本来発生するはずだった問題の大半は初期の段階で潰され、処理できる範囲の問題を意図的に生み出すことで事態を誘導
チトセから"悪い大人のやり方"を学んだミカは何を望み何を為すのか───
今のアリウスはいわば、指揮系統と実働部隊の間に深い溝が存在する宙ぶらりんの状態です。
私が行った支援は、裏を返せば離反を促す"甘い毒"。
後天的に植え付けられた恐怖を、食欲という根源的な欲求で上書きする。
苦言を呈するベアトリーチェを恐怖で黙らせ、反抗的行動に対して精神的な免疫を付けさせる。
恐怖の象徴であったベアトリーチェの存在は今や、私の居ない間だけ威張り散らすハリボテの王様です。
舐められるとまではいかずとも、常に隙を伺われている状況。
......それでも、調印式の日には何が起こるかは分からない。
絶対に防がなければならないのは、先生の死。連戦になるので重度の負傷も許容できません。
次点で巡行ミサイル、或いはそれに準ずる大量破壊兵器による攻撃。流石の私でもこれらの攻撃から先生を守り切るのは困難です。
おまけにユスティナ聖徒会の顕現。これが起きてしまうと乱戦が確定してしまうので、結果的に先生の身を守るのが難しくなります。
......もうこれ、私が単身で乗り込んでベアトリーチェ殺した方が早いんじゃないですかね。
"......何かロクでもないこと考えてない?"
「いえ、何も」
"本当かなぁ......"
単身カチコミはあくまで最終手段。そもそもケリは私がつける予定なので焦るだけ無駄ですね。
エデン条約の調印式だって今更中止も延期もできない。アリウスにこちらからアクションを起こすには時間が無さ過ぎる。
今の私にできることは、調印式の日を待つことだけ。
「......で、どこまで話しましたっけ?」
"まだ何も話してないからね?"話の途中で考え込んでた"みたいな流れにしても騙されないよ?"
「チッ......先生でも理解できるように噛み砕いて話すのって面倒なんですよ。他に関わりのある大人が話が分かる人たちなので余計に」
"あー!!チトセが言っちゃいけない事言った!!"
「うるさ......」
芸術家やら研究者やら、割と専門的で理知的な会話が可能な人たちの集団に属しているとこの......バカタレを相手にする大変さがより一層染みると言いますか。
"ちゃんと話してくれるまで離さないから!!"
「あーもう分かりましたから抱き着いてこないでください暑苦しい!!」
"ふん!!分かんなかったとこは後でアロナとケイに教えてもらうからいいもん!!"
「情けねぇ......」
タブレットの中に居るアロナもケイも「マジかこの人......」って目で見てますよ。
「そうですね......では、私が持つ能力の説明から始めないといけませんね」
"
「実はもう1つあるんですよ。ケイは知ってるよね?」
『......"予知"。チトセはトリニティの大天使と同様に未来を知っています』
"マジ?"
「マジです」
ま、白状しちゃうと嘘なんですけどね。未来の事を知っているのは原作&前回の記憶によるものなので。
一応"予知"はできるんですけど、非覚醒状態じゃないと使えないんで
意識を保ったまま白昼夢の中で
なので使った回数は1回のみ。しかもセイアちゃんの予知と干渉してバグるので何の意味もないです。
セイアちゃんの方も私の"予知"と干渉した結果として正しい未来を見ることが困難になり、機能不全に陥ったことで逆に身体への負担が軽減されました。
予知夢はきちんと発動し未来を見れば多大な負荷になるのですが、不完全であったり失敗すると負荷が生じないようでして。
結果論とはいえ良い方向に向かってよかったです。最悪夢から覚めることが出来なくなるなんてこともあり得たかもしれないんで......
「なので今後起こる事は大体知ってます。何でも聞いていいですよ、一定の確率で嘘吐きますけど」
"......でもセイアが居ないって聞いて見るからに動揺してたよね?"
「ギクッ」
"その効果音って口に出すものなの?"
「───まあ、所詮予知夢なので知らない事もあります。無制限にいつも未来を見てるわけじゃないので」
"まあ、確かに......?"
......ギリギリセーフっすね()
ここさえ乗り切ってしまえば、後は大半が事実ですし嘘も齟齬が出ない範疇です。
「アリウス関連のごたごたが発生することは早い段階から知っていたので、ちょくちょく顔を出していて......その過程で友人だったミカさんと出会って協力する流れになった感じです」
"なるほどね......で、そのごたごたってのはもう起きたの?それとも今から?"
「途中って感じですね。セイアちゃんやナギサさんへの襲撃も一連の事件に含まれるのでまあ......終盤といったところでしょうか」
"ちなみにこの事はホシノやユメには......?"
「当然話してないです()」
"うーんこの"
話す理由とか特にないじゃんね。別に巻き込むわけでもないですしお寿司。
"......じゃあその、ベアトリーチェって人が企んでる計画も知ってるの?"
「もちろん。簡単に言っちまえば"究極生命体"になる事です」
"つまり───大気圏外に追放しないと勝てない感じ!?"
「いや私なら普通に勝てます」
"えっ......それはチトセが強いってこと?"
「あいつが弱いだけです」
原作では大人のカードを使うまでも無く。
前回はカードありとはいえ、生徒による援護なしの私に一対一で敗北。普通に雑魚やね。
......まあ、今回は知らんですけど。
"その目的のためにどんな手段をとるの?内容次第では───"
「生徒を一人、犠牲にする───と言ったら?」
"......なるほどね。その子は、チトセの知り合いなの?"
「ええ。手のかかるお転婆なお姫様ですよ」
"大体分かった。チトセなりに考えてることはあるだろうけど、私の力が必要になったらちゃんと呼んでね?"
「一応頭の片隅に置いときますよ」
つっても先生の力なんて借りないに越したことはありませんがね。
全てが計画通りに進めば、奇跡なんかに頼らずとも到達できるはずです。
───ついぞ私が目にすることが無かった、完璧なハッピーエンドってやつを。
予知夢は「無数に分岐する未来の一つを選択し現在に接続するもの」
偏在は「無数に存在した過去の一つを選択し現在に上書きするもの」
一種の表裏関係に位置する能力という解釈で設定を組んでいます
特に明かす予定のない裏設定ですが、本作におけるセリナは偏在に類似する能力を常時発動しており「先生の近くにいる可能性」を維持し続けているため瞬時に現れることが出来ています
次に書くかもしれないもの
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アビドス編
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アビドス(過去)編
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エデン条約編の後