ここまでの話も張ってきた伏線も、全てはこの為に存在すると言っても過言ではありません
通功の古聖堂。
それは第一回公会議が行われた場所であり、原作と前回のどちらにおいても用いられた歴史と伝統ある建築物。
まあミサイルで消し飛んだんですけど。
アリウスと内通していたマコトさんが「調印式は通功の古聖堂でやるように指定してクレメンス」的なこと言われて決めたのでしょう。
実際ここでやらない場合はユスティナ聖徒会も呼べないでしょうが、その場合ベアおばが他の陰湿な手段を用いる可能性が高いのでやめておきました。
ユスティナ聖徒会の顕現、そして先生と私の排除を同時に実行するという形で手段を絞るのが今回の狙いです。
ユスティナ無しでエデン条約に横槍を入れるとなればティーパーティーの面々や先生に対して戦力的に優位に立つのは困難になる。となれば調印式の前に補習授業部の問題で忙しい中、暗殺だのしゃらくせえ手段で余計に手間をかけてくるだけ。
私にとって問題は大きくても少なくて単純な方が対応しやすいので、分かりやすいエサをぶら下げて誘導したという形です。
期日をずらすこともできない、トリニティ及びゲヘナを上回る戦力を用意することもできない。
ですがユスティナは呼べる、逆に考えれば厄介な戦力が固まっているのは一気に排除できる機会でもある。
あの小賢しいババアであればそう考えるでしょう。
「うぃーっす、皆さん調子はどうです?」
「ああ、問題ないとも」
「あ、チトセちゃんだ!!」
「はぁ......この状況で自由に歩き回るのはあなたらしいですが、もう少し立場というものを......」
「ミカさんガード!!お小言をスルーするぜ!!」
こんな状況でも優雅に紅茶をシバいてるナギサさんはある意味すげえと思ってましたけど、そういえばミカさんを救出する時も飲んでましたよね。
精神安定剤になってるのかな......ヤバい葉っぱ()とか入ってませんかそれ?
「......チトセちゃん、その───どうかな?」
「どう、とは?」
「ほ、本当に分からない?」
そう言ってくるくる回るミカさん。
さて、ここで皆さんに質問です。この場合の模範解答は何でしょうか。
答えが分かった人は私にこっそり教えてください()
「え?いや特に......ん?」
「......チトセさん?」
「いや本当は全然最初の時点で気付いていたんですけどねHAHAHA一目で分かりましたよはいこれ気付かない奴は節穴どころの話じゃないっすよねー!!
......前髪切りました?5ミリくらい」
「全然ちがーう!!」
むすーっ!!っと頬を膨らませて怒りますが可愛いだけですね。
こういう時って大概前髪か爪じゃないんですか?
「見て分からない?本当に?」
「えぇ......以前私がプレゼントしたQuis ut Deus Mk-IIを持ってきている事と、それに同封してたピアスを付けてる事と、服の下に試作品として渡した衝撃緩和インナーを身に付けている事くらいしか───」
「チトセさん......」
「ふむ、チトセは真っ先に乙女心というものを学んだ方が良かったかもしれないね」
こういう時はピアスにだけ言及して本人と併せて褒めておくものだよ、と窘められてしまいました。何故?
流石に自分で渡した物くらい見れば分かりますし、ミカさんに合わせてプレゼントした訳ですし似合うのは当然では?
それともアレすか、下着について言及したのがノンデリ発言でしたかね。いやでも明確に違う点ならこれも挙げるべきでは?
対照比較であれば相違点は全て挙げる、これ理系の常識です。
「それら全部が問題だね。今まで君に泣かされてきた少女たちがあまりにも哀れだ」
「ナギちゃん......チトセちゃんの発言に点数を付けるなら何点だと思う?」
「100点満点で5点といったところでしょうか。ピアスについて言及しなければロールケーキをぶち込んでいるところでした」
「なんか......すみません」
なんで怒られているのかよく分かりませんが、どうやら私が悪いようなので素直に謝っておきます。
これが大人の処世術ってやつよ......!
