アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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どこぞのカスの影響により少しずつ物語が歪み始めます
今日も誤字脱字報告に感謝!!



(歯車が)狂う!狂う!クレ●ップ!!

 

 結論から言うと万事解決致しました。やったぜ。

 

 予定通りにアリスちゃんは"懐かしい感覚"とやらに導かれるまま突き進み、道中に現れた敵は私が八割片付けまして。

 スタイリッシュに勝利を収めるたびにゲーム開発部のみんなが盛り上がってくれるもんで、途中からは完全に舐めプかましてました。先生の視線はちょっと痛かった......

 

 そんで例の良く分からない端末。本来はここからモモイちゃんのゲーム機にデータを移行するのですが、私がちょちょいと細工しましてバックアップすればアリスちゃんに直接インストールできましたね。

 

 いやー、私が「ここ、なんだか新しい力的なもの授けてくれそうな雰囲気ありますねぇ......」とか言ったのは関係ないだろうけど成功してよかった、うん。

 

 帰り道は大体何も残ってないので適当に雑談しながら帰ったんですけど、まあモモイちゃんのコミュ力やばいね!!圧倒的光属性のアリスちゃんと組んでしまえばもう出会う人全員友達になれる勢いでしょってレベルでして。

 

 ちなみに私自身もゲーマーだから伝説のUZQueenとお話したかったんですよね。まあユズちゃん=UZQueenだと知ってることがバレると余計に怪しまれちゃうから「今度遊びに行くね!!」ってだけ約束して、その時に対戦できたらいいな......と。

 

 ミレニアムは警備のキツさが他学園の比じゃないから侵入には骨が折れるけど、どうせ今後も何度かお邪魔する予定だし練習だと思えばいっか。

 いやー楽しみだなぁ、キヴォトス最強のゲーマーとの対戦だなんて!! 

 

 ......で、話を現在に戻しますと。

 

 場所はアビドス郊外、未だに発見されていない13の研究施設のうちの一つ。

 周囲に被害を及ぼす可能性がある新型兵器や恐怖再現(Terror Reproduce)の試し打ちなんかに使う巨大な空間。私と黒服さんはシンプルに「実験場」とだけ呼んでいる場所です。

 

 廃墟での一件を片付けた私は黒服さんとの共同研究施設にてしっかりと休んだ後、こちらに送ってもらって検証を始めました。

 ......ようやく余裕ができたのでね、ここでKeyとしっかりお話をしておこうかと。

 

「で、Keyが作られた理由はアトラ・ハシースの箱舟を作ってキヴォトスを滅ぼすこと......で合ってる?」

『......正確にはそれを行うのは王女です。私はあくまで(Key)、演算の補助と意図しない行動の防止が主な役割です』

「あれ意外。素直に答えてくれるんだね」

『アトラ・ハシースの名を知っている時点で今更でしょう。あなたを利用できるうちは、こうして円滑なやりとりを行う方が効率的です』

 

 二次創作でKeyちゃんをツンデレとして描いているやつら......全員百点だ。

 彼女は与えられた使命に従順で生真面目な性格。疑うことを知っていても、私のような悪い大人への正しい疑い方を知らない子供。

 

 ()()()()()()()ですね、手間が省けて助かります。

 

「プロトコル:ATRAHASISってのは周囲のリソースを分解して別の物質やエネルギーを形成するもの......っていう認識で合ってる?」

『概ねその理解で問題ありません』

「じゃあアトラ・ハシースの箱舟ってのは何?プロトコル:ATRAHASISによって形成された究極兵器的な何かなの?」

『......まあ、これに関しては話しても問題ない内容でしょう。

 アトラ・ハシースの箱舟とは演算装置でありリソースの集積体。プロトコル:ATRAHASISの大規模な実行に必要な演算を補助し、その際に消費されるリソースでもあります』

「なるほどね......」

 

 つまり原作ではまずエリドゥをプロトコル:ATRAHASISによってアトラ・ハシースの箱舟にして、それを足掛かりにして更に大きな箱舟を形成し......のプロセスを繰り返す予定だったわけですか。

