アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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分けるとこどうしたらいいものか分からなくなったので一気に出します
文字数が通常の2.5倍くらいあって草なんだなぁ......


※キヴォトスでも窃盗は普通に犯罪です

 

「で、どうでした?」

"......駄目だった。でも、私が伝えたかったことはしっかり言葉にできたよ"

「そうですか......」

 

 ここまで面談を重ね、前回よりも顔を合わせた回数も多いですし"第二次試験の直前に先生とナギサさんが会うことはない"なんて呑気に構えていましたが。

 

(......ナギサさん、本当に参っちゃってるみたいですね───試験が終わったら少し顔を出しますか)

 

「じゃあとりあえず......皆さんに一つお知らせしないといけない事があります」

「......何かあったの?」

「"これ"なんですけど......端的に言うと試験の難易度が一気に跳ね上がりました」

「!?」

 

 スマホの画面に映るのはトリニティの掲示板。

 実のところ試験範囲の拡大と合格ラインの引き上げは昨日の正午時点で行われていたのですが、せっかく模試で良い感じの点数を取れてモチベも上がっていたので水を差さないようにしていた訳です。

 

「試験範囲が3倍に、それも合格ラインを90点に引き上げる......と書いてある」

「は、はぁ!?そんなの無理じゃない!!」

 

 ぶっちゃけ言うと、不可能ではないです。いやほんとになんで不可能じゃないのか私でも驚きですがね。

 

 ハナコさんの存在がかなり大きいですが、他の面々も実はそれなりに優秀だったりします。

 ヒフミさんはなんやかんや言いながらしれっと平均ちょい上くらいとって毎回赤点回避してますし、アズサちゃんは学ぶ機会が無かっただけで吸収力も努力量もトップクラス。

 

 そういう意味ではコハルちゃん本当に頑張ってんだなって......美味しいご飯で激励するくらいしか私にできる事はありませんが。

 

「......いや、やることは変わらない。難易度が上がったとて、それは諦める理由にはならない」

「───それは、そうだけどぉ......」

「全てが虚しいとしても、抗うことを止めるべきじゃない。それに───」

 

 アズサちゃんの目に映るのは、あの掃き溜めで過ごした日々か。

 或いは───その先に見た希望の光か。

 

「───どんな妨害を受けても、きっと全員で合格できる方法があるはず」

「その通り!!まあ小難しいことは私と先生が考えますので、皆さんはとにかくめっっっちゃ頑張ってください!!」

 

 まーナギサさんが取れる方法ってここまでくると逆に予想しやすいんですよね。

 あんまり過激な事やっちゃうと「それは流石に再試験案件だろ......」ってなっちゃうので。

 

 そういう意味ではコハルちゃんに色々吹き込んで内部からの瓦解を狙うってのは妙案でした。ローリスクかつハイリターンですし、何より殆ど事実だから先生からも何も言えねぇ......

 

 読み違えたのはコハルちゃん含め補習授業部の皆が良い子であるということ。そして───

 

(私が最初から裏切り者(アリウス)側ってことなんですよね......)

 

 これさぁ、全部終わった後でどうやってメンタルケアするんですかねぇ......ま、今は終わった後の事を心配するほどの余裕はないんですけど。

 

 ひとまず明日の第二次試験に向けて皆を休ませないとですね......

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「うぅ......全然解けませんでした......」

「わ、私も......」

「これは......厳しい戦いになりそうだ」

「え、えっと......」

 

 はい、落ち武者の群れです。

 

 第二次試験なんてなかった、いいね?()

 

「さすがに試験範囲三倍はヤバいっすわ、見たことも無い問題ばかりだったでしょうに......結構頑張った方だと思いますよ?」

「ええ。知っている分野を組み合わせて推測したりと、普段は数字に表れない成長も見られましたよ?」

「そ、そう言ってもらえるのは助かるのですが......」

 

 ハナコさんは当然100点、なんと今回は私も100点を取れましたが......

