アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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チトセはまあ普通にカスなんですけど、カスなりに思うところがあったりします
"今を楽しむ事"を大事にしているくせに過去を捨てきれない、過去を顧みるくせに自己を顧みない
トリックスターの悪役としては一流ですが黒幕の悪党としては三流といったところです


やるんだな!?今......!ここで!

 

「近付いては駄目よ、先生」

"リオってもしかして私のこと赤ちゃんだと思ってる?"

「......テルミット焼夷弾の一種ですね。摂氏数千度に達しているはずですが彼女は───」

 

 気持ち良くてあーイキソ(温熱作用)

 炎の中からこんにちは、西水チトセです。

 

「さてさて───お久しぶりですね皆さん。お祈りは済ませましたか?」

「動かないで」

「おっと......」

 

 その場にいる全員(先生除く)から銃口を向けられてしまいますが......ふん、負ける気がしねえぜ!!私を止めたければここにネルパイセンでも連れてくるんだな!!

 あっ嘘です言葉の綾なので全然連れてこなくていいです。

 

「ここはC&Cの主力4()()と、496体のAMAS───そして6枚の隔壁で守られている最上階よ。

 ......どうやってここまでたどり着いたの?」

「そりゃもう、すっごく頑張ったんですよ。てか今4人って言いました!?」

 

 まあ頑張ったのは別世界線の私ですがね。

 "偏在"によって観測可能な確率世界の中には"数十秒前に疑似高次元干渉(Imitation higher-dimensional interference)によってビルの入り口まで転移した世界線"が存在します。

 

 起点は5()8()()()。Keyが罠にかかった少し後に起点を指定したので、仮に私について言及されていなかったとしても凸っていましたがね。

 適当な会話でタイミングを調整し発動。最上層の防爆扉を突破しつつある程度前進した位置で一矢報いることが可能という超シビアなワンチャン択を通してここまで来ました。

 

「この程度の警備、死ぬ気で突破すれば一分もかかりませんよ」

「凄まじいわね......」

 

 とはいえ、見たところ隠し玉を3()()も使ったようですが。まあネルパイセンを一瞬で出し抜くならその程度は当然の出費でしょう。

 

 この世界線の私はフルメンのC&Cと496体のAMASがひしめく警戒度の上がった超高層ビル、そこに存在する6枚の隔壁と防爆扉を1分でぶち抜いたと......我ながらやりますねぇ!!

 まあ成功確率はいいとこ0.1%ってとこですが()

 

 やっぱ試行回数が正義だってはっきり分かんだね。

 

「で、リオ会長はどうやって私に対抗するんですか?」

「こちらにはエイミとトキ、それにネルも今こちらに───」

「ハッタリじゃんね。電力無しではアビ・エシュフもただのオモチャ、そもそも防爆扉を開けることすら困難でしょうに」

「どうしてアビ・エシュフの存在を───いえ、そもそもあなたの目的は何なの!?」

 

 うーん、これ露骨に時間を稼いでいますね。

 確かにこの状況、リオ会長とKeyの視点だと千日手状態です。

 

 鍵になるのは追加勢力の到着と電力の存在。

 

 時間をかければネルパイセン率いるC&Cが来る───かもしれない。防爆扉の構造をきちんと把握していないので知りませんがね。

 とはいえここには私が居るので制圧は必至、対抗するためには電力を復旧させアビ・エシュフを起動し防爆扉を開けてセキュリティシステムを動かすべきですが───その場合、プロトコル:ATRAHASISが実行される恐れがある。

 

 故に時間稼ぎに徹する。なるほど合理的思考ですが───私という乱数を考慮に入れていないの減点です。

 稼いだ時間が常に自分たちにとって有利に働くわけではないんですよね、これが。

 

 いい機会ですし喋ってもいいんですけどね。

 

「一連の出来事における私の最終目的は2つ───それらは既に達成されていますよ」

「それは、何かしら」

「1つ目は後でお披露目するとして......あの、笑わないでくださいね?」

「......?」

 

 ここから先は───ある1人の、無力な男の話。

 

「個人的な心残り......簡単に言ってしまえば、リベンジというやつです」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「......以前、似たような状況に陥ったことがありましてね。