 確かにこれならキヴォトスを単騎で滅ぼせるのも納得ですわ。

 

 一人でキヴォトスを滅ぼすなんて土台無理な話なんですよね。あのホシノさんでさえキヴォトス中の最強格&準最強格を全員集めて連日連夜ずっと襲撃し続ければ数日で倒れるでしょうし、アリスちゃんの体がいかに強靭であっても本来は不可能なんですね。

 

(......つまりプロトコル:ATRAHASISはアリスちゃんを起点としたシステムで、目的はキヴォトスを呑む"奈落の虫"を生み出すこと)

 

 一度発動してしまえば圧倒的な質量と火力、そして対応力により幾何級数的に増殖するがん細胞。

 扱えるリソースに上限が存在しないのであれば、いずれこの星ごと破壊しつくすことも可能かもしれません。

 黒服さんが警告するのも頷けます。

 

『......今更になって怖気付きましたか。構いませんよ、もう私は王女の元へ転送されたのでこれ以上の協力は───』

「いや、俄然興味が湧いてきた。是非ともこの目で見たい!!」

『......理解不能』

 

 まあ、そんなもの知ったこっちゃないです。キヴォトスが滅ぶのは流石に困りますが、対策ならいくつも存在します。

 そんなことより───

 

「じゃあ質問。Keyは今プロトコル:ATRAHASISを発動できないの?」

『......不可能です』

「なんか一瞬溜めがあったな。本当はちょっとだけ使えるんじゃないの~?」

『......一応、不測の事態に備え私単独でもごく小規模な行使は可能です。しかし演算は媒体の性能に依存しますし、オーパーツ級の演算装置があっても今の私では小型の装置程度しか形成できません』

「なるほどねぇ......」

 

 分かりやすく例えるのであればアリスちゃんがTNTでKeyが雷管みたいなもの。アリスちゃん単独では絶対に起爆できないし、Key単独でもごく小規模な爆発しか起こせない。

 二人が揃った時に初めてプロトコル:ATRAHASISは発動する。まあ原作みたいにKeyがアリスちゃんを乗っ取れば話は別なんだろうけどさ。

 

 Key曰くアリスちゃんが眠っていたあの施設の地下にはそこそこの規模の演算装置が設置されていたらしく、例の端末もモモイちゃん達が帰った後に時間をかけて生成したものらしい。

 本来はアリスちゃんの目覚めに呼応して起動し、共にプロトコル:ATRAHASISを実行する予定だったわけだからね。あんな端末なんて不要なはずだからおかしいと思ってたんだよ。

 

 今の演算能力だと小型の通信端末くらいなら作れるらしいけど、モモイちゃんの携帯ゲーム機程度のスペックでは内部をちょっといじってデータを送れるようにするので限界っぽい。

 

「で、Keyは無事アリスちゃんにインストールできたワケだけど今後はどうするの?」

『......今の王女はいわば、植木鉢を飛び出した種のような状態です。このままではいずれ私達の使命すら忘れて───』

「じゃあどうするの?説得でもしてみる?」

『それで解決するのであれば最善ですが───王女は、頷くことはないでしょう。

 ......強引ではありますが、守護者との接触によりオーバーフローを誘発させ私が直接───』

「はいダメー!!」

 

 もうね、馬鹿かと。

 いいですかよく聞きなさい、そんなことをすればどうなるかを!!

 

「今アリスちゃんが居るミレニアムには"最速"の二つ名を冠した最強格の一人、ネルパイセンが居るんだよ!!