 

「......応用問題の数はかなり少ないですが、それなりの配点でした。試験の難易度は数字以上に上がっていますね」

「ですよねぇ......こりゃー腕が鳴りますよほんと」

 

 そういえばこの試験って誰が作ってるんですかね。まさか多忙を極めたナギサさん本人ってことは無いでしょうし、おそらく同じ分派の生徒が作っているんでしょうが。

 なかなかに良い性格した作成者だとは思うんですが、流石ブリカスをモチーフとしただけはありますよほんま......

 

"......ごめん、私がナギサにああ言ったせいで"

「別に先生を擁護するつもりはないんですけど、多分何言われても変わんなかったと思いますよ。何なら悪化してたかも」

「ち、チトセちゃん......」

 

 原作だとゲヘナまで行きましたし、前回なんてミレニアムでスーパーノヴァの射撃実験の射線上でやりましたからね。

 なんとか五体満足で帰れましたけど、寛容な私でも流石に卓上調味料を全部倒すレベルです。

 

「ま、切り替えていきましょう。反省と傾向の解析、そんで対策。

 あと一週間、無駄に過ごせる日なんて一日もないですからね!!」

「......うん、その通りだ。帰ったらまず試験範囲の再確認から始めよう」

「うぅ......が、頑張らないと......」

「わ、私も頑張りますので!」

「ええ、その調子です♡皆で力を合わせて頑張りましょう!」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 そうして一週間はあっという間に過ぎ。

 まあ色々あって模擬試験の点数はなんやかんや言いながらも不安定ですが90点を超えはじめ。

 

 ───運命の、第三次試験の前日。その晩。

 

「あーもしもし?私です」

「......ご無沙汰しております、チトセさん。どのようなご用件ですか?」

「用が無ければ電話しちゃダメ?(キュルン)」

「いえ、そのような意味では......」

「まあ冗談はさておき、要件が無ければお互いにクソ忙しいのに電話なんてしないですからね。

 ......いわゆる、最後通牒というやつです」

 

 明日、ナギサさんがどんな手を使うのかおおよそ把握している。

 原作同様に試験会場を「エデン条約関連の機密書類警護」という形で封鎖。

 

 しかし、補習授業部側には()()()()。そのことをナギサさんが考慮に入れない筈がない。

 

「最後通牒、ですか?」

「ええ。()()()()()()()()、というのはどうですか?」

「......と、申しますと?」

「額面通りの意味ですよ。補習授業部の皆がどれだけ努力をしても如何せん時間が足りない。対策は限界まで行いましたが完璧じゃない。

 ───偶然にも苦手な範囲が出題されれば、合格ラインに届かないかもしれない」

「......」

「なので、ここは一つ静観という形で───「......申し訳ございませんが───」......ですよね。まあ一応言ってみただけです」

 

 監視は排除しましたし盗聴器の類も全て破壊しました。ナギサさん側から苦手な範囲を狙った出題もできませんが、こちらもどんな問が出題されるかはほぼ運。何せ試験範囲が広すぎるのでね......

 

「ナギサさん、この辺りでお互いに手を打ちませんか?何も彼女たちが合格したらキヴォトスが滅ぶってワケでもない、あなたが誰を疑っているのかはさておき私や先生も居るんです。

 一度落ち着いて───」

「......お断りすると、そう申し上げた筈です」

「......さいですか」

 

 交渉は決裂。悲しいね、バ〇ージ......

 

「じゃあ一つだけ約束してください。もうこれだけでいいんで」

「......内容にもよりますが」

「全部終わったら......平手打ちで済ませてもらえませんかね?手打ちだけに、ナンチャッテ」

「......?それはどういう───」

「ほな寝ますんで!!おやすみナス!!」

「は、はい......おやすみなさい」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「こ、こんばんは、先生......」

「私も来ちゃいました♡」

「みんな何してるの......」

"......みんなも、眠れない感じ?"

