魔神ちゃん止まって!/錬金の魔女と魔神ちゃん:第一章は「1滴の泥を落とされた楽園の中であっても」   作:電子サキュバス

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限りなく終わりに近くて、始まりに近い場所

 

 ボクがこの場所についたとき、既に誰もいなかった。

 森に隠されたこの場所は、ひっそりとただ、思い出をしまうように存在していた。

 小屋の中に入り、机に置かれた日記の最後にはただ一言こう書かれていた。

 

 「これからこの世から神はいなくなるだろう」

 

 そう書かれていた。

 

 神、神か……。感慨深いものだ、ボクにはもうボクの神がどんなだったかも覚えていないが、しかしこの世の人々は神をどう思っていたのだろうか……。

 

 ボクには未だやらなければならないことがあり、それが神の意向だと覚えている。だが、それを忘れたとき、それは概念すらも超えて非存在のものとなってしまうだろう。

 自分の神をこの世の皆が忘れてしまったとき、世界はどのように変わってしまうだろうか。

 

 信仰不要の世界とは、如何な楽園であろうか――。

 

 

 あるいは阿鼻叫喚の地獄になるであろうか……。

 

 

 日記の著者はイリス・スキアとなっている。誰だろうか、知らない名前だ。

 それに、生活に関係がない場所だけがやたらと荒れている。まるでそこだけが夜襲にでもあったかのようだ。何かを探し、荒らしまわった痕跡、とでもいうのだろうか。不可解だ……。

 

 まるでそこだけが見えていなかったかのように、無傷で残っている個所がいくつもある。何らかの術か何かの作用で守られたか、認識をずらされていたみたいだ。

 

 今はもうその効力が失われたのか、普通に見て回ってもいいようだが……。何かを隠していた……?

 気になるところだが、一通り、見回ったが、痕跡はおろか、推測できる材料すら見当たらない。

 物理的なものではないのは確かだろうが、魔術的な痕跡すらもないとなると……、もっと上位の系統……魔法や概念あたりの何かがあったのか?

 

 ここから先には岬がちらりとみえるが、なにもなかったし、ここは異様だ。今はこれ以上何もわからないが、いつかの時のために覚えておこう。

 

 

 

 場所は、大陸エレムリアスの中央。地下をぬけて、森を歩いた先。海に面した突起のある土地。

 まさか大陸の中央に海があるとは……。つまりこの大陸は海に浮いているということなのか?不安定にもほどがある。いつ転覆するかわからない。

 だが、それが当たり前の歴史というわけではなかったし、何らかの力によって今まで大きな自然災害などが起きなかったのかも知れない。興味をそそられるが、目的から反れる。あまり興味に引き寄せられてる暇はないというのに……。

 

 ボクの今するべきことは、この「大陸の全てを味方にすること」。それ以外は蛇足なんだ。忘れてはいけない、目的のために、それはひいては多くの命を救うことにもなる。そう信じている。

 

 

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