アイエエエ!?センセイ!?センセイナンデ!?   作:湊咍人

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チトセの名前に関する小ネタのヒント
・ある方法で変換すると英単語になる

あと今回の話は繋ぎなのでちょっと短いです


失われし名

 

「......一応確認するんですけど、連邦生徒会長にもらったAnkyraíron(アンキュライロン)という名前では───」

「ええ。そちらではなく、()()()()()()()()()辿()()()()()の名前です」

「───いやはや驚いた。まさか生徒側でそこまで辿り着いていた存在が居るとは」

「私が誰かお忘れですか?」

 

 いかに超天才清楚系病弱美少女ハッカーとはいえ、ここまで言い当てられると流石に面食らってしまうものがあります。

 とはいえ、ねえ......

 

「申し訳ないんですけど、()()()()()んですよね。名前だけすっぽりと記憶が抜け落ちてまして」

「やはり、ですか......」

「これも予想してたんですか!?いやパネェな......」

「それほどでもあります(ドヤァ)」

 

 よもや、そこまで───(AUO並感)

 ......で、そこまで知っておきながら私にわざわざ名前について聞いてきたってことはつまり。

 

「......忠告、ですか?」

「その通りです。キヴォトスにおいて名前とは記号以上の意味を持ちます。

 ───あなたが名前を忘れキヴォトスに顕現した意味は推し量るに至りませんが、それが存在することで何らかの問題が発生しうるということは察せられます」

「いやもう、おっしゃる通りで......」

「......何故、過大なリスクを冒してまで名前を探し求めているのですか?」

 

 ......私は、失ってしまった名前を探している。

 

 言ってしまえば、今の私には何の関係もない名前だ。

 確かに西水チトセという存在へと至る人格形成において外せない時間───およそ19年を過ごしたはずの名前だが。

 

 名前なんて、結局は記号だ。キヴォトスにおいて名前が記号以上の意味を持つのはテクストと紐づけられるからであって、名前そのものに価値がある訳じゃない。

 そんなこと百も承知だ。私がやっていることは単なる自己満足で、徒に未知のリスクを誘い込む愚行でしかない。

 

 それでも───

 

「───割り切れるほど()()()()()()()()。それだけの話ですよ」

「......そうですか」

 

 理屈も正論も、私の心を癒してはくれない。

 自分に言い聞かせたところで、自分で納得できていないのだから何の意味も無い。

 

 ......()は、それが不安で仕方がないんだ。

 ───全部、嘘なんじゃないかって。

 

 

 

 

 

 ◇

  

 

 

 

 

 ......出会ったことは、ないはずだ。

 地下生活者とかいう名前にも一切の聞き覚えはない。学生であった頃の記憶にも、先生であった時の記憶にも、ましてや"西水チトセ"としての記憶にも。

 

 だというのに───何だ、この既視感は。

 目が離せない。奴の声以外なにも聞き取れない。

 

 過去(記憶)が、脈絡もなく想起される。

 ───思考が、鈍る。

 

「……フフ。小生は争いなど、望んではいませんよ。ええ、無益な殺生など──」

「───お前みたいな奴は知らん。そこのババア共々死にたくなかったらとっとと......」

「ですから、どうでしょう……取引、というのは……ヒヒッ、そう、取引です……」

 

 あからさまに怪しい。こんな得体の知れない輩、ベアトリーチェ諸共に消し飛ばすべきだ。こんなところでリスクを背負うべきじゃない。

 

 ......そう、分かっている。

 

"......チトセ、耳を貸しちゃダメだ"

 

 ......分かっている。

 今の私がやるべきことは、確実にベアトリーチェを───

 

「貴方がお探しの情報、小生は持っておりますよ......失われたはずのもの、例えば"名前"など」

 

 ......一度、話を聞くだけだ。

 こちらが有利な事には変わりない。話を聞くだけ、聞くだけなら───

 

「交換条件として、そうですな───小生の質問に一つ、お答え頂ければそれで......ヒヒッ、ヒ」

「......分かった」

"チトセ!?"

 

 質問に答える、だけなら。

 たった一つ答えるだけだ。攻撃の意思が見えたらその瞬間に殺せばいい、逃げようとしても同じだ。

 

 だから───

 

「───さっさと聞けよ」

「では遠慮なく───箱舟の神(キヴォトス*テラー)よ、貴方は何故に戦うのです?

その、決して永くはない生を削りながら......なおも立ち上がる、その理由とは──何なのでしょう?」

「......理由なんざ無い。俺が俺である以上、やることは変わらない───それだけだ」

「小生には理解し難い......されど、だからこそ興味深い。

ヒヒッ......貴方という存在、やはりただのPC(プレイヤーキャラクター)ではありませんね......」

 

 ではお答えしましょう、と。

 芝居がかった仕草で両手を広げ、ようやく"それ"を口にする。

 

 どんなに神秘と恐怖に関する研究を突き詰めても手が届かなかった過去。

 地を這い水底を浚い、道なき未踏の地を歩き回り、それでもなお糸口すら掴めなかったそれが、ようやく目の前に───

 

「貴方の名は───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




()()()()()()()()

【......であれば、人が神を信じるのではない。()()()()()()()()()()()()のだ。
 故に彼の者は───キヴォトスにおいて最も神に近い存在と呼べるだろう】

【切り棄てられし神々の死相(デッドフェイス)箱舟の神(キヴォトス*テラー)
 ......よもや私が感化させられる側に回るとはな】


次に書くかもしれないもの

  • アビドス編
  • アビドス(過去)編
  • エデン条約編の後
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