アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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「西水チトセ」という名前には小ネタが幾つか含まれています
表の小ネタは後々分かりますが裏の小ネタは本編内で触れる予定が無いので、分かった方はニチャってください


訣別の鏃

 

 ベアトリーチェがとったのは最低限のリスクと大量のコストを支払い最大の利益を得る、所謂"大人"なやり方。

 

 巡航ミサイルによる飽和攻撃。対応可能なのは私だけであり、迎撃に失敗した時点でアリウス生を送り込む。

 迎撃に成功した場合は疑似高次元干渉(Imitation higher-dimensional interference)による転移で合流した先生と私を排除。私が張り付いていても妨害は極めて困難であり、どちらにせよ私が致命傷を受ける可能性が高い。

 

 そして送り込んだ6名の捨て駒で注意を引き、隠された本命がETOを乗っ取る。アツコちゃんを人質とすることでユスティナ聖徒会を比較的安全に顕現させつつ、無視できないリスクはマエストロ(同僚)に背負わせる。

 

 笑えるくらいの外道っぷりですが......そこまでさせたのは間違いなく私なので何も言えねえなこれ()

 巡航ミサイルと爆弾投下タイミングがズレてるのも、先生より私を確実に排除したいって事でしょうし。

 

 つまり───この状況もある意味私の責任、ってコト!?

 

"う、うぅ......ほんどに、本当に死んじゃったんだっておもっで......"

「あーもう私が悪かったですから服に鼻水こすりつけないで!!作ったばっかりなんですから!!」

「......グスン

「ヒナさんも後でちゃんと埋め合わせするんでひとまず離して頂けると......マジで身動きとれないんで」

 

 何でつい数分前に爆殺された現場でお二人をよすよすしているのか......まあ油断とはいかずとも想定が甘かった私の責任ではあるんですけどね?流石にスプラッタすぎたか......(反省)

 

 ちな吹き飛んだ体のパーツは本来そのままなんですけど、精神衛生上よろしくないかなーと思ったのでI.P.A.でサクっと分解しておきました。

 死体あるいは欠損した部位は生物判定ですらないみたいですね、単なる有機物扱いかな?

 

「......って、私が吹き飛んでから復帰するまでどのくらい時間かかってました!?!?」

"えっ......2~3分くらいかな"

「ってことは......いや私だけなら余裕で間に合うけど───仕方ないか」

"なになに、どうしたの───ッて、ええぇぇぇぇえ!?!?"

「すみませんヒナさん、後はお願いします!!」

「あっ、うん......分かった」

 

 先生を抱えてダッシュ!!本来巡行ミサイルの撃破報告からそのまま先生に疑似高次元干渉(Imitation higher-dimensional interference)で来てもらう予定だったので時間が......

 今先生が黒服さんと顔合わせたら一瞬で懐からカード取り出すだろうし()

 

 場所はアリウス最深部。ミカさんと一緒に作ったカタコンベ爆速突破ショトカを使えばギリ間に合います。

 

"こ、今度は何をする気なの!?!?"

「いやね、やられっぱなしって癪じゃないすか。あっちは人質だの迷宮だの小賢しい真似で引き籠ってるだけなのにプレイヤー気取りで」

 

 じゃけん〇しましょうね~

 

「分かりやすく言うとですね......『反撃開始と行こうか!?』ってことです」

"それ本当に大丈夫!?2期の終わりくらいに放送された退場シーンがネットミーム堕ちしたりしない!?"

「縁起でもないこと言わないでくださいよ!!」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「......私はどこで"教育"を誤ってしまったのでしょう」

「さあな。少なくともお前には一生理解できまい」

 

 アリウス最深部。

 

 一人欠けた不完全なスクワッドは個々に出撃命令を受けたものの、それに従う者は誰一人として居なかった。

 

 その事態が計画から外れていたとしても関係ない。示し合わせることもなく、私たちはある場所に集まっていた。

 

 文字通りの完全武装。アリウスの中で唯一、秘密裏にチトセからの物資の支援を受けていた私たちの全力を発揮する機会は遂に訪れた。

 

「一応、聞いておきましょうか。───サオリ、なぜあなたがここに居るのですか?指示は出したはずですが?」

「答える必要があるのか?それとも、この状況になっても理解していないのか?」

「......西水チトセから随分と悪影響を受けたようですね。どうやら"再教育"が必要なようです」

 

 ベアトリーチェの力は強大だ。

 

 元より内乱状態にあったアリウスを単独で平定した存在。

 ───私一人で勝てるなど、最初から想定してはいなかったが。

 

「だってさ、リーダー。どうする?このままじゃ私達"再教育"されちゃうらしいけど」

「"再教育"を受けるか、ここで戦うか......どちらを選んでも苦しいですよね......」

 

 ......こいつらを、巻き込みたくは無かった。

 暗殺でも自爆でも何でも構わない、この大人さえ排除できるなら何でもする覚悟だったが───今となっても捨てきれないものがある。

 

 仮にベアトリーチェを倒したとて、その為にスクワッドのうち誰か一人でも欠けてしまえば意味などない。

 私が死んでも同じことだ。リーダーとして、解放された後のメンバーを守る義務がある。

 

 汚名を被るのであれば、それを晴らそう。

 追手を差し向けてくるのであれば、全て排除しよう。

 "日常"という得難い奇跡を享受するために、私の全てを捧げよう。

 

 だから───

 

