アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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チトセは基本的に特定個人の味方をすることはなく、求める結果につながるために味方になっているだけです
私情だけで誰かに味方するほど愚かになれるなら余計なこと考えずに済むのに......(ロボカス)


そのころカズサはスタ連していた

 

「という訳でコハルちゃんに警戒されないよう私なりに対策を練ってきました。

 名付けて、スイーツプレゼント大作戦!!」

"なんだろう、至極真っ当な手法のはずなのに非合法な香りがする"

「んだとてめぇ」

 

 カズサちゃんとの邂逅から一時間後、場所はトリニティの校舎群の端っこの方。

 補習授業部に割り当てられたその教室には見慣れた顔ぶれが揃っていました。

 

 曖昧で困ったような笑みを浮かべるヒフミちゃん。

 全て把握しているかのように余裕に満ちた表情のハナコさん。

 想像もしていなかった事実を前にして驚愕し目を剥くアズサちゃん。

 

 そして───

 

「───その顔!?」

 

 超ビックリして椅子から立ち上がるコハルちゃん。

 なんか毛を逆立てて威嚇する猫みたいで可愛いですね、なんだろうこの気持ち......トゥンク

 

「あら、わたし有名人?」

「まあ、有名人ではありますよね......連日ニュースで報道されてましたし」

「一時は特集まで組まれるほどでしたし、よほど情報を遮断していなければ顔を知ってるのは当然かと」

"......うん、ここに来るまでの移動でも私と同じくらい視線を集めてたからね"

 

 そこまで特徴的な風貌ってわけでもないですが、他校の生徒がトリニティ中枢近くをウロウロしてたってのもあって注目を集めていたのは事実です。

 ファンサしようと笑顔で手を振ったら逃げられてしまいましたがね(泣)

 

「一応自己紹介しておきますか。元アビドス生徒会書記、そして元七囚人【感興の瘋癲】こと西水チトセです!

 今はシャーレでパシリやってます!改めてよろしく!」

「どっ、どういうことよ!?なんで七囚人の、しかもよりにもよってあんたが先生と一緒に行動してるの!?ま、まさかシャーレって()()()()組織なの......!?」

「うーんこの」

 

 さて、どこから説明すればいいものやら。

 

 まあ今日は顔合わせというか補習授業部というものの説明が目的なので「詳しいことはまた明日!」でもいいんですが、警戒されちゃってコハルちゃんが来れなくなっちゃうとかなーり困ります。

 

 つっても誤解があるわけでもなくただ事実から警戒されてるのでね......

 

「とりあえずお菓子食べる?つっても怪しすぎるか、ガハハ!」

 

 モッシャァスワムシャァー(咀嚼音)

 数多のトリニティ生からガン見されながら30分待った甲斐がある美味さですね、いや普通に美味えなコレ。

 

「皆さんもどうぞ~」

「あっ、どうも......」

「つい最近開店したばかりのお店の看板商品......どうやら仲のいい()()()がいらっしゃるようで」

「うん、すごくおいしい」

"うわっ本当に美味しいなこれ!!"

「......」

「ささ、コハルちゃんもどうぞ」

 

 わざとらしすぎる先生のパスを受け取りコハルちゃんに差し出すと、おずおずと受け取ってくれました。

 小動物みたいにちっちゃいお口で食べてて可愛いね~!!

 

 ......んで、どうしたもんでしょうか。

 

"自己紹介もみんな済ませたことだし、今日はここでお開きにしよっか"

「この後予定がある人もいるでしょうし、先生とか先生とか」

"シャーレの仕事のことは......今は忘れたいかな......"

「おいこら」

 

 今回の計画というかやりたいことは正直かなり複雑で、何をすればその目的を達成できるのか未だに私自身も分かっていません()

 

 補習授業部をとっとと解散させることはあまり望ましくないのですが、とはいえ全力を尽くさないというのもまた主義に反します。

 つっても合宿はほぼ確定なんですがね!!チャートが途中まで確定しているなんてお得!!(白目)

 

「こっちも一次試験に向けて色々と準備を進めておきますんで、皆さんまた明日の放課後に!」

"みんなで頑張ろうね!"

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「チトセ、この問題はどう解けばいい?」

「この桁数の素因数分解だと、倍数判定法を使うのが基本ですかね。確か参考書のこの部分に......」

「なるほど、理解した」

 

 アリウスの方で必要最低限の知識を学び、ちょくちょく顔を出してちまちまと教えたりしていたとはいえ所詮は付け焼刃。

 第一次試験が割と簡単なテストとはいえ、この時点のアズサちゃんが突破するのは非常に困難です。

 

 私ですか?まあ殆どの科目で満点は取れるかと、だって割と簡単ですし。

 まあ全然できない科目も存在するわけですが......

 

「ハナコ、この文章は何?」

「あら......これは古い叙述詩の一部ですね。"怒りを歌え、神性よ───"という......」

「ああ、あれか。理解した」

 

 そう、古典や歴史に関しては門外漢もいいところなのです。

 一応古代ギリシャ語やヘブライ語に通じる単語も存在するのですが、もちろん母国語ではなくてですね......

