

そう言いながら、彼は戦闘態勢をとる。……良い、良いね!

 

「とことんやろうよ!同類!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






なんだ……これは……(困惑)
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