この先生の指揮下に入った生徒はフィジカル系のステータスが一段階上がり様々なサポートを受けます
最強格と組ませちゃダメでしょ(真顔
それを簡潔に説明するのであれば、枷を外したというべきだろう。
艶やかな漆黒の髪は病的に色素を失い、力なく仄かに陽光を透過する白髪へと。
洞のようだとも評される底なしの瞳は磨き上げられた紅玉の如き輝きを放つ。
西水チトセと名乗るには幾分か不足した状態。生徒と呼称するには躊躇いを覚える不明瞭な何か。
───まだ先生が相対するべきでない存在。
「うへぇ、相変わらず凄い圧だね......おじさん怖くて泣いちゃいそうだよ」
「あれが以前話してた"本気"なのね───強さ以上に、本能的に戦闘を避けたくなる何かを感じる」
"えっ、チトセって変身できるの!?いいなぁ!!"
他の面々は思わず息を呑む中、割と呑気な三名。
そこにあるのは驕りではなく、絶対的な自信。
"じゃ、私も本気出しちゃおっかな。アロナよろしく!!"
「了解しました!!───決戦級戦闘補助システム、起動します!!」
決戦級戦闘補助システム。それは戦闘補助システムの中でも多数の生徒を指揮することを想定して設定された、シッテムの箱が有する機能の一つ。
自律飛行するドローンによる情報収集、処理及び可視化を主軸に置き圧倒的な演算速度によりそれ単体でも十分な指揮能力を持つ。
───だが、
「おじさんも頑張っちゃうぞ~」
「(終わったら柴関に寄ろうかしら)」
キヴォトスにおいて初めて振るう本気の指揮に僅かな高揚を覚えていることは誰に指摘されることも無く。
最強の二人は一切気負うことも無く。
戦いの火蓋は一発の銃声によって切られた。
◇
この状況で勝ち目があると思ってる奴、ガチで危機感持った方が良いと思う。
厳しいって。キツいって。
まずね、ホシノさんが居ると。
この時点でもうね、馬鹿かと。
キヴォトス最強は嘘でも誇張でもなく、一度ダウンを取ったのは一年前の話。
ブランクのある私と、ずっと戦闘訓練と実戦に明け暮れていたホシノさんの実力差は明白。
正面から戦ったら本気を引き出すこともなく一分でボコボコの簀巻きミノムシにされてアビドス行きですはい、一人だけで十分にオーバーキルです。
んでアビドス組が全員居ると。
もうね、勝てるわけないんですよ。
ここでみんな血迷ってアビドスVSゲヘナで戦闘おっぱじめたら勝つのは100%アビドスですからね、人数不利どこ行った?
そこにヒナさんを加えると。
あー!イキスギィ!イキスギた!
もう誰が勝てるねんこれ!!しかも黒翼隊14人も連れてくるなー!!●すぞー!!あいつら二人一組だと並の準最強格より厄介なんだよなぁ......真面目に訓練してるんだろうなって思います(小並感
で、先生がガチで指揮すると。
......本当にこれ誰が勝てるねん。
トマト全員分ハシゴしてついでにベアおばシバいておつり来るよ!!
というか先生の底が未だに見えないから一番怖いまである......
とはいえ、ですよ。
私の勝利条件はトンズラすることであって全員ぶっ●すことではないんですよね。
5秒。
それだけの時間何の妨害も受けなければ黒服さんタクシーで安全に帰れるはず。
作っててよかった緊急呼び出しボタン(なお作成時は少し嫌そうな顔をされた
とはいえ平地じゃ小細工を弄したとこで瞬殺なので、先生&ゲヘナ組の背後にある市街地に入らないと話にならなくってぇ......もうつらくってぇ......
なのでこうします。
「アロナちゃん、しっかり守ってね。万が一死んだらシャレにならんから」
「......へ?」
闇よ!!
◇
"びっくりした......"
「先生、大丈夫!?」
"たぶん......"