 ちゃんとリソースのある場所で、かつ攻撃されない状況を作らないと爆速で鎮圧されるだけだから!!」

『......機を窺え、ということですか』

「そゆこと。少なくとも徒に暴走したとこでアリスちゃんからは拒絶されるだけだろうし、やるなら確実に成功する状況でないと。

 無駄骨に終わるだけならまだマシ、警戒されて二回目の機会を失う可能性だってあるんだよ」

 

 それに───

 

「ミレニアムには潤沢にリソースが存在する場所がある。そこでなら十分にアトラ・ハシースの箱舟を作れるはずだからさ」

『......その話を信じるに足る証拠は』

「現生徒会長のリオさんが秘密裏に作ってる要塞都市。あそこの総リソースは1万エクサバイトに達しているはず、いやそれ以上の可能性も......?」

 

 超天才清楚系病弱美少女ハッカーからは()()()()()()()()()()()節があったんだけど、リオ会長とは個人的にちょっとした交友があるんだよね。

 大筋に影響しない程度だけど幾つか情報も共有してるし、原作以上に堅固で巨大な設備を有していてもおかしくないかも。

 

「エリドゥの存在は生徒会メンバーにも明かしていない筈だから、裏を返せばそれだけの秘匿性を確保できる場所ってコト。

 ミレニアム周辺で、一都市を賄えるほどの電力が供給されていて地形的条件を満たしている場所。Keyなら簡単に見つけられるでしょう?」

『......なぜ、あなたはそれだけの情報を持っているのですか』

「やっぱりそこ気になるよね。まあ別に教えても構わないんだけどさ」

『......!?』

 

 これに関しては逆に()()()()()()()()な情報ですらあるからね。

 

「トリニティの生徒会長(ティーパーティ)、そのうちの一人が未来予知の異能を持っていることは知ってる?」

『いえ......ごく稀に特異な能力を持った生徒が生まれることは知識として知ってはいますが───』

「それそれ、実は()()()()()()んだよね」

『......つまり、私に協力するのは未来の為だと?』

「ははは、何を言い出すかと思えば。まあKeyは私と関わって日が浅いから分かんないかw」

 

 にっこりと、心の底から湧き上がるそれを丁寧に張り付けて言葉にする。

 

 

「───九割趣味だよ」

 

 

 

 

 

 ◇ 

 

 

 

 

 

「あなたの方から連絡を取ってくるとは意外ですね。ようやく己の過ちに気付いたのですか?」

「......そうね、少なくとも今回の件に関しては問題を軽視していたことは言い逃れのしようもないわ」

「───やけに素直ですね。それだけ事態は逼迫していると?」

「ええ、これを見て頂戴」

 

 薄暗い部屋の壁面に投影されたのは一人の生徒の姿。

 

「チトセ───まさかこのタイミングで介入してくるとは......」

「先手を打たれましたね。以前は秘密裏に彼女の身元を引き受けようとしていたどこぞのビッグシスターは、この一件をどう見ているのでしょうか」

「私が個人的に身元引受人になっていたのは、彼女の能力を正当に評価しての事よ。こういった事態への対応だって想定済み───」

「......その想定は本当に充分なものでしょうか?」

「それはどういう意味かしら」

「ああ、あなたはずっと引き籠っていたので知らないのですね」

 

 これを見れば分かるでしょう、と別の端末から転送された映像が投影される。

 ───映し出されるのは、最強格が集った天上の戦い。

 

「小鳥遊ホシノと空崎ヒナ!?それに先生まで......彼女たちは誰と───いえ、()()戦ったの!?」

「西水チトセ()()()()。しかも驚いたことに、彼女はこの戦闘の後に逃走したらしいですよ」

「......っ、まさかここまでとは」

「七囚人の中でも最も危険とされた生徒ですからね。実際に何度か顔を合わせたあなたは、彼女をどのように評価しますか?」

「......彼女は悪人ではないわ。そして悪でもないけれど、時に悪意なく悪行を為す。

 奔放で理知的で、そして誰よりも狂気的な研究者───」

 

 感興の瘋癲という名の通りに。

 

 彼女が歩むのは覇道でも王道でもなく、ましてや常道や邪道ですらない。

 己の道すら持たず、未開の森を手にした枝を振り回しながら無邪気に進む子供。

 

「───それが私の知る、西水チトセという生徒よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「西水チトセについて現在明かされている情報」を更新しました。

更新内容 恐怖再現(Terror Reproduce)の項目に"予知"を追加

次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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