獣人オリ主ちゃんは何処へ消えた。A:虚空です   作:ナナの四六三

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またしても始まった新作。荒れる感想欄(幻覚)。原作は1話投稿後に読み返しながら進めていく予定。


一応原作全巻持ってるからセーフ。カゲマスはやってないケド

 ──ふと、目が覚めた。いつのまにか赤ん坊になってた。それでなんとなく中世っぽい装飾の部屋のベッドに寝っ転がっていた。手をにぎにぎしてみる。うまく動かん。そして今気がついたがいつもより、お股が軽いっていうかおちんがない。うん。あーね?TS転生か(超速理解)。

 

「おぎゃぁおぎゃぁ」

 

 と、俺がTS転生を自覚した直後、隣からクッソわざとらしい赤ん坊の鳴き声が聞こえてきた。俺もやったほうがいい?あと俺じゃなくて一人称私にした方がいい?クッ、転生したら前世と恥は捨てるのが作法である。俺、じゃなくて、私は女、私は女。うん、まあしばらくしたら自然に自覚するでしょ。俺は、いや、私はこの推定異世界でこれからあっちのベッドを覗き込んでいる美人さん──思ったより現実的な美人さんで安心した──の子供として生きていくこととなるのだ。たぶん。

 

 服装的にメイドさんじゃないよね?あれがマミーであってるよね?うん、多分そうだ。前世のお母様(故)にありがとう。これからよろしく今世のマミー。そう言うと何だか親が再婚した時のような気分がしてくる。できるだけ家族と思うようにするよ。今世のマミー。そんな感じで割り切りのいい私は前世に感謝と別れを告げ、隣の赤ん坊に共鳴して泣き始めたのであった。

 

 

◇◇◇

 

 

 転生して2ヶ月ほどが経ったと思われる。多分。現在私にはチート能力的なものが原因と思われる事象が2つほど起こっている。まずは言葉、なんか秒速で理解してしまった。言葉とか単語とかほとんど聞いていないはずなのに意味がすらすら解ってしまう。異世界チートあるある、言語理解スキル(ご都合主義)だと思われる。神様にあった覚えはないし、どこでもらったのやら、皆目見当もつかない。でもありがたい。存分に使わせていただきます。

 

 チート能力を活用し、得られた主な情報は家族構成。私の生まれたこの家はなんと男爵家であった。貴族様ですよひれ伏せ!と言えないくらいの木端貴族なのが玉に瑕。まあ奴隷転生とかよりよっぽどマシなので全然ラッキー。いや奇跡と言っていい。神に感謝。そんでもってまずは私の名前から、私の名前はアイシャ。一般チートTS転生者のアイシャ・カゲノー。隣にいる赤ん坊は兄、同い年のシド・カゲノー。よく遊びにくる姉、二つ年上のクレア・カゲノー。そんでもって初日の美人さん。マミーで合ってた。オカン・カゲノー。名前ぇ!父親、オトン・カゲノー。だから名前ぇ!

 

 とまあそんなわけで私の家族構成を調べたことによって、ここにきてこの世界が創作物世界、原作アリ世界の可能性が浮かび上がってきたのである。

 しかし私の知る作品群に当てはまるものは存在しない。*1……でももし創作物転生なら主人公はどっかにいるはずだ。も、もしかして私?いや〜困っちゃうなぁ!?主人公とかできる気しねえと私は嘆いた。

 

 いやいや、メタ的に考えるんだ私。オトン、てことは主人公の父親だと考えられる。ほとんどストーリーに関わらないからこんな名前なのだろう。あ、いやテキトーな名付けだってバカにしてる訳じゃなくてね?私の隣には兄がいるではないか。

 おそらくはあっちが主人公なのだ。多分そうだ。その可能性もある。そうすると私は主人公の妹ということになる。どちらの可能性もあるし、どちらにしろ事件に巻き込まれやすい立ち位置になる。……ちょっと鍛えておかないと死ぬかもしれない。怖い。

