流石にだらしなさすぎる......
シャーレの休憩室。冷暖房完備、ちゃぶ台に各種お菓子が取り揃えられた安息の地に辿り着いたのですが、先生はさも当然かの如く追いかけてきました。
あんた仕事終わりました?......って今日はホシノさんも来てるんでしたね。そりゃすぐ終わりますわ。
"で、具体的には何をするのさ"
「......ちょっと待ってください。アホの先生に話してもいい範囲を精査しています」
"屋上へ行こうか......久々に、キレちゃったよ───"
えーっと、どこまで話してもいいものか。
問題に対して先生がキヴォトスを訪れたタイミングが中途半端なんですよね。介入するなら1年以上前か3日後の調印式の日にして欲しいです。
例えるなら先生はクイーンみたいな動きができるキング。攻防の要であり───また最大の弱点です。
先生の選択を止めることは出来ない以上、後方から安全に最大の利益が得られる行動をとってもらいたいのですが......
(......彼女達の計画を知れば、先生は当然同行しようとするでしょうし)
「......じゃあとりあえず、調印式の日に起こるかもしれない事だけ」
"かもしれない、ってことは予知夢で見た訳じゃないの?"
「ええ。私が持っている情報からの推測になります」
ま、嘘なんですけどね。
「調印式の日にベアトリーチェが狙う可能性が高いのは......エデン条約の
"上書き......?"
「エデン条約をざっくり説明すると、トリニティとゲヘナの間で起きたトラブルは両校から選出された組織で解決しようぜって話です。
その組織こそがETO。ベアトリーチェが狙っているのは、これを乗っ取ることで"戒律の守護者"と呼ばれる存在を顕現させる事......」
"戒律の守護者......?"
「私のことなんでも質問コーナーだと思ってます?」
"ひぃん......"
固有名詞なので知らないのは当然だとしても、どこぞの先輩を思い出すアホ面をずっと向けられていれば小言も出てきます。
今思えば先生とユメ先輩って割と似てるな......?先生に対するホシノさんの警戒心が思ったより少ないのってまさか───()
「......戒律の守護者は、トリニティ総合学園が誕生した第一回公会議で定められた戒律を守り破戒者に対処する武力集団......ユスティナ聖徒会の別名です。
もっとも、現在呼び出せるのはミメシス───複製に過ぎませんがね。本物はとっくの昔に卒業してるので」
"お化け......ってコト!?"
「その認識で良いです()」
ゲマトリア全体の研究進度は原作と比較し、私の影響で一手か二手先を行っています。
ゴルコンダ氏とデカマルコニー氏は私と共にI.S.Cを始めとした遺物の制作を行い。
マエストロ氏は私という特異存在そのものから多くのインスピレーションを得たようで。
(......ベアトリーチェに提供された技術は私の想定を上回る可能性が十分にある。なんならベアトリーチェそのものよりも警戒すべき?)
「......で、話を戻すとですね。アリウススクワッドの一人であるアツコって子が"戒律を守護せし者の血統"......つまりユスティナ聖徒会を呼び出す触媒みたいな存在なんですね」
"その子が何かしたらユスティナ聖徒会?ってのが出てきて危ないってこと?"
「大体そんな感じです」
......懸念点はもちろん存在しますが、それについては
あくまで私は責任を取って状況を収めるだけ。それを履き違えては、いけませんね?
「ですがもちろんユスティナ聖徒会とかいうトンデモ集団を呼び出そうとしたらみんな止めますよね?」
"それはまあ、そうだね"
「なので、それらの妨害を行うために何らかの攻撃を仕掛けてくる可能性があります。具体的には軍隊で攻め込んできたり、ミサイルを撃ち込んできたり」
生徒を生贄にしたり、仲間を売るように唆したり。
巨大な怪物に変化してビーム撃ったりとかね。
"え!?それほんとにヤバいやつじゃないの!?"
「ヤバいから私とかミカさんが奔走してるんですよ」
"もっと早く言ってよぉぉぉ!!"
「言ったらあんたアリスちゃんとか補習授業部の事に集中できないでしょ。いっつも酒飲んで一人反省会開いてる人にマルチタスク強いるほど鬼じゃないですよ」
"ひぃん......(2回目)"
ただもう少しお酒は控えて欲しいんですよね。いやマジで。
一応は私のことを生徒として扱ってるから"介抱して~(泣)"みたいなことはそうそうないんですけどゼロじゃないですからね。しかも毎度記憶飛んでるし。
こんなでも一応先生ですからね。「頼れるのはもう、先生しか......」って生徒が土下座してんのに酒飲み一人反省会の直後だったりしたら目も当てられません。
「......まあ対策は練っているので、先生の手を借りなければならない状況になることはまず無いです。アリスちゃんの一件でもそうですけど、私は基本的に先生を計画に組み込んでいないので」
"確かに......理由を聞いてもいい?"
「あなたの普段の様子を思い返してみれば自ずと分かるのでは?」
"ふぐぅ......(涙を堪える)"
「半分冗談ですよ。ただ......特定個人の能力にのみ依存した計画なんてどこかでボロが出るもんです。
私はみんなに期待してますし自分の能力もそれなりに正しく把握しているつもりですが、ある程度の想定外に対応できるようにする以上
本当は予知夢なんて使ってないので、先生が来る可能性が高いと知っていても"どんな先生か"は分かりませんでした。
そんな不確定な存在を計画に組み込むなんて愚の骨頂。ですが計算外に置くには先生という存在は大きすぎる。
故に
先生を頼らない理由なんて一つしかないでしょう。もし先生が───
"───つまり、私が優秀過ぎるってこと!?"
「......本当に残念ですよ」
"何が?"
「あなたのおつむが」
"上等だよチトセ、拳を構えな......"
先生なんかが私に勝てるわけないじゃんね。また虚しい勝利を収めてしまった......
"くらえグルグルパンチー!!"
「4000年の歴史を捨てた末路がこれか......」
ちゃぶ台に向かってI.P.A.の練習をしつつ話している私の背に凭れながら、適当な事を抜かす先生。
そういえば昔の彼女も同じようなことしてましたけど、なんで高校生と25歳が似たようなことしてるんですかねぇ......
「......随分楽しそうだね。おじさんも混ぜてよ」
「あれ、もしかしてお邪魔だった!?」
「ちょうどよかった、この人引き取ってくださいよ。ついでに明日の分の仕事も少し進めておいてください」
"やだー!!今日は頑張ったからもうのんびりするのー!!"
人をダメにするクッションにダメ人間が縋り付いてる......
まるで鶏と卵ですね。ダメ人間が使うから人をダメにするクッションなのか、人をダメにするクッションがダメ人間を生み出すのか......
「......っと、どうしたんですかホシノさん?」
「おじさんも少し眠くなってきちゃったなー」
「あっちの先輩の方が寝心地よさそうですけど?」
「ちょっとチトセちゃんそれどういう意味かなー!?」
人をダメにするクッション、実は触った事ないんですよね
いつか買ってみたいです
次に書くかもしれないもの
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アビドス編
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アビドス(過去)編
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エデン条約編の後