大学に復学したので更新頻度増やします(?)
これからもギャグ二割、パロディ二割、シリアス一割、残りは適当にお送りいたします
「さてさて───」
静まり返った一室。───否、神秘によって強化した聴力でようやく聞き取れる作動音のみが支配するその広大な地下空間にて。
先生たちを送り出してから数十分、オートマタを全て沈黙させ周囲を物色している最中。
「っ、王女は───っ!!」
「あっ起きた」
数百年、或いは数千年の時を経て目を覚ました名も無き神々の王女。その起動に際し鍵であるKeyが無反応であった理由はたった一つ。
そう───
「もう行っちゃったよwww寝坊乙www」
「───」
まさかの寝坊である!!
───まあ、これに関しては責められることではないように思う。
本編での描写だと「充電ないなってデータ消えるから移させてクレメンス」的な事言ってた......そんな気がするし。
道すがらに存在した電力関係の設備も軒並み損傷していたので完全にブラフという訳でもないだろう。
あからさまに電力を食い散らかしそうな高性能AIを常時起動できる環境ではないのは明白。
ちなみにその損傷の半分は私たちがぶっ放した攻撃によるものだけど。
結論から言うと、立ち上げが遅かったので王女の旅立ちに立ち会えなかったという......
「で、どうすんの?www肝心な時にガチ寝決め込んでたポンコツAIさんwww」
「(絶句)」
ちなみに煽っているのはきちんと理由がある。ガン無視されると詰みだからだ。
Keyにできる行動はいくつか存在するが、その最終目的はアリスとの接触及びプロトコル:ATRAHASISの実行。
よって本来は真っ先にアリスの元に向かいたいだろうが移動手段がない(と思われる)のだ。
なにせ権限を所有しなければ遊べない滑り台()の先にある空っぽの部屋。データを移送できそうなオートマタなど呼べないだろうし、仮にそれで外に出たとしても治安はキヴォトス(形容詞)である。これクソゲーでしょ。
つまり本編でモモイのゲーム機にデータを移したアレはガチで唯一の希望だったというワケ。
───だけど、私は彼女にもう一つの提案ができる。
「んでどうすんの?王女様行っちゃったけど」
「......」
「だんまりか、寂しいなぁ......」
チラっ、チラっと。
ミレニアムの技術の粋が集結したタブレット端末を見せつける。
ストレージ容量が二桁テラバイトの領域に突入したアホほどオーバースペックなそれは、モモイのゲーム機なんぞよりはるかに住み心地が良いだろう。
「このままだと役目果たせなくない?wowwow」
「~~っ」
このままゲーム開発部が戻ってくる可能性に賭けるか。
正体不明の人物が持つ端末にデータを移すか。
Key単体では大した脅威にはならない。アリスとKeyを完全に隔離してしまえば暴走することはなく、トップクラスの厄ネタを簡単に回避できるというワケだ。
当然だがKeyもそのことを理解している。この二択はどちらを選んでもリスクが高すぎる!!
───故に、こうして提案するわけだ。
「じゃあここでクイズ。───私の目的は何だと思う?」
「......理解不能」
「そりゃそうだよね───」
ヨシ!!(指差し確認)意思疎通可能!!
ここで私が提示するべきはデメリットの排除ではなく、より大きなメリット───つまり。
「私はね、アトラ・ハシースの箱舟が見たいんだよ」
「......は?」
「正確にはその情報を収集したい、気の済むまで計測し、仮説を立てて検証し立証したい。
───分かる?」
「───理解不能。あなたはそれが齎す結果を理解しているのですか?」
私は、Keyの協力者になる。
おそらくキヴォトス転生者の誰もやらない、というかキヴォトス滅亡級の爆弾事案でもトップクラス。
どんなチャートでも存在しない「魔王と協力する」ルート。
でもさ......ぶっちゃけ見たいじゃん?キヴォトスごと滅ぼしうる、たった一人の勇者が為す"箱舟"なんてさ。
「もちろん、だから私が協力するのはAL-1Sとの接触と権限移行まで。
潮時になったら君らをぶちのめして帰るよ」
「───(絶句)」
「それに、私が信用できないなら"これ"はバックアップとしての利用に留めて構わないよ。
数日後にさっき来た子たちが戻ってくるから、持ち物のゲーム機に本体を移せばいい」
「......理解」
ひらひらと、銀白色に輝くタブレットを懐から取り出す。
ほんの数秒でデータのコピーが完了したようで、画面には赤い瞳を持つアリス───否、Keyの姿があった。
「じゃあこれからよろしくね」
「───その前に、いくつも確認事項があるのですが」
「それもそうだ。歩きながら話そっか」
そうして、私のパーティーメンバーにか弱い魔王が加わった!!