「───()()()()()()ぞ、ベアトリーチェ」 

「返す?ここにあるのは全て私の物です」

「違う!!ここにお前の物なんて一つもないッ!!」

 

 虐げ、踏み躙っただけの存在が所有者を名乗るな。

 

「アツコは私の、私たちの家族だ!!───断じて、お前の所有物なんかじゃない!!」

「......子供の分際で、ごちゃごちゃと───ッ!!」

 

 バシリカに、形容し難い緊張が走る。

 先に動くのはどちらであるか、1秒にも満たないその些細な差異だけで勝敗が決すると誤認してしまうほどの空気を震わせる───硬質の足音。

 

「楽しそうなことしてるじゃんね───私も混ぜて欲しいな☆」

「わ、私も居る」

「ミカ......それにアズサまで───」

 

 そこに居たのは見慣れた姿。

 トリニティで穏やかに過ごすこともできた筈の、既にこの一件に関わる必要のない存在。

 

 美しく飾り付けられた翼、染み一つない制服、そして───手に握られた、明らかに以前と比べ手が加えられた銃。

 一目で分かる。彼女たちもまた"覚悟"を決めてここへ訪れたのだと。 

 

「......トリニティの友人はどうした」

「見送ってくれた。"行ってらっしゃい"って───だから、一緒に帰ろう」

「ああ───そうだな」

 

 手にした銃は、機関部に何らかの機構が取り付けられていた。

 圧とも言い換えられる異質な存在感から推察するに、チトセの技術に由来した何らかの改造が施されているのだろう。

 

 ───もう一つ、大きな違いがあった。

 

「そのストラップは貰い物か?以前は付けていなかったはずだが」

「うん。私の大切な友達からの贈り物」

 

 トリニティに潜入する為の装飾ではないそれ。アズサが築いた友人関係と、トリニティでの居場所を形容するかのような───

 

「......そうか」

 

 トリニティとアリウスの友好の懸け橋に、と聞いた時には耳を疑ったものだ。

 ベアトリーチェによる"教育"が無くとも私たちアリウスは少なからずトリニティに思うところがあるもので、それを目の前の存在が知らないとは思えない。

 

 アリウスの歴史は公には知られていないが、ティーパーティー候補ともなれば多少調べるだけで辿り着くだろう。

 古の確執、埋めがたいその溝に。

 

 それでも尚信じると言ってみせた結果がこれだというのなら......なるほど"懸け橋"というのも存外、悪くはない。

 まあ本人がそこまで考え至っていたかと言われれば返答に窮するが。

 

「......本当に来たんだな」

「私があなたに嘘ついたことあった?」

「フッ、親友に大嘘を吐いたところは見たな。私が言うのも何だが、この件が終わればしっかり詫びるべきではないか?」

「......(口笛を吹く)」

 

 どこで私たちの存在を嗅ぎつけたのかも知らないが、唐突にアリウス自治区に現れた彼女に相対した時からは想像もできない結果になったものだ。

 チトセの来訪から数か月後、何度もしつこく訪れては理由も分からないままに世話を焼いてくるこいつを鬱陶しく思ったこともあったが......

 

「......全く、底抜けのお人よしだな。ここまで付き合う義理など最初から無いだろうに」

「私がそんな薄情に見える?」

「いいや、困ったことに全くそう見えないな。

 ......思えば最初からそうだ。お前はいつでも善意だけで動いていた」

 

 だから、巻き込みたくは無かった。

 地獄に行くのは私だけでいい。あいつらも、ましてや助けようと手を差し伸べたお前まで巻き込むつもりはなかったというのに。

 

「こうなったら最後まで付き合ってもらうぞ、ミカ!!」

「もちろん!!散々逃げ回られて私も色々溜まってるからさぁ!!」

 

 普段は意図せず無意識のうちに相手を煽ってしまう彼女だが───今回ばかりは違う。

 

「チトセちゃんに勝てないからってなーんにも言えずにいっつも引き下がるくせに、帰った瞬間に"教育"しようとして。それで一回フェイントかけられてからチトセちゃんが帰ったかしっかり確認してきてからコソコソ出てくるのほんっとうにみっともなかったよね☆」

「───小娘が」

「てかさー、私のことも露骨に避けてたよね?ティーパーティーに危害を加えたら流石に問題になっちゃうから抑えてるんだと思ってたんだけど、もしかして......普通に勝てないから隠れてたりする?ねえねえ、答えてよオバサン☆」

「よくもまあここまで口が回るものですね。いくら私が寛容であるとはいえ、これ以上の愚弄は許さな───"許さない、って?"」

 

 ......そう、私が彼女に対してほんの僅かであるが畏れにも近い感情を抱いている理由が"これ"だ。

 

 

 

 彼女はずっと、怒りを抱いているのだ。

 

 

 

「それはこっちのセリフなんだけどなぁ......私の大切な友達をずっと虐げて、生徒達から学ぶ機会を奪い続けて───だから、ベアトリーチェ」

 

 果たして、赤の他人に課せられた現状がいかに劣悪であれ───自分の事以上に怒りを抱ける人間がどれほど存在するだろうか。

 その環境を改善するために年単位で時間を費やし、幾度も身体に傷を負いながらも己を高め。

 

 ───その身を捧げてもなお、友と呼ぶ存在を救おうとする存在が。

 

 

「......私は、あなたを許さないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Mk-Ⅱシリーズ持ちのミカ+アツコ抜きアリスクなら原作ベアトリーチェを余裕で〇せます
チトセの研究結果がこいつに流れてなければ......

次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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