サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
気づけば、全てが終わっていた。
俺自身が、アバターチェンジを行った後の出来事はあまり覚えていない。
「という事で、何が起きたのか、分かりますか先輩?」
『それを、俺に聞いてくるのか』
そうしながら、全身が包帯によって巻かれている兵藤先輩に聞いた。
どうやら、俺達が記憶がない間に、暴走している俺達同士が戦っていたらしい。
俺自身は、そういう自覚はあまりなく、先輩もまた、そんな記憶は一切なかった。
現在は、先輩は、覇龍?だったか。
その力の影響で、全身がボロボロな状態となっている。
アーシア先輩の力で治療は出来るかもしれないが、今は心身共に疲れている状態の為、応急処置だけを行って、翌日に治療を再開させる予定らしい。
ついでに、口も包帯でグルグルに巻かれている兵藤先輩は、彼の神器であるドライグさんを通じて、会話を行っている。
『それにしても、王国の駒の持ち主。まさか、暴走している赤龍帝を止める事が出来るとはな』
「実際には、俺にはそんな記憶、無かったんだけどなぁ、まぁ、気持ち良く喧嘩したっていう自覚はある」
『それは、俺もだな、身体中はボロボロだけど、すっきりした感じがする』
そう、先輩は、そのまま天井を見ていた。
『そうして、気持ちが何もかもすっきりするとさ、今まで気づかなかった自分にも結構気づいたりしたんだ』
「今まで気づかなかった自分?」
先輩が、何か思い出したのか。
俺は疑問に、首を傾げた。
『俺、あの時に、アーシアを失ったと思った時に、なぜかレイナーレの事を思い出したんだ』
「なんで、またあの堕天使の事を?」
『・・・俺、部長達の事、無自覚だけど怖かったんだと思う』
「というと」
それに対して、俺はあえて、聞く事にした。
先輩の話す気になった内容を、そのまま聞く。
『初めての彼女だったんだ。けど、それは俺を殺す為に近づいたんだって。そんな体験をした後だからさ。自分でも知らなかったんだけど』
「女性が怖かったと」
普段、ドスケベな先輩から出るとは思えない言葉。
だけど、それが、先輩自身の本心ならば、それを笑う事は出来ないだろう。
『こんな事が起きた後だけど、お前と喧嘩した事で、そんな無自覚な事、知ってしまったんだ。本当だったら、それで良かったと考えるべきだけど、こんなの』
「けど、先輩」
そこで、俺は問いかける。
「今の日常、苦しいですか?」
『そんな訳ないだろっ、俺は、今でもオカ研での日常は大切だ!部長の眷属になった事に、後悔なんてないよ!』
「ならば、それで良いじゃないですか」
俺はそう問いかける。
「嫌な事なんて、笑い飛ばせるぐらいの想い出。それを沢山作れる日々。今、乗り越える事が出来なくても、それ以上の想い出を作り続ければ、きっとそんなトラウマなんて、吹き飛ばせるさ」
『太郎、お前』
「悩みなんざ、笑い飛ばせるぐらいに、そうだろ」
『・・・あぁ、そうだな、その為にも、強くなってやるよ!』
それに対して、俺は笑みを浮かべる。
「それにしても、ドンモモタロウ、面白いな、今後も使ってみようかな」
『それは、マジで止めろ』
次回の王は
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