 

 もう一つのチート能力と思われる現象はそれ(戦闘)に役立ちそうな能力である。目を閉じて意識を集中することで現れる、前世には無かった謎のスイッチ。

 それを切り替えることでポカポカの塊。体の奥底から湧き上がってくるそれを目視し、自由自在に操作することができるようになるのだ。試しに体の外に出して火にしてみたらなんかできたのでそれは魔力と呼ぶことにした。これがもう一つのチート。魔力を操れること。なくても感じることは出来るし、既にそこそこ操作できるからあんまり強くなさそうではある。

 

 で、その魔力を体の中でグルグルさせたりして身体強化wwwwwwとか頭に集めて思考加速wwwwwwって遊んでいた(訓練していた)時のこと。隣の兄、シド・カゲノーの魔力が私の真似をし始めた。いや、真似ではない。兄の操作方法は私と全然違う。それに兄はこちらの魔力の動きを感知できているわけではなさそうだ。つまり、兄は自力で魔力を巡らせる方法を発見したことになる。てか私より全然操作うますぎ!負けじと兄の魔力の動きをパクったら兄も私の存在に気がついたらしい。その日から私たちはお互いの魔力の動きを真似しながら徐々に徐々に魔力操作技能を高めていったのであった。

 

 いやいやおかしいでしょ。なんだあの兄は天才か?そうでもなければ転生者だ。そういうわけで私は魔力をネリネリして兄の頭に魔力の紐を伸ばしてみる。ブスリ、と頭に刺さったのを確認し、私は兄に日本語で呼びかけた。

 

「あうあ〜(聞こえますか……兄よ……私です。アイシャです)」

「(コイツ直接脳内に……!って、アイシャってことは僕の妹?)」

「(その通りだよお兄ちゃん(マイブラザー)。やはり貴様も転生者だったか)」

「(そのようだね、僕の妹(マイシスター)。とりあえずなんかわかってること共有しない?魔力訓練も楽しいけど周りの人が何言ってるか気になるし、分かってる単語だけでもすり合わせをしたいんだけど)」

「(我が兄(マイブラザー)よ、君はチート能力を持っていないのか)」

「(持ってないけど、もしかしてアイシャは持ってるの?)」

「(なぜか知らんが周りの人の言うことがわかるんだ)」

「(ああそれはチート能力だね間違いない)」

「(羨ましい?)」

「(ちょっとね。まあでもそういうことなら色々教えてくれる?)」

「(かしこまっ!)」

 

……情報共有中…………

 

「(男爵家か、大当たりだね)」

「(??……!権力争いに巻き込まれにくいから?)」

「(ああ、それもあるけど。一番は僕の目標に役立つからかな)」

「(目標?なんかあるの?)」

「(ん〜ナイショかな。僕は本当に大事なことは人に言わないようにしてるんだ)」

「(そっか)」

「(それで相談なんだけど、火とかの出し方って教えてくれない?外に出した魔力を維持するの難しくて……)」

「(それもチートだからどうやって出してるのかわかんない。だから見て盗め!頑張れ!)」

「(ええー?じゃあ別にいいかなぁ。もっと魔力操作のクオリティ上げたいし)」

「(諦めるのか兄よ。これをマスターすれば闇の炎を抱かせて殺す(闇の炎に抱かれて死ね!)とかかめかめ波ができるようになるんだけどなー?それにチート能力に努力で勝つ展開熱いと思わない?)」

「(何それかっこよすぎじゃん!!!!!素敵すぎじゃん!!!!!!よろっしおねっしゃあ!!!!!!師匠!!!!!!)」

「(わあ必死すぎて怖い)」

 

 テレパシー(有線)のおかげで直接コミュニケーションが取れるようになった私たちは思ったより人との触れ合いに飢えていたようで、四六時中頭を繋いだまま魔力訓練をしたり、現地語を学んだりして幼年期を過ごした。

 

 

