魔神ちゃん止まって!/錬金の魔女と魔神ちゃん:第一章は「1滴の泥を落とされた楽園の中であっても」 作:電子サキュバス
「なぁ、頻繁にうちで剣買ってくれるのはいいんだけどよ、あんたが剣使ってるとこ見たって話を聞かねぇのはなんでだ?戦えないってことはねぇんだろうけど……」
「私のように高頻度で買いに来る者にも、変わりなく売ってくれるのには感謝しているんだ。だから話すのだけど――」
掲示されている剣を手に取って、剣技の魔女は刀身を見つめていた。特段吟味しているという風ではない。
その目はただ、これから共に戦い、戦地で散るのが確定している友に向けるかのようだった。
剣技の魔女、アルテミナ・エクリプス。彼女は背にある大筒を揺らしながら、一つ一つ剣を手に取って確かめる。
「私の魔法は、剣一つに限り一回しか使えない」
「剣の潜在能力を限界まで引き出すから、一戦闘では使用したらしばらく休憩を挟むとかか?そのせいで消耗が激しいのか?」
刀売りの親父は、推測しながら問うた。
「そうじゃないんだ。 それだと、ここまで買いに来る頻度と、同時に買う本数の説明にならないじゃないか。 私の魔法は、魔法というよりも体質のようなものだ」
「はぁ、体質……」
「掌から、高熱の魔力を放出してしまう体質。 肉体の運動したエネルギーに呼応して、私の意思に関わらず魔力が溢れてしまうんだ。 なんとか日頃から発散はしているから、今はそう見えないだろうが……この剣を使う時には、容赦も加減も一切できないから――」
「その高出力の魔力に、剣が一回しか耐えられず塵になるってぇことか。な~るほどなぁ、そりゃ何本も必要になるわけだ。 並みの刀鍛冶師、付与師じゃどうにもならんわな。 けどもしかしたら、錬金の魔女さんならその問題、どうにかなるかもなぁ。 あの人は、誰にもできない武器効果の多重付与とかをやってのけるし、もし機会があれば探すなり話をしてみるといいかもな」
「そんな魔女がいたとは……」
「知らないのか?王都でもう10数年活動してるから、知らない人はここいらじゃいないはずなんだが……。 この
「王都にはもうしばらく顔を見せていないな……。そうか、今はそんな魔女がいるのか。 出会うことがあったら、頼んでみようかな」
「あんたの財布事情を考えれば、それはいい判断だな。 俺らの売り上げはともかく、他の奴らが買えなくなる可能性は減った方がいい。金属の供給速度にだって限りはある。急激な需要には耐えられないからな」
「うむ、その通りだな。 これからは錬金の魔女と会うのも目的の1つにしておこう」
「しかし、相変わらず99本買っていくのはやめといたほうがいいぞ……」
「む、そうか……」
(というかこの人は、戦いにすらならないから、そりゃ戦おうと思っても戦えないわな)