チトセの放った弾丸は右肩を掠める......というか至近弾と呼ぶべき位置に撃ちこまれた。
問題はその精度と威力。
あえて外した弾丸はアロナによるバリアにギリッギリ当たる位置に、こちらがバリアを展開したことを確認してから撃っていた。しかも、仮に何らかのトラブルでバリアが無くなっても重症に至らないよう"貫通"のみに特化した攻撃。
そして、桁違いの威力。
戦車砲にすら余裕で耐えるバリア越しにちょっとよろめいたし、シッテムの箱のバッテリーが一撃で15%近く持っていかれた。
"やられたね......あれもホシノへの対策の一つ、なのかな"
でもね、チトセ。
───勝負はここからだよ。
"アロナ"
「はいっ!!」
カチリと。
私の脇を通り抜けていったチトセを追いかけるように、アロナの一声に数多の信管が呼応する。
「爆発は、芸術だっ!!」
大地が、大気が震え臓腑を心地よく揺する。
革靴から伝わる鋭い振動と、一拍おいて鼓膜に響く鈍い衝撃波。
───ああ、これだよこれ。
"データっ!!"
「ホログラム、展開します」
予め収集しておいた地形情報から構築された巨大な3Dモデルと、目まぐるしく変化する戦況をリアルタイムに反映する平面マップ。
それら全てを"再び"頭に叩き込み指揮を開始する。
言葉では遅すぎるからキーボードで、通常の言語では煩雑すぎるから圧縮して。
みんなへの指示はアロナが翻訳してくれた合成音声に任せて、戦場を脳内で組み上げる。
"来た来た来た───"
生を、己の存在を実感するこの瞬間。
戦場の全てを掌に収め、多幸感と全能感が頭蓋を満たすこの感覚が───
ただ、ひたすらに心地いい。
"───あはっ"
◇
「じゃ、ヒナちゃんが先行しておじさんが追いかけるってことで。ばっちこーい」
「ええ、手筈通りに」
先生が直接指揮を執るのはホシノを除くアビドスの4人と黒翼隊のみ。
私たちはその場で最適な行動をとるだけでいいとお墨付きをもらっている。
故に、大量のC4爆弾で足を止める第一フェーズに続いて私達は最も古典的で効果的な手法をとる。
それ即ち、挟撃である。
「よいしょーっ!!」
「ッッ!!」
バレーのアンダーハンドパスのように体の前で組んだ手を足場にした跳躍、ただそれだけ。
そこに私たちの筋力と先生の指揮による支援が組み合わさり、ビル数棟分に匹敵する距離を一歩で踏み越える。
───視界の端。熱源探知がチトセの姿を捉える。
空中で姿勢を反転、進行方向に背を向ける形で照準を定め───
「さて、何発当たるかしらね」
連続したマズルフラッシュがガスバーナーのように銃口から噴き出し、吐き出された弾丸がアスファルトに何の抵抗もなくめり込む。
衝撃で路面が浮き上がり、その弾痕はさながら断層を思わせる。
再びチトセの姿を捕らえる。
───時折残像が生じるほどの高速機動に、僅かな陰りが見られた。
(直撃2発、至近弾3発ってとこかしら)
着地。普段であれば衝撃で数秒は足が痺れる高度からのそれも、先生の指揮下では殆ど無視できる範疇に収まる。
───周囲の建造物には巧妙に偽装された大量の爆薬。前方には私、後方には小鳥遊ホシノ、両翼からアビドスの生徒と黒翼隊が展開中であり再び包囲した形になる。
だけどチトセも市街戦というホームアドバンテージを獲得した。周囲の地形や建造物を活かした変幻自在のゲリラ戦が彼女の強み。
つまり───
「仕切り直しね、チトセ。あの時の借り、返させてもらうわ」
「......まあ、こうなりますよね」
今日ここで、あの時届かなかった言葉を。
......響かなかった銃弾を貴女に送るわ。
このイカレた世界の中でも先生はトップクラスの狂人
原作から外れた結果、チトセの認識外で起こるバッドエンド級の問題も大半は自力で突破できます
ヒナちゃんもチトセには色々と世話()になっているので思うところしかないとか
次に書くかもしれないもの
-
アビドス編
-
アビドス(過去)編
-
エデン条約編の後