 

 もう夜中だってのに、皆さんお揃いで先生の部屋に押しかけております。

 

 私ですか?ベッドの上で涅槃に至っております。煩悩まみれだって?うるせえよ黙れよ煩悩なんかねえよ正しいのはおれ。

 

「明日は試験なのに、何してるのよ。休むのも大事だって言ったのはそっちでしょ......!?」

「まあ、そうなのですが......」

「なんかアズサも、どっか行っちゃったみたいだし......」

「......実は先ほど、シスターフッドの方々に少し会ってきたんです。色々と調べたいことがあって......」

「ま、まさか何か変更が......!?」

「いえ、場所は予定通りの第19分館なのですが。ただそこにはこの後、かなりの数の正義実現委員が派遣されて建物全体を隔離するとのことです」

 

 ......ほーう。

 

「!?!?」

「建物全体を......?」

「"エデン条約に必要な重要書類を保護する"という名目でティーパーティーからの要請があり、建物全体を正義実現委員会として守る厳戒態勢に入ったとか。

 それから、どうやら本館の方にも戒厳令が出ているようです。昨日から妙に静かだったのは、このせいみたいですね」

「か、戒厳令......?そんなの聞いたの初めてです......」

「恐らく、誰一人あの建物への出入りは許されません。エデン条約が締結されるまで、ずっと」

「ちょ、ちょっと待って!そしたら私たちの試験は───」

 

 試験なんかねえよ(クソデカ肩幅)ってことですよねこれ。

 割と無茶苦茶にも思えますし、私という武力で押さえるのが困難な存在が居る以上は悪手にも思えますが。

 

(ま、ナギサさんがその辺適当に考える訳もないでしょうし。いやーあの人相手に謀略で上回るのはマジで難しいんだけどな......)

 

 ここは素直に───ハナコさんを頼るのが正解ですかね。

 

「───ハスミさんが私たちを通したら、それはティーパーティーに対する明確な離反と同義。最悪の場合、ハスミさんも正義実現委員会から追放されてしまうのではないでしょうか」

「うっ、うぅ......」

「全く......どうやらナギサさんは本気で、私たちを退学にさせようとしているみたいですね」

「どうして、そこまで......」

 

 何故こうなってしまったのか。元を辿ればそりゃミカさんとセイアちゃんの企みが原因ですが、アリウスという過去の禍根(激うまギャグ)も根底にあります。

 エデン条約を必要とするゲヘナとトリニティの不仲、そういった感情の衝突が今回の一件と言う一種の断層として表面に露呈したと。

 

 言っちまえば「いずれ起きた問題」です。裏から色々と手を回しているババアの影がちらつきますが、大半は予定調和なんですね。

 

 ......ですが、原因の一つとして"彼女"が自認しない訳もない、と。

 

「......私のせいだ」

「アズサちゃん!?ど、どこに行ってたんですか......?」

「......」

「みんな、聞いて。話したいことがある」

「アズサちゃん......?」

「......みんなにずっと、隠していたことがあった。

 でも、ここまで来たらこれ以上隠しておけない......」

 

 アリウススクワッドの目的。ミカさんとセイアちゃんの最終目標。

 それらを把握した私からすれば"それ"は正しい表現とは思えませんが、アズサちゃんはきっと首を横に振るでしょう。

 

 私こそが───と。

 

「......ティーパーティーのナギサが探している"トリニティの裏切り者"は、私だ」

「......はい?」

「......そ、それが前に言ってた───」

「......」

「私はもともとアリウス分校の出身。今は書類上の身分を偽って、トリニティに潜入している」

「アリウス分校......かつてトリニティの連合に反対した、分派の学園です。

 その際にトラブルとなり、今はキヴォトスのどこかに身を潜めてひっそりと過ごしていると聞きましたが......」

 

 アズサちゃんが語ったのは、まあ私は当然把握している事です。恐らくハナコさんは大方予想していたし、コハルちゃんもアズサちゃんに何らかの隠し事があることを以前から聞いていたようですが。

 

 それでも、みんなにとっては衝撃的な内容でしょう。

 

「───その任務というのは......ティーパーティーの桐藤ナギサ、彼女のヘイローを破壊すること」

「......っ」

「嘘でしょ!?そ、それってつまり......」

「......」

 

 ヘイローの破壊。

 それはキヴォトスにおける禁忌中の禁忌。

 

 直接言葉に出すことすら憚られる「死」そのもの。

 

「アリウスはティーパーティーを消すためなら、何でもしようという覚悟でいる。

 まずティーパーティーのミカを騙して、私をこの学園に入れた」

 

