サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
サインをお願いされた。
それは、俺も人生において初めての経験だったので、少し戸惑いはあったが、とりあえずサインを書いた。
「ほら、これでどうだ」
「あっありがとうございます!」
少年は、サインを受け取ると、嬉しそうな笑みを浮かべる。
まさか、こんな少年にまで知られるとは、思わなかった。
「そう言えば、君、親御さんは?見たら、一人のようだけど」
「あっ、その、少し迷子になっていて、時間になったら、合流する予定でしたので。そこで、ドンモモタロウさんに会えて」
「いや、俺はドンモモタロウじゃなくて、唯我太郎という名前はある。まぁ良いか、少年、名前は」
サインを書く時、少年から名前を聞く事はなかった。
それもあって、少し疑問があった。
「・・・その、ごめんなさい、その」
「・・・事情ありか。まぁ、そういう事だったら、あまり聞かないでおくよ」
「ありがとうございます」
俺が言うと、どうするか迷う。
「悪いがソラと友奈、捜索は頼めるか?」
「それは別に構いませんが、何を?」
「何、せっかくのファンがいるんだ。王としては、話をしたいからな」
「あははぁ、まぁらしいと言ったら、らしいね」
今回の1件は、どれ程時間がかかるか分からない。
すぐにでも探したいけど、焦っても仕方ない。
なので、この捜索は二人に任せて、俺は少年と少し話をする事にした。
どうも、この少年は、危ない気がする。
「えっ、なんで?」
「んっ、言っただろ、話したいって、とりあえず、茶飲むか?」
「うっうん」
そう、少年に茶を渡す。
少年は、初めての茶という事で、少し戸惑いはあったが、それでも飲んでくれた。
「初めて」
「んっ?」
「初めて、ドンモモタロウさんの姿を見た時、格好良いと思いました」
「そうなのか?少年ぐらいの歳だったら、色々なヒーローはいたんじゃないのか?」
「・・・英雄は沢山いたけど、格好良いと思えた人はいませんでした」
「そうなのか?」
「はい、彼らは、とても強くはありましたが、格好良いとは思いませんでした。だけど、一緒にいないと、生きていけないから」
「・・・」
その言葉は、本当に、起きた事を語っているようだった。
実際に、嘘はないだろう。
「だから、テレビで、初めて見た時から、活躍を見てから、ずっと目が離せなかった。ドンモモタロウさん。俺、どうやったら、あなたみたいになれるんですか」
少年は、そう言った。
その事に、対しての答えは。
「なれないな」
「えっ」
本当の事を言った。
「少年、君は、俺のようなヒーローにはなれない。なぜならば、俺になれるのは俺でしかなれないから」
「なら、僕は」
少年は、少し戸惑いがあった様子。
けれど。
「だが、それと同じぐらいに、少年。君が、なりたいヒーローは君にしかなれない」
「僕にしかなれないヒーロー」
そう、言った少年は。
「僕がなりたいのは、ドンモモタロウさんしか」
「だったら、考えようじゃないか」
「考える」
「あぁ」
俺は、そのまま告げる。
「少年、君は、俺に憧れたと言った。それを知り、目指して、考えよう。その先に、きっと君にしかなれないヒーローがあるはずだ」
「僕しか」
少年は。
「その、聞いてくれますか」
「あぁ」
そのまま、俺は少年が考えるヒーローを、聞く続けた。
次回の王は
-
妖怪王
-
機械王
-
怪獣王
-
幻想王