◇◇◇

 

 

 5歳になった。鏡を見たらキャワワな美少女がにっこり微笑んでいる。ふわふわ系の顔だな。姉のクール系の顔とは系統が違う。髪の毛は家族に比べて若干色素が薄い。みんな漆黒の髪色だが私は灰色とかそんな感じ。

 目も若干赤っぽい気がしないでもないのでアルビノ気味なのかもしれない。いや、そんな中途半端な状態があるのか知らないけど。家族との関係は良好。私も特にやりすぎたりすることなく、今は家庭教師に勉強を教えてもらっているがせいぜい秀才止まりでちゃんと抑えている。今世のマミーを心配させたくないのでな。ほら、優秀な男爵家ってなんかいじめられそうじゃん?

 

 で、その家庭教師によって新たに判明したこの世界の特徴としてエルフや獣人族がいること、それはまあファンタジーの定番だからいいとして、魔剣士という職業が存在することが挙げられる。他異世界で言うなら身体強化魔法的なものを使って戦う剣士職であるのだがなんと戦闘職がこの職業しか存在しません。原因はおそらく魔法の有無。

 この世界の魔力は魔法に使えないというか、体の外で維持できない、操作できないのが常識らしい。一部吸血鬼とか血に混ぜてとかあったりなかったりするが基本的に魔法使いは存在しない=支援職とかない=それを守る騎士もいない。加えて言うならダンジョン的なものが存在しない=盗賊(シーフ)職が存在しない=パーティーとか組む必要ないので必然全員魔剣士となってしまったのだろう。ファンタジー世界の恥晒しめが……

 

 そんなわけで魔法と近代化学文明の存在しないこの世界において私の魔法と狂ったような鍛錬でそれを習得した兄、さらにはその両方が持つ現代知識とかどれもあまり公にはできないことがわかった。家庭教師に感謝である。いやそんなの転生した時から分かってたことだから置いておいて。

 

 目下の問題は我が兄シド・カゲノーのことである。夜な夜な家を抜け出して何処かに行っているようなのだ。今日こそはどこをほっつき歩いているのか突き止めなくてはならぬ。マミーを心配させる訳にはいかぬ。だからこその張り込みだ。

 

 おっと来たか。魔力を使って鍛えた第六感がこそこそと屋敷を抜け出そうとしている兄を捉えた。その前にシュタッ、と降り立つ。クックック、びっくりしてるびっくりしてる。顔はポーカーフェイスを保っているが生まれた時から一緒にいた私には雰囲気で分かる。ちょっとドヤ顔気味に私は問いかける。

 

「どこへ行くのだお兄ちゃん(マイブラザー)、こんな夜更けに」

「見事な隠密だ我が妹(マイシスター)。そして今の僕はスタイリッシュ盗賊スレイヤー。盗賊を狩りに行くところさ。まさか引き止めたりしないだろうね我が妹(マイシスター)

「どうせやめろって言っても聞かないんでしょ?」

「さすが、僕のことをよく分かっているね」

「だからついていく」

「ついてくるな、って言ってもついてくるんでしょ?」

「さすが私のことをよくわかっておいでだ」

「別にいいけど僕の獲物を横取りしないでよね」

「私にも試し撃ちぐらいさせて欲しいなぁ?」

 

 ダラダラと喋りながら私たちは夜の森へ歩んでいく。ん、とエスコートしろ、と私が差し出した手を兄が苦笑しながら繋いで私たちは駆け出した。この日を境に盗賊の減りは加速し、森に局地的な異常気象が報告されたり、怪しげな2人組が出没するようになったらしいがそれはまた別のお話である。

*1
存在してます。知らないだけです




え?シドくんの性格が違う?多分きっとあれだよ、幼年期にずっとオリ主ちゃんと頭繋いでたんで多少影響を受けたからだよ。ただキャラを掴むのも描くのもそれっぽく描写するのも苦手なだけだけど理由をつけるならそういうこと。
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