 ミカさんは傍から見れば政治に向いてないと言われても仕方がない。そういう素振りを周囲に見せている。

 その真実について把握しているのはティーパーティー以外では正義実現委員会の一部と、同じ分派の上層部くらいでしょうか。

 

 その偽装は、アリウスにおいても剥がれることはなく。

 完璧に近いと言っても過言ではないでしょう。

 

「明日の朝、アリウス分校の中でも過激派の生徒達が、ナギサを狙ってトリニティに潜入する。

 ......私は、ナギサを守らなきゃいけない」

「......」

「あ、明日......!?」

「!?」

「うん、私はそれを阻止しなきゃいけない」

「本館には戒厳令が出ている状態......最後の試験でのナギサさんの無茶もあって、正義実現委員会の配置には大きな穴がある状態。

 なるほど、要人襲撃には最適な日ですね」

 

 そう、最適なんです。何者かによる意図を感じると言ってもいい。

 

 ですが前回とは全く以て状況が異なり───同じような状況だからと言って、同じ原因に端を発したという訳ではありません。

 

「ま、待って!?よ、よく分かんないけどアズサはティーパーティーをやっつけに来たんでしょ?なのに守るって───」

「それは......」

「アズサちゃん自身は、最初からその目的でトリニティに来た。そういうことですね?」

「......」

 

 アズサちゃんは。より正確に言えば、()()()()()()()()()()

 

「最初からナギサさんを守るために、ナギサさんを襲撃する任務に参加した......いわば、二重スパイ。

 アリウス側には連絡係として、常に問題ないとずっと嘘の報告をしながら......本当は裏切るための準備をしていた」

 

 実のところ二重スパイですらない。彼女はどちらの立場としても活動し───そして、どちらの味方でもある。

 

「......どうして、ナギサさんを守ろうとするんですか?それは、誰の命令で?」

「......これは誰かに命令されたわけじゃない。みんなで考えて、最終的には私が判断を下した。

 桐藤ナギサがいなければ、エデン条約は取り消しになってしまう。あの平和条約が無くなればキヴォトスはより混乱して......第二のアリウスが生まれるかもしれない」

「だから平和のために、ということですか?

 ......とっても甘くて、夢のような話ですね。今回の条約の名前と同じくらい、虚しい響きです」

 

 ハナコさんにとって、その事実は───どうあっても、自身の過去を想起させるものでしょう。

 嘘、嘘、両手に塗れた、頭から被った、飽きるほど飲み下した───真っ赤な嘘。

 

 でもアズサちゃんは......

 

「......その通りだ、本当にごめん。私のことを恨んでほしい。

 この状況も全て───私のせいだ」

"......それは───「それは違うでしょ、アズサちゃん」───うん、そうだね"

 

 まだ何も終わってないですし、始まってすらない。

 ここから先、捻じれて歪んだ物語のケツを引っ叩いて終わらせるのは───物語を始めた、ミカさんとセイアちゃんと私の責任です。

 

「......きっと、追い詰められれば誰だって信じられなくなる。

 その状況でナギサさんは人を信じようとして───まあ不器用すぎて空回り気味ですけど」 

"......うん。ナギサも私たちとは違う場所で一人、ずっと悩んでる"

「......そうですね。そうかもしれません。

 ごめんなさい、先ほどのは何と言いますか、どうしても意地悪したくなっちゃったんです。アズサちゃんの真っ直ぐな顔を見ていると、なんだか心が落ち着かなくなってしまいまして」

「......ハナコ?」

 

 ハナコさんにとってアズサちゃんは......ある種残酷な存在です。

 

 アズサちゃんはまっすぐで、正しく、そして強い。

 彼女は折れない......その姿は、ハナコさんにとって少しばかり眩しすぎた。

 

「補習授業部は少しばかり目立つ場所です、少なくとも"スパイ"がいるべき場所じゃない。

 誰にも気付かれないように消える機会なんていくらでもあったはずなのに、そうしなかったのは」

 

 あの時のハナコさんに無かったもの。

 溢れんばかりに在る何かは、溢れた分だけ他の何かを擦り減らしていく。

 

