アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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ついにエデン条約編が始まります

ここまでが長かった......


エデン条約編第一章
在学中は窓割って逃げてたって話


 

「ほい、こっちに先生が処理しないといけない書類置いときますね~」

"ねえ多くない!?"

 

 という訳でシャーレ(というか先生)の保護観察処分という形に落ち着きました西水チトセです。

 今日もせかせか働きますわよ~!!

 

「いや常識的に考えて元七囚人の生徒が触れちゃいけない書類もあるでしょ。

 本当に大変なら他の生徒呼ぶなりしてもろて」

"急に正論言うじゃん......"

 

 確かに仕事量が半端じゃないのは私も同意です。

 いやほんとにこれ一人で片付けてた連邦生徒会長は何なんすかね......

 

 あらゆる機関に対し超越的な権限を有するシャーレを通してOKサインを貰おうとする非合法な輩から、先生の手を必要とする辺境の学校まで。

 これら一つ一つに目を通して可否のハンコを押していくだけでもかなりの時間が掛かるんですね。

 

 しかもこれは数多くある業務の一つに過ぎないわけで......

 

(......もうすぐ"アレ"の時期ですし、あんまり先生には負荷を掛けたくはないんですがね)

 

"まあでも今日から助っ人が来てくれるらしいから、行儀よくしてね?"

「......珍しいですね、当番でもなく助っ人なんて」

"そうそう。たぶんそろそろ───"

 

「チトセちゃん!!!」

「───ファ!?!?」

 

"あっ、君がユメ......で合ってるのかな?"

「どうも、元アビドス高校生徒会長の梔子ユメです!!

 ......ってコラー!!逃げるとハグできないでしょうが!!」

「なんも変わってねえこの人!!」

 

 この人本当に気が済むまでとんでもねえ力で抱き締めてくるんですよ!!こちとら元男やぞ!!

 ええい、こりゃ全く諦める気配がない時の目だ......仕方ない、ここは大人しく遁走するしか───

 

"あっ、逃げたら保護観察下からの逃亡と見なすからね"

「おいこら汚えぞ!!」

「隙あり!!」

「アッ」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

"じゃあユメの膝の上でいいから聞いててね~"

「マジで覚えとけよこのクソ教師が!!!!」

「コラ、そんなこと言っちゃダメでしょ!!」

 

 うぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!

 

 この人全然放してくれないんだけど!!!マジで馬力が違う!!!純粋な筋力だと普通に勝てねえ!!!

 

"という訳でね。長期的な出張の予定が入っちゃったからリンちゃんに代打をお願いしたんだよ。

 まあ私にしか決裁権ない書類とかもあるからそれだけはちょくちょくシャーレに戻って処理するんだけど"

「長期的な出張、ですか......?」

 

 まあユメ先輩が助っ人として来てくれても、この人あんま仕事できn......

 いやまあ他にも何人か来てくれるでしょうしホシノさんも普通に来るでしょうけど。

 

「発信機が反応して急いでキヴォトスに戻ってきても留置中だから面会もできないって言うし、本当に心配したんだからね!!」

「ちょユメ先輩ギブギブギブギブ」

"......まあチトセになら話してもいいか。ユメもこれから仕事をお願いするわけだし。

 実はトリニティとゲヘナのトップから同時に声が掛かっちゃってね"

「......ん?」

 

 トリニティとゲヘナから、同時に???

 

「ちょっとユメ先輩、私は先生と大事なお話があるんで一度放してもらってもらっていいですか?」

「え~?」

「え~じゃありません」

"仲がいいんだね"

「まあハイ......」

 

 いやほんとここに来て予想外すぎるといいますか......エデン条約関連のゴタゴタが起きないように年単位で動いていた訳ですが。

 

 アリスちゃんの一件と違い、エデン条約編は私個人の力でどうにかできる範疇を超えています。

 必要なのはとにかく入念な準備。問題が起きてからではもう......手に余るとかいう話ではないのでね。

 

(今のミカさんが原作みたいなことをやるとは思えない。となると()()先生を呼んだのかという話になりますが......)

 

 先生という存在は、言ってしまえば劇物です。

 

 有する権限も及ぼす影響も他の比にならない、問題の病巣にぶち込んで一切合切を消し飛ばせる爆弾そのもの。

 生徒の皆さんは割と呑気に「先生なら何とかしてくれるかも」なんて考えてるとこありますがね......

 

(ミカさんが先生を呼ぶと言いだしてもナギサさんが同意するとは思えない......エデン条約関連はかなり繊細な学園間のやり取りが必要な案件ですしお寿司)

 

 となるとセイアちゃんが同意した?もしくはナギサさんが「先生を呼ぶ必要がある」と判断するほどの問題が発生している?

 

 ───或いは、原作に匹敵するほどの問題が既に。

 

「......シャーレでの保護観察処分ってことは私も同行するわけですかね」

"まあそうなるね。どうしても嫌って言うならお留守番もできなくはないかもしれないけど......"

「いや、行く理由が出来ました。置いていくと言われても勝手についていきます」

"......そう言うと思ったよ"

 

 司法取引と先生への全面的協力。それが凶悪指名手配犯であった私に保護観察処分というあまりにも軽い処分が下された理由になります。

 

 前者に関してはまあ、こういった展開を予想して幾つか情報のストックを用意していた節があります。

 それでも自宅謹慎辺りを言い渡されるものと思っていましたが......

 

(アリスちゃんにケイ、そんでリオ会長とヒマリさんからの嘆願......まあそこまではギリ理解できましたがまさか───)

 

"ホシノにも任されちゃったからね。

 ───「チトセちゃんをよろしくね」って"

「恥ずかしいんでやめません?」

「先生、私からもお願いします!!」

「あんたも乗るな!!」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「......ナギちゃん?」

「ミカさん───少々お待ちください」

 

 少しシーツが乱れていた。

 熱を失ったティーカップと、温くなった砂糖多めの紅茶。

 

 真っ白なティーソーサーには、それの痕跡が一滴分残っている。

 

「まだ犯人は見つかってないって......」

「正義実現委員会からの報告は伺っています───何か、用があったのでは?」

「うん......先生を呼ばない?」

「それは───いえ、私もその案は検討したのですが......」

 

 犬猿の仲であるトリニティとゲヘナの間に結ばれる不可侵条約。

 そのためにナギちゃんは色々と動いてくれていた訳だけど......もう私達だけじゃ、その姿を現さない妨害勢力に対処しながら調印まで漕ぎつけるのは不可能に近い。

 

 ───と、ナギちゃんは考えているはず。

 

「先生の、というよりもシャーレの権限を組み込んだ特別クラスを編成すればトリニティ内の不穏因子を一掃できます。ですが......」

「......でも、ここで辞めるわけにはいかないでしょ?」

「ッ、それは、そうですが───」

「私も協力するから、ね?」

「......」

 

 次の標的はナギちゃん自身か私か、あるいはその両方か。

 

 今のナギちゃんは疑心暗鬼になってる。誰が味方で誰が敵かも分からないまま、エデン条約の調印と私の安全を確保するという難題を両立するために汚れ役を買って出ようとしている。

 

 私が言い出したことだし、この選択自体に後悔はない。

 無いんだけどさ......

 

(......大切な人を騙すのってこんなにも辛いんだね、チトセちゃん)

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「それじゃあおじさんはシャーレに行ってくるから~」

「ん、今日で三日連続」

「......もう、あちらに泊まってもいいのでは?」

「うへ~......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと短めなんですけどその分更新頻度上げてい゛き゛た゛い゛!!

あと今後も引き続き感想の方をオナシャス

次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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