アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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なんか気づいたら赤バーが最大まで伸びていました。はぇ^~すっごい......(感嘆)
その辺の仕組みよく分からないんですけど嬉しいです!!感謝ァ!!


あと前回の話で普通に誤字ってたことをここに告白します
そちらの話の後書きにも追記しておきました

爆轟×
爆燃〇

爆轟だと普通に自爆してKOです(アホ)


二度とやらんわこんなクソゲー!!

 

「し、しぬぅ......」

 

 はい、感興の瘋癲こと西水チトセです。現在達磨ちゃんパラダイス状態で床に転がっております。

 

 場所は不明。おそらく戦闘ポイントから数百メートルは離れていると思われますが、何せ起き上がることもできない惨状なもので。

 

『......31箇所の骨折、多量の出血を確認。両大腿骨及び左上腕骨複雑骨折、右手根骨及び指骨の粉砕骨折が認められますが、どのように撤退するのですか?』

 

 これは"偏在"の副作用......でもなんでもなく、いわばIFの世界線で負った傷が再現されているものです。

 

 効果は短距離テレポートとしての側面がメインですが、その本質は限定的かつ条件の厳しい事象の改変と呼べるもの。発動した時点から存在しうる分岐した確率世界のうち、再度発動したタイミングで選択して自身の位置や状態を置き換えることができます。

 

 ......と概要だけかいつまんで説明しても理解しにくいと思うので順に話しましょう。

 

 まず能力で起点を定めると脳内に「起点となった瞬間から分岐したIFの世界線における自身の座標や状態」が浮かび上がってきます。世界線の分岐は起点から能力の発動までの間のみ認識することが可能です。

 

 そして"偏在"を発動した瞬間、その世界線の一つを選択し自身の座標、状態をこちらの世界に上書きします。選択した世界線で違う場所に居れば転移し、被弾が存在すれば傷も生まれます。

 傷に関しては逆もまた然りですが"偏在"は理論上回避可能な攻撃を確実に回避できるだけなので、自力で避けられない攻撃は甘んじて喰らう他ない為あまり意味は......ないです。

 

 つまりこの世界線は「起点を定めた瞬間に全力で逃走した」場合のIFルートであり、全身の傷は包囲網を死ぬ気でブチ破った証拠なんですね。まあその世界線では普通にボッコボコにされて床に転がされて連行一歩前牧場っぽいんですけど。

 

 

 ......割と強くね?と思ったそこのあなた。いっぺん使ってみ?(弱すぎて)飛ぶぞ。

 

 

 この能力、言うなれば「きちんと事前準備をしないと発動すらしない劣化版不義遊戯」です。

 発動条件は大きくふたつ、予め起点を指定することと周囲の人間の認識から外れること。

 

 なぜキツいか順に説明していきましょう。

 まず消費する神秘の量が半端じゃないです。私の場合は毎秒最大値の2%は持っていかれますね、イカレてら~。

 

 そして周囲の人間による認識のラインがガバガバです。視認はもちろん、私の身体が発生させる音から放出する電磁波、認識できるのであれば気流や振動までも"認識された"判定になります。"そこに何者かが居る"と判断された時点で発動ができません。

 そこらの生徒相手でもこれらの条件を満たすことは非常に困難、ましてや先生やホシノさん相手に素で発動するのは不可能です。

 

 その為の特殊グレネード、そして一瞬の隙を作り出す為の恐怖再現(Terror Reproduce)だったんですね。発生させる熱と煙、光と散布されたチャフがあらゆる方法による"私"の観測を阻害する効果があります。先程は"必中"と"施錠"でグレネードを起爆させる猶予を無理矢理作り出してギリッギリで発動に成功しました。

 

 しかもこの能力、ここまで丁寧に事前準備して発動したにも関わらず格上との戦闘に関しては殆ど役に立ちません(泣

 

 だってこれ使ってる間は他の恐怖再現(Terror Reproduce)使えないですし、攻撃に転用しようにも起点は同時に一つしか設定できません。

 グレネードによる目くらましから転移で不意を突くなら、最初から閃光弾(スタングレネード)とか発煙弾(スモークグレネード)でよくないですか?わざわざ"偏在"使う意味あります?