 願うことができないと、理解できてしまうのは幸福でしょうか。優秀であることは常にプラスに働くでしょうか。

 ......常に正しく、強く在ることは苦しくないでしょうか。

 

 望まれるがままにその優れた能力を差し出した彼女が、ずっと手に入れる事の出来なかった空間。

 

「......補習授業部での時間が、あまりにも楽しかったから。そうではありませんか?」

「......!」

「みんなで一緒に勉強したり、チトセちゃんの美味しいご飯を食べたり、お洗濯をしたり、お掃除をしたり......何をしても楽しい事ばかりだったから。

 だから、この楽しい時間を壊したくなかった......違いますか、アズサちゃん?」

「......うん、()()()()()()。私はずっと、楽しかった」

「......何だか知ったような口をきいてしまいましたが......分かるんです、その気持ち。

 何せ......同じように思った人が、いたんです」

 

 ここから先は、あまりにも酷い話。

 誰かが傷つけられたわけじゃない。ただ一人、誰にも気付かれずに傷付き続けた───ある女の子の話。

 

「なぜか要領が良くて、何をしても周りからおだてられてしまうようなタイプで......」

 

 その評価に、向けられるお願いに応えるために、好きでもない嘘と偽りばかりが上手くなって。

 周囲からの評価と自身の輪郭に差異が生じて、無責任な期待に締め付けられた心が鬱血して。

 

「その人にとってトリニティ総合学園は、嘘と偽りで飾り立てられた───欺瞞に満ちた空間でした。

 誰にも本心を話すことができず、誰にも本当の姿を見せることができないまま......」

 

  ───それは、寂しくないかい?

  ───それ、息苦しくないですか?

 

「......」

「大切な友達も居ましたが、それでも何もかもが無意味に思えて......学校を、辞めようとしていたんです。

 何せそのままの生活を続けることは、監獄にいるのと同じことでしたから」

 

 セイアちゃんと私は、ハナコさんの居場所にはなれない。

 きっと彼女が求めている言葉を贈れたとしても、彼女と傷を分かち合えたとしても、居場所にはなれないんです。

 

 ───だって、彼女が求めているのは何てことない日常そのものなのだから。

 

「ですが、その人とアズサちゃんは違いました。全て投げ出そうとしたその人とは。

 ......今回の件が終われば、アズサちゃんの居場所は完全になくなってしまいます。アズサちゃんが口癖のように言っていた通り、全ては無意味だというのに......」

「それは......」

「ですが同時に、アズサちゃんはいつもこう付け加えていましたね。"全てが虚しいことだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない"と。

 そうして......ようやく、その人も気付いたんです───学生生活の、楽しさに」

 

 ───もう、この言葉を聞けただけで安心できた私が居ることは否定できません。

 ようやく......ようやく、ハナコちゃんは居場所を手に入れたのです。

 

「......アズサちゃんの言っていた通りです。虚しいことだとしても、最後まで抵抗をやめてはいけませんね。

 まだ、やりたいことはたくさんあるんじゃないんですか?もう、諦めてしまうんですか?」

「そ、それは......」

「何も諦める必要はありません。そうでしょう?チトセちゃん♡」

「ええ、もちろんです!!」

 

 現状を私以上に把握している存在は居ないでしょうし、何ならアズサちゃんやハナコさんは()()()()()()()を知りません。

 

 

 

 考慮するべき点は多岐に渡ります。

 

 アリウス過激派による襲撃、試験会場を守る正義実現委員会、姿を見せないミカさん、ナギサさんによる追加の妨害。

 全て後手に回った状況からひっくり返すのは非常に困難ですが───あらかじめ"穴"を開けておけば、楔を打ち込むだけで事態は一変します。

 

 故に、私が取るべき行動は一つ───

 

「私が───怪盗になります!!」

"......へ?"

「あらあら♡」

「か、怪盗......ですか?」

「それはどういう......」

「(何言ってんの、という目)」

 

 ちなみに言っておくと至って真面目ですからね私!? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ついにエデン条約編第二章も終盤!!(白目)
飛ばしていきますよー!!

次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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