◇
ここは相変わらず埃っぽいというか砂っぽい。
というか砂しかない。いやマジで砂しかねえな。
「アビドス来た~!!!」
元自宅に置いてきた物を回収するついで、ちょっと母校に顔を出そうかなと考えていた時期が私にもありました。
駅から徒歩1時間。特にやることも無くKeyとの話も盛り上がっていた()のでゆっくりと向かう。
そうして現在、自宅前───正確には、自宅跡地前にて。
「Key、私の家がない」
「......ホームレス」
「いやいや、一年前までは確かにあったんだけど!?!?」
よく見りゃそこらに砲撃痕もあるし大規模な戦闘でもあったのか......いや私の家、残骸すら残ってなくない?
なじぇ......(大泣き
「どうしたの、チトセ先輩」
「......その声はっ!!」
悲嘆に暮れていると凛とした透き通るような声が!!
具体的にはFG●とかアー●ナイツとかドールズフ●ントラインで聞き覚えのある声が!!
「シロコちゃんじゃーん!!久しぶり!!」
「ん、先輩もお務めご苦労様」
「いやーシャバの空気は美味しいねぇ!!」
サイクルウェアに身を包んだシロコちゃんはかわいいなぁ......まあ声と顔と体がいいだけで中身は野生児通り越して頭アビドスなんだけどさ。なんでだろうね......教育が悪かったのかな?(すっとぼけ)
「ところでホシノは学校に居るの?ちょっと顔合わせにくくてさ......」
「ん、
「ヨシ!!じゃあ久しぶりに里帰りと洒落込みますか!!」
「セリカとアヤネも先輩に紹介したい。二人ともいい子」
「そりゃ楽しみだねぇ」
そうして久々に母校───アビドス高校に向かったわけです。
結論から言うと、新しく入った後輩ちゃん二人含めて全員から熱烈歓迎を受けました。
下手な歓迎パーティーよりもお金と手間暇をかけて先輩の出所を祝ってくれるだなんて、嬉しくて涙がで、出ますよ......
───銃弾と小型ミサイルの雨あられで、という枕詞が付くことに目をつぶればの話ですけど。
◇
時は、シロコがチトセを発見した瞬間に遡る。
時間にして、声をかける三分前。
「ホシノ先輩。───見つけたよ」
「───分かった。
半開きだった目がゆっくりと見開かれる様を初めて見る二人は静かに息を呑み、どこぞのカスを除けば最も長い付き合いの少女はラックから愛銃を取り出す。
キヴォトス最高レベルの戦闘力を有する小さな部室に緊張が走る。
「アヤネちゃん、雨雲くん出して。セリカちゃんはこっちのベストと、多めに弾薬を持って行って。一応サブアームも忘れずにね」
ロッカーから取り出すのは使い慣れたタクティカルベスト。
そして各種グレネードを手に取ると、ベルトポーチに動きを阻害しないよう身に付けていく。
ここまで、一分。
そして携帯電話を手に取り、念のために保険をかけておく。
「あ、ヒナちゃん?あのバカが帰ってきたから今からとっ捕まえるんだけど、もし逃げるとしたらそっちだと思うから一応動けるようにしてもらえると嬉しいかな~って。
うん、この件の埋め合わせは週末にするからさ~よろしくね」
ゆっくりと顔を上げる。ホルスの瞳は静かに、古い友人の姿を捕らえている。
「じゃあ行こっか」
後輩に向けた笑顔は、普段のそれと変わりないようにも見える。
───その全く笑っていない瞳を見なければ、誰もがそう答えるであろう笑みであった。
キヴォトス最強の二人による包囲網が形成されつつあることを、チトセは当然ながら知る由もない。
次回、チトセ死す!!
次に書くかもしれないもの
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アビドス編
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アビドス(過去)編
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エデン条約編の後