 

 キヴォトスの成り立ちなんて以前は調べる余裕も無かったし、今こうして教材として歴史の教科書を手に取って知識をインストールしているところです。

 

「ハナコ、これは───」

「これは古代語を重訳したものですね。原文を理解するには辞書が無いと......」

「なるほど。ならこれはおそらく"Gaudium et Spes"......喜びと希望、か」

「......アズサちゃんは古代語が読めるんですね?」

「ああ、昔習った」

 

 このフレーズ、原作においても登場しましたが恐らくはラテン語を由来とするものです。

 私自身それなりに優秀であることは自負していますが、如何せんかなり前にちょっと齧った程度の言語学の知識では原典の特定すら困難です。

 

 いやはや、もっと知識があればね......

 

"良い感じだね"

「はい!チトセさんもハナコちゃんも何だかとってもすごくって......!それにアズサちゃんも学習意欲たっぷりです!」

 

 んで次の第一次試験、難易度はちょい面倒な小テストくらいで合格ラインは60点。

 ヒフミちゃんはたぶん大丈夫、アズサちゃんはまあ......原作以上の点は取れるでしょう。

 

 コハルちゃんはまあ、はい。ハナコさんは割と未知数ですが、()()に来ている時点でまあ予想は出来ます。

 

 ......合宿用に献立でも考えておきますかね。

 栄養バランスとカロリー、そして何より味にこだわる私のメシを披露する時が遂に訪れますか......!!

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「み、みなさんお疲れさまでした......!」

「くぅ~疲れましたw」

 

 ちなみに私も一応一緒にテストを受けています。苦楽を分かち合うってコトよ!

 

 ......まあ、真面目な理由を述べるのであれば。

 実際に同じ条件で解くことで時間配分を体感しつつ教えられますし、出題傾向やミスしやすいポイントなどを同じ目線で考えられます。テストを受ける側に立つことで見えてくる視点は確かに存在するんですね。

 

 苦手というかここ数日で学んだ歴史と古典がどこまで足を引っ張るか心配でしたが、原作同様に割と簡単な問が出題されたのでそこそこ自信あります。

 これワンチャン満点もあるぞ......!!

 

「それでは結果発表と行きましょう!先生、お願いします!」

"うん。じゃあおまけで受けたチトセから......"

「ドキドキ......」

"効果音付けなくていいから......"

 

 結果発表!!(浜ちゃんボイス)

 

"チトセ......97点!"

「だぁぁ!!!!満点逃したぁぁぁ!!」

 

 屈辱!!割と簡単とか言いながら満点を逃す屈辱!!

 

"古代語のスペルミスみたいだね。間違いやすい単語として有名だから出題されたみたい"

「ちくせう!!」

 

 間違いやすさで有名な単語!?!?そんなもん知らねぇ!!

 基礎飛ばして丸暗記だとこういう事になるからみんなも気を付けようね!!

 

"続いてヒフミ......75点"

「あ、ありがとうございます!何だか無難な点数ですが良かったです!」

"アズサ......41点"

「......はいいぃ!?」

「ちっ、紙一重だったか......」

「待ってください!紙一重というにはそこそこ足りてないですよ!?」

 

 おっ、原作よりも9点上がってら。

 問題は計算問題の数値や掲載文の抜粋場所が変わっていただけで大きな変化は無かったので、これは純粋にアズサちゃんの努力の成果によるものでしょう。

 

 とっても偉い!!

 

"コハル......13点"

「!?!?」

「コハルちゃんんんん!?ち、力を隠していたんじゃないんですか!?」

「やっ、その......!か、かなり難しかったし......」

「すっごく簡単でしたよ!?小テストくらいの難易度でしたよ!?」

「あらあら......」

 

 いやハナコさんや、あんた何をあらあら系お姉さんみたいに振舞ってんすか。

 私って耳も良いんでペンの動く音で分かるんすよ......何を書いてんのか。

 

"......ハナコ......6点"

「6点!?!?!?!?!?!?!?」

 

 この人、簡単な証明問題にクッソ煩雑で回りくどい証明法使って空白を埋めることで暇潰してましたからね。

 あんたが原作でアズサちゃんに教えていた倍数判定法使えば1分で解けるでしょうが!!

 

 ......まあでも、私との関わりで彼女にも何らかの変化は生じているようです。いやそう信じたい。

 

 彼女の心の裡で張り詰めていた精神の糸は、本来補習授業部の皆と関わる中で程よく緩んでいくものでしたが───現時点でもそれなりに余裕があり、彼女達ともどこか気楽に"本来のハナコさん"を少しずつ曝け出せているように見えます。

 

 一方で私に向けられている感情はよく分かんないんですけどね!!

 

 自分という定義困難な変数が紛れ込んだ瞬間に、人間関係は観測問題の如く難解になってしまいます。

 この辺うまいこと回せるのが本当の大人ってやつなんでしょうね、知らんけど。

 

 結局、私はまだガキで何も知らないと。彼女達から学ぶことばかりですねほんま......

 

「うぅ......あうぅ......」

"ヒフミ、しっかり!!"

 

 あ、ヒフミちゃん倒れてら。スッゴイカワイソ......

 

 という訳でね。

 

 

 補習授業部、合宿確定!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




チトセはこういう点では普通に優秀
カスという点を除いて味方側に立った場合は十分以上の仕事をオールウェイズで提供してくれるんですね

まあカスなんですが()

次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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