 

 キャンセルしても消費した神秘は帰ってこないし、3秒間発動した場合は当然ながら3秒分の差異しか生まれないので全くもって無意味な場合も......一番実用的な使い道が格下への舐めプなの最悪すぎます!!そもそもこの能力が戦闘向きじゃないんですよね。

 

 今回は初見殺しで何とか隙を作りましたが、もしホシノさんがグレネードを無視して突っ込んできていたら普通に詰みでした。体の一部を掴まれる、或いは触れられているだけで発動できないので本当に運が良かったというか......

 

 ───別世界線の私の尊い犠牲に合掌しつつ、逃亡!!

 

「......うっ」

 

 こんな事を考えてないでさっさと逃げたらどうだ、って?今やってるんですけどポケットの中に仕舞った黒服さん呼び出しボタンが取り出せなくて......右手の指が大体潰されてるので上腕骨が折れてる左腕でなんとか頑張って......あっ、あったー!!!!

 

「よろしくお願いしまーす!!」

「クククッ、お呼びですか」

 

 元からそこに"居た"かのように彼はその姿を現す。

 脳が本能的に視認を拒む外郭に覆われたゲートより、小気味良い革靴の足音を響かせて歩み寄る。

 

 その本質は転移(テレポート)ではなく空間の接続。疑似高次元干渉(Imitation higher-dimensional interference)によりワープゲートを生成できる彼はしばしば、いやそこそこの頻度で同じゲマトリアのメンバーから便利な移動手段扱いされている。

 かく言う私もお世話になってます。ほんま頭が上がりませんなぁへへへ......(揉み手

 

 まあとりあえず───

 

「───見ての通りです今すぐ帰りたいですよろしくお願いします!!」

「酷い怪我ですね。せめて応急手当をしてから移動したいところですが......」

『一部生徒の接近を確認、方位10、距離250』

 

 えっ、なんて?

 

『空崎ヒナ及び黒翼隊4名、速度50......60で接近中』

「アイエエエ!!ヒナサン!?ヒナサンナンデ!?」

 

 マズい!!マズいですよこれは......!!

 ()()()()()()()()()()に関してはヒナさんが一番ヤバい!!

 

(というか、何で居場所がバレた......!?)

 

 転移先の予測はまず不可能、というかこの能力そのものが初見なので即発見なんて絶対にありえないはず。屋内だから上空からの熱源探知にも引っ掛からないはずだし......

 周囲を見渡しても人影なんて───おやぁ?

 

 先生のドローン<コンニチハ‼

 

「あっ、どうも」

「おやおや、これは先生の───」

 

 おるやんけ!!

 

 そういえば先生が戦闘開始時にドローンたくさん呼び出してたっけか。咄嗟に最も遠くまで逃げられた世界線を適用しちゃったけど、これアレか。先生の目があるから逃走は絶対に不可能だけど一番距離が稼げるルートだった......ってコト!?

 

 あっ、ヒナさんの機関銃が射線上に存在する他の家屋を瓦礫に変化させる恐怖のサウンドがBGMに!!もう嫌ァ!!

 

「黒服さん早くしてぇぇぇぇ!!死んじゃう!!挽肉にされちゃうからぁぁ!!」

「クククッ、あなたといると本当に退屈しませんね。

 ......少々手荒ですが、クレームは後程受け付けますので」

「はぇっ?」

 

 一言だけ断ってから私をワープゲートにぽいっと放り込む黒服さん......ん?

 え??私って重傷患者なんですけど......放置されたらそのまま野垂れ死ぬレベルなんですけど!?なんで投げた!?

 

 あっ!!この人ちゃっかり撤退前に先生のドローンを回収しやがった!!私を丁寧に送ることより未知の機器を優先したよこの人!!

 "代謝"ですぐ治るからって手荒に扱っていいわけじゃないんだぞこのヤロー!!

 

 あっ、地面が迫っ───

 

 

 

 

 

 ◇ 

 

 

 

 

 

"なんかさ......みんな、強すぎない?"

「当たり前でしょ。今戦ってる三人はキヴォトスでもトップクラスの実力者なんだから」

 

 部隊単位での戦術を嘲笑うかのような、圧倒的な"個"の力を前にして私は少々面食らっていた。

 彼女たちの実力を疑っていた訳ではないが、なるほどキヴォトス最強と言われる理由が素人の私にも理解できた。

 

"......実は、アビドスってすごい学校だったり?セリカもスーパーキヴォトス人なの?"

「何それ......他の学校の生徒と戦闘したことないから知らないけど、うち(アビドス)じゃほとんど勝てないわよ。

 賞金首狩りも考えてたんだけど、私の実力じゃ危ないかもだからこつこつバイトしてるって訳」

"それ相手が悪いだけなんじゃ......"