 どこかの誰かは身に余る"正義の味方"を貫く羽目になり、また同時にどこかの誰かは魔王としての存在意義を否定された」

「......」

()()()()()()()()()。"自由に在れ"というモットーを掲げておきながら彼女たちに選択肢を用意出来なかったことが、ただひたすらに」

「───その話が、一体どうして今回の事態に繋がるのかしら」

「リオ会長、そしてKey。()()()()()()()()()()()()()()()()

「『......ッ!?』」

 

 そう、今の彼女達には選択肢がある。

 これこそが私の目的。あの時果たせなかった大人としての使命を、生徒達に任せてしまったその選択の責任を背負うことができる。

 

 ───今の私なら。

 

「私と取引を行うことが出来るのなら、リオ会長にはKeyのみを排除する手立てがあるのでしょう。それを使うのか否か、あなたには選択肢が存在します」

「......私は」

「プロトコル:ATRAHASISは、私が協力すれば今すぐにでも実行が可能です。実行するのか否か、Keyには選択肢が存在します」

『......私が、選ぶ?』

 

 これは償いでもなんでもない。()()2人は私の生徒ではないし、生徒であった彼女達の行く先には素晴らしい未来が広がっていたのかもしれない。 

 だからこれは単なるエゴに過ぎない。余計なお世話かもしれないし、もしかするとバットエンドに直行する選択肢かもしれない。

 

 ───でもその時は、私が責任をとるから。

 

「......2人の選択を見届けたい。それが私の目的です」

「『......』」

 

 ......おい、なんか変な空気になったんだけど。

 

「ちょっと、何か喋ってよ!!恥ずかしくなってきたじゃん!!」

"いやこう、なんかすごい真面目な感じでちょっと面食らった"

「......辻褄は合うわね」

「可能性としては想定していましたが......まさか本当に当たるとは」

「おうおう私を辱める選手権でも始まったか?」

 

 だーもう、こういう雰囲気は苦手なんですよ!!

 

「で、リオ会長とKeyはどうすんの!!ちゃちゃっと決めて!!」

"そんなコンビニでご飯買うみたいなノリで急かすような内容じゃなくない!?"

「先生は黙っててください!!」

"ひどい!!"

 

 全部先生のせいってことにしていいかな!?

 ここでうだうだやってたらネルパイセン来ちゃうかもしれないじゃん!!

 

「子供は我儘なくらいでちょうどいいんだよ!!その我儘を叶える手助けをして、責任を取ってくれる大人が居るんだからさ!!」

"......まあ、そうだね。私はまだ2人の本音を聞けていないよ"

「本音......?」

『......』

 

 でもまあ、先生ならここで"あの言葉"を伝えるでしょう。

 確信を持って断言できます。何せ───

 

"君たちがなりたい存在も、やりたいことも。

 ───()()()()()()()()()()()。責任は、私がとるからね"

 

 

 ───同じ状況で、私達はきっと同じ決断を下すから。

 

 

「......Key、私は───」

『......』

 

 リオ会長の目的は1つ、キヴォトスとミレニアムの平和を維持することです。

 そのためであれば己の命すら投げ打ち、あらゆる汚名を被ってもなお"使命"を果たすつもりでした。

 

 ......それでも。そんな彼女にも些細な望みくらい抱く権利はあるでしょう。

 

「───あなたとも、()()()()()()()()()。あの小さな部室で、一緒に......」

『───ッ』

 

 ......なんだかんだ言って、彼女はゲーム開発部の面々の事を気に入っている訳で。

 それ以前にキヴォトスに住まう全ての存在が大切なんですよね。

 

「これが最後よ、ケイ。───お願いだから、私たちの手を取ってほしいの」

『......私には、分かりません』

 

 それでも、Keyはきっと答えられないでしょう。

 その果てしない問答の果てに得た答えが今回の選択である以上、彼女の意志はきっと曲げられない。

 

 で、あれば。

 

『あの小さな部室で過ごしていた間───学園内で王女と共に声を掛けられる度に考えていました。

 ......私の使命と王女の望み、その妥協点と折衷案を』

「......」

『結局、私には見つけられませんでした。私の使命と王女の望み、そのどちらが正しく何を為すべきなのか───私には、もう分からないんです』

 

