昔から、とある夢を見続けていた。
いたましく、悲しく、熱い、そんな夢を。
夢には私の『とても大好きな人』が必ず出てきていた。
それが誰かはわからない。顔も分からず、性別すら定かではない。しかし『その人』のことを私はとてもとても──心の底から愛していた。
『
しかし、どんな夢の中でも『
私じゃない誰かを守って。私じゃない誰かのために。
『
砂漠で遭難し
ミサイルに爆破され
手を差し伸べた生徒に腹を撃ち抜かれ
宇宙の藻屑となり
ビルの爆破に巻き込まれ
ありとあらゆる手段、ありとあらゆるタイミングであなた様に死が訪れる。
それを私は見ている事しかできない。
大好きなあなた様が死ぬ様を、やりたいこともできず、自分の死より生徒の行く先を願いながら息絶えるあなた様を、夢の中の私は見ている事しかできない。
いや、見ている事ができていれば十分なほうだった。人伝に聞いたり、朝のニュースで訃報を知ることすら少なくは無い。
夢の中の私は、常に『
それがとても悲しく、とてもこの身を、心を焦がす。
それは怒りの炎。
なぜ側にいないのか。なぜむざむざ死なせてしまうのか。
なぜ、なぜ、なぜ──
『
ありとあらゆる全てに対して、度し難いほどの怒りを覚えていた。
その怒りは夢を見るごとに積み重なっていく。夢の悲しみを燃料として、現実へと怒りが漏れだしていく。
だから壊した。歯向かう木っ端のような不良を。
だから壊した。
『
そして、もし『
戦って壊して戦って戦って壊して壊して
いつしか誰かが私を『災厄の狐』と呼んでも、それでも私は止まらない。この胸の怒りの炎は収まらない。
一度不覚を取り矯正局送りにされてしまったが、この程度の拘束を抜けることは造作もない。
ゆっくり、頭を冷やしながら考えよう。
そう思っていた時、
清々した。これで『
それでもあなた様は来てしまった。
連邦生徒会長代理に引きつられ、各校の要人を引き連れ、連邦生徒会長不在を縫って暴れている木っ端を蹴散らして進んでいた。
一目顔を見た瞬間、私の中に今までの怒りとは別の炎が燃え盛るのを感じた。
それは恋の炎。何度も何度も、幼い頃から夢で見た『私』が持っていた、私が感じたことの無い情熱の炎。
狐面の下で、涙がこぼれた。
ホントはあなた様には来てほしくなかった。
──でも、あなた様にあえてとても嬉しかった。
あなた様が来てしまったせいで、死んでしまう未来も存在することが確定してしまった。
──でも、あなた様が実在してくれて嬉しい。
沢山の二律背反の喜びと悲しみ、それを抱えたまま私はあなたと対面する。
さぁ、今度のあなた様はどんな人?
知りたい。
守りたい。
生きていて欲しい。
今度こそ、今度こそあなた様をお守りいたします。
この狐坂ワカモが、たとえ命を懸けてでも。