 

 それにしても......

 

(───これが噂に聞いてた"最強格"か)

 

 ホシノやヒナを相手に指揮をした経験はもちろんある。

 それも一度や二度ではないし、彼女たちの信頼を勝ち得るだけの過酷な戦場を全力の指揮でサポートしたことだってある。

 ただ───

 

"文字通り、()が違うね"

「そうでしょ、うちの先輩は最強なんだから!!」

 

 私では、彼女たちの本気を引き出せなかった。

 本気を出すほどの相手との戦闘指揮を私は経験していないけれど、それでも確信めいた何かがあった。

 

 今の私では、力不足だと。

 

(───悔しいな)

 

 私にできるのは弾道計算や行動予測、あとはシッテムの箱によるバフと各種トラップの配置と───割と色々やってたわ。

 まあでも一番大きな支援である戦術指揮ができてないからね。基礎スペックが高すぎて私の認識速度を超えちゃってるのが原因だから、今の私は雨の日の大佐くらい無能です。トホホ......

 

"それにしても、キヴォトス最強の二人を相手にチトセもよく凌いでるね"

「......正直、私と戦闘スタイルが被ってるのもあって凄く参考になるわ。かなり不服だけど」

"不服?"

「よく先輩の話に出てくるし初対面って感じがしないのよね。聞いていた通りの性格っぽいし」

 

 これは少し意外かもしれない。退学したチトセについてホシノが後輩たちによく話していたとは......

 と思ったけど、注意喚起のためかもしれない。アビドスにはまだホシノですら把握していない研究施設が複数あるらしいし、偶然かち合ったりした時の為に情報を共有しているのかも。

 

"ちなみにホシノはチトセについて何て言っていたの?"

「戦闘スタイルやちょっとした思い出まで、色んな事よ。ただまあ───」

 

 枕詞に決まって言うのよね、と苦笑交じりに語る。

 

「───清々しい笑顔でね、『カスだけど』って言うの。正直ちょっと怖いわ」

"......なるほど"

 

 まあ、うん。ノーコメントで。

 

"ところでセリカ目線だとチトセはどのくらい強いの?"

「普通に格上、ただホシノ先輩やヒナさんと比較すれば明確に下ね」

"そうなの?"

「見てわかるでしょ。だって───!?」

"消えた───!?いや、ドローンの一つに反応がある!!"

 

 急いでホシノとヒナに位置情報を共有するも、あの二人から逃れ包囲網から抜け出したという事実に驚きを隠せない。

 つい数秒前までゼロ距離で殴り合っていたとは思えない距離。ヒナが全速力で向かったらしいけど直線でも250メートルは離れているし───

 

"黒服───転移か!!マズい、逃げられるよ!!"

「えっ、そんな急に!?」

 

 恐らくホシノにも見せたことのない正真正銘の切り札。そうでなければ"あの二人"から逃げおおせられるはずがない。

 

 チトセと黒服は少し会話した後、こちらの存在に気付いたようですぐさま撤退を選択した。

 黒服はちょっと雑にチトセをゲートに放り込むとこちらに近づいてきて......なに?なんで近付いてきてるの!?来るな......!!私の傍に近寄るなああーッ!!

 ......ドローンを回収された?まあ別にクラフトチェンバーでいくらでも作れるものだし貴重な品ってワケでもないから構わないけどなんか不気味......

 

"......ヒナ、どうだった?"

「ごめんなさい、取り逃がしたわ」

「うへ~今回は、いや───今回()おじさんの油断が原因で取り逃がしちゃったね......

 せっかく先生の時間をもらったのに面目ないよ~><」

"いや、間違いなく収穫はあったよ。今回得られた情報を元に次は必ず捕まえよう!!"

「......うん、そうだね。その時はまた力を貸してくれる?」

"もちろん!!"

 

 チトセには煮え湯をこれでもかってくらいがぶ飲みさせられてきたからね!!次こそは必ずとっ捕まえてお説教だよ!!

 先生が私怨で動いていいのかって?うるさいなぁぶっ〇すよ?ここまでコケにされて笑顔で許せるほどこっちは人間できてねえんだよオラァ!!