「......まあいいでしょう。ミカさんから
「私とナギサは直接援護する事こそ叶わないが、まあ心配することはない」
「大丈夫、私が二人の分も頑張るから!!」
「わお心強い......」
この先に起こること、ミカさんは全ての計画をナギサさんには話したようですね。
その上で───赦しを得たと。
(「きっとナギちゃんなら許してくれる」とは言っていたものの、実はほんの少しだけ心配ではあったのでね......)
皆でナギサさんを騙すような形になってしまった補習授業部に関する一連の事件。
一度疑心暗鬼の闇に囚われてしまえば抜け出すことは容易ではありません。
また、騙されているのではないか。今度こそ本当に失ってしまうのではないか。
その論理的に脱出不可能な"猜疑の檻"から抜け出せたのは
「───"もう私を悲しませる嘘は吐かない"という言葉を、信じていますので」
「とのことだよチトセ、くれぐれもナギサを悲しませることは慎むように」
「セイアちゃんも同罪じゃんね☆」
───凡庸な表現にはなりますが、これまでに築いてきた友情と親愛の為せる奇跡であった。少なくとも私はそう信じています
......この三人であれば、きっと今後も大丈夫でしょう。
「私は先生の傍に居ますんで何が用があれば!!ほな!!」
「ええ、お気をつけて」
「また後で会おう、チトセ」
「またね~!!」
◇
「いやーどうもお疲れ様です」
「あなたも緊張することがあるのね、チトセ」
「ちょっと失礼じゃないすか?」
無理を言って予定よりも30分早く来てもらったヒナさんの姿を見つけて話しかけてみればコレですよ。
なんなら他の風紀委員のメンバーからは今にも銃口向けられそうな圧を感じてますし。
「マコトさんから既に聞いているとは思うんですけど......」
「ええ、分かっているわ」
マコトさんは優雅に飛行船で登場する予定のようですが......抜け目なく脱出手段は用意している事でしょう。
ヒナさんはベアトリーチェに勘付かれないよう早いタイミングで現地入り。他の面々も別の手段で既に到着しており、巡行ミサイルのターゲットとして信号を発信している車両は自動運転でのんびり向かってきています。
「......五分後、ってとこですかね。準備は良いですか?」
「ええ。そちらは?」
「ご安心下さい、
「そう......」
そう、万全。完璧とは言えませんが、今の私にできる事は全てやったつもりです。
人事は尽くした、あとは天命を待つのみ。
「......おや。ヒナさんもMk-IIを持ってきたんですね」
「......"も"?」
「いやね、さっき会ったんですけどミカさんも持ってきてまして───どうしました?」
「───なんでもない」
対生徒用としては威力が高すぎるが故に、或いは使用者への反動が大きすぎるが故に実戦ではまず使われることのないシリーズ。
二年生の後半......私がキヴォトス全土に公開した【神秘論】の最終成果物であり、Mk-IIという共通のコードネームを与えられた武器。
───キヴォトス最強格というランクに位置する彼女たちの能力を、最大限まで引き出す専用銃器たち。
......あ。そういえば皆さんに手渡す時に「特別に誂えました」的な事言っちゃった希ガス───いやまさかね。
「ホシノには渡していると思っていたけれど、他の子にも同じような事をしているのね」
「あれ、もしかして皆さんの間で共有されてないんですか?」
「......ホシノと私だけかと思ってた」
「え?何か言いました?」
「───何でもないわ。あとこの一件は後日ホシノに伝えておくから」
「ナンデエエエ!?」
Mk-IIシリーズは最強格の生徒たちが用いる物と同じモチーフ、カスタムの銃を各生徒の戦闘スタイルに合わせて魔改造したものです
それにつぎ込まれた時間や技術、そしてリソースは計り知れず皆が心のどこかで「もしかして私(とホシノ)だけが貰っちゃったんじゃ......」と考えてしまう程度にはオーパーツの領域に片足を突っ込んでいます
まあ全員に渡してるんですけどね、データ取りたかったし()
次に書くかもしれないもの
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アビドス編
-
アビドス(過去)編
-
エデン条約編の後