 Keyには真の意味での理解者が存在しません。最も近しい存在であったアリスちゃんがクソゲーで脳を焼かれてしまった以上、同じ目線で隣に立つ存在が居ないんです。

 彼女をこの段階で説き伏せようとしても無駄なのは、()()()()()()()()()()()()()()。その一言に尽きます。

 

 故に私は共犯者という立場を、彼女が選択するその瞬間まで貫きます。

 向き合うだけが関わり方でないことを。共に選ぶというその姿勢を以て彼女に問いかける為に。

 

ただ......私のすべきことは、己の存在や使命に対し───

 ───Key(ケイ)として、最後まで責任を果たすことです

 

「───Key!!やるんだな!?今、ここで!!」

「させないわ───ッ」

"アロナ!!なんかよく分かんないけどよろしく!!"

 

 ここで原作との大きな相違点───それは、アロナの存在を生徒が認知している事。

 戦闘指揮の際に合成音声を用いてコミュニケーションをとっていたこと、高度な演算能力を有することを把握している以上リオ会長がセカンドプランに織り込むのは想定済みです。

 

『はい!!対終末システム【Fin céleste(ファン・セレスト)】、起動します!!』

 

 想定してある以上、もちろん対策も済ませてあります。

 というか今回の準備に手間取った理由の9割これなんですよね。

 

「先生、"これ"何だと思います?」

"......黒い、チップ?それが一体───"

「これの名前はI.S.Cモジュール。とある機器に搭載されたCPUの劣化コピーであるIC(集積回路)です。

 正式名称は───Imitational(イミテーショナル) Shittim(シッテム) Chest(チェスト) module(モジュール)

『───えっ!?!?』

"......つまりどういうこと?"

この人察し悪すぎだろ......いや悪いのは頭か

 まあ簡単に言うと───先生が持っているそれ、シッテムの箱のCPUのコピーですよ」

"マジ!?てか今バカっつったか?"

「大マジ、とはいえ性能は大きく異なりましてね......」

 

 こいつを製造するためには凄まじい量のリソースが必要でして、まあそれを集める為に東奔西走していた訳です。

 てか遠征してまでリソースの調達していましたからね。本当に大変でした。

 

「本物のシッテムの箱と比較すれば1.78%程度......大体56分の1ってとこが私の限界でした。これ以上性能を上げようとするとコスパ(費用対効果)が著しく落ちてしまうのでね。

 ───なので!!」

 

 じゃじゃん!!(露出狂スタイル)

 

"───その、上着の裏に縫い付けてある物が全部......?"

「56分の1の性能しか持たないのであれば、5()6()()()()()()()()()。単純な話でしょう?

 ......さて、勝負と行きましょうかアロナさん。積年の恨み(主に青封筒)を果たす時が来ましたよ───ッ!!」

『何も心当たりがないのに凄い怒りを感じます......!!』

恐怖再現(Terror Reproduce)、"代謝"。これで発熱問題は解決だぜぇ!!黒服さん、復旧しちゃって!!」

〔承りました〕

「───ッ、電力が復旧した!?」

 

 ここからはハッキング勝負。

 

 マシンスペックはほぼ同等。こちらは私と黒服さん、そしてmy端末のKey(コピー)の3人がかりですがアロナ相手だと普通に負けます()

 本気でぶつかっても稼げる時間は0.3秒程度。あのデカグラマトンをくしゃみで撃退した化け物に勝てるはずもないです。

 

 ......しかし、0.3秒だけアロナによるKeyへの妨害が止まります。

 ───それだけあれば、十分でしょう。

 

『───ッ、突破されます!!』

『......ありがとうございます、チトセ。───プロトコル:ATRAHASIS、起動』

 

 そうして、新たな箱舟がその姿を現しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 




実は前回の話でリオ会長が電力を遮断するのが0.3秒遅れていれば、その時点で小規模なアトラハシースの箱舟が顕現して話が終わっていました
チトセにもらったI.S.Cをフル稼働していたので(最上階の一室に限り)読み込みは殆ど終わっており、ほぼ発動するだけという段階───リオ会長の隠れたファインプレーという話です

次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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