 

 ......それに、チトセの言動にはいくつも引っ掛かる点がある。生徒個人として悪い大人と協力関係にあるというのも見過ごせないし、あまり危険なことに首を突っ込みまくっていればいつか取り返しのつかないことにもなりかねない。

 

 うん、やっぱりホシノに一回〆てもらって"お話"するべきだね(原点回帰)

 

"じゃあみんな、柴関で反省会しよっか!!"

「おっ、もしかして先生の奢り~?」

"おうとも!!みんな好きなだけトッピングしやがれ~!!"

「......いいの?」

"最近ちょっとした臨時収入もあったし大丈夫だよ"

 

 このあと滅茶苦茶散財した。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「ふむ、なるほど......非常に興味深い」

「んで包囲網の脱出に成功したって訳ですよ、私って天才じゃないですか?すごくないですか!?」

「ええ、"逃げ"の一点に関してはキヴォトスであなたの右に出る者は居ないでしょう」

「そんなに褒めても武勇伝しか出てこないですよ~///」

 

 しかし、本当に"あの"小鳥遊ホシノから逃げおおせるとは。

 以前から興味を持っていましたが、今や先生とチトセ嬢に並び注目していると言っても過言ではない彼女。

 

 "神秘の極致"と呼ぶに相応しい、文字通りのキヴォトス最強。

 

 一年半前に()()()()()()()ビナーを相手に目の前のチトセ嬢と当時の生徒会長であった梔子ユメの三名で撃破し、アビドス高等学校に差し向けられたカイザーPMCの対デカグラマトン部隊を()()()()()

 

 その危険性から研究者であり傍観者である我々(ゲマトリア)内の一部で排除について議論が為されるほどの存在を相手に、十分とは言い難い手札でチトセ嬢は勝利を収めた。

 

「今回の戦闘は、満足のいく結果を得られましたか?」

「そりゃもちろん!!

 ......相手方の損害はゼロだし二人に与えたダメージなんて無いようなもの、そんで私はボッコボコにされたけど───」

 

 トンっ、と薄い胸を叩く。この上なく晴れやかな表情で、まるで親に褒められた幼子のような無邪気さで。

 

()()()。ホシノさん相手に出し抜いて、こうして逃げ切ったんだから!!」

「ええ、その通りです───!!」

「これから忙しくなるよ、黒服さん!!」

「望むところですとも」

 

 初めて実戦に投入され、小鳥遊ホシノ(キヴォトス最強)に対して使用された恐怖再現(Terror Reproduce)の数々の検証。

 回収したドローンを足掛かりにした、シッテムの箱の追加調査。

 

 そして───

 

『......』

 

(名も無き神々の王女、その補助プログラムであるAIですか)

 

 現状で箱舟(キヴォトス)を滅ぼしうる可能性が最も大きい厄災、それが目の前の端末に眠っている。

 

 その危険性をチトセ嬢が把握していない筈もない。彼女は虎穴に両手を広げて飛び込む生粋の研究者であるが、万が一を想定し巣穴にバリケードを設けてから飛び込む良識を有している。今回の行動もまた何らかの予防線を張った上なのだろうが、未だその内容を把握できている者は居ない。

 

(───彼女の瞳には、一体何が映っているのでしょうか)

 

 ただ一つ断言できることは、それが明らかになる瞬間に立ち会い特等席で眺めることが出来るのが私である、ということだけ。

 

「ククッ」

 

 さて、何から取り掛かればよいものでしょうか───

 

 

 

 




黒服による転移が間に合わなかった場合、チトセは残り一個のグレネードで回復しつつホシノ&ヒナから逃げ回って先生を人質にします(極悪非道)
ちなみにセリカが先生と共に居るのはホシノの指示で先生を護衛していたからです

シロコ&ノノミは制圧力が高いので対チトセ部隊に、アヤネは上空から監視と援護を行っていますがタイマン特化のセリカが浮くんですね
あと後輩ズの中ではチトセ相手に単体で稼げる時間が最も長い(徒手格闘が強い)のも理由の一つです

先生が他部隊と一緒に居ると初手で人質にする極悪ムーブの餌食になるんですけど、アヤネのヘリが降下して先生を乗せるっていう隙を晒せば即"必中"で狙撃するので、ホシノが警戒した結果としてある程度離れたとこで護衛付けて指揮してもらっています(ホシノはチトセの"必中"が能力ではなく超高精度の狙撃だと思っています)

まあ最初からシャーレのヘリ出せって話なんですけど()あんたも油断してんじゃねえか!!


あと感想おなしゃす!!あと気が向いたら評価の方も......

次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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