サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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夢と誓い

 既に、引っ越し当日となった。

 

 生まれ故郷であるこの地を離れる。

 

 それは、寂しさもあった。

 

「さてっと」

 

 だが、既に駒王街に行く事が決まった以上、駄々をこねても仕方ない。

 

 だからこそ、俺は、絶花の元へと向かう。

 

「あいつ、いきなり顔を出さなくなったけど、大丈夫なのか?」

 

 引っ越しする事が決まってから、絶花は、俺に会おうとしない。

 

 それがなぜなのか、疑問に思いながらも向かう。

 

 早朝。

 

 もしも、ここで会えなければ諦めるしかない。

 

 そんな事を考えながらも、俺はそこに訪れる。

 

「やっぱりいた」

 

 そこには、素振りをしている絶花がいた。

 

 既に最強を目指していないはずだが。

 

 習慣になっていたそれを行っていた。

 

「太郎」

 

 すると、俺に気づいた絶花は目を見開く。

 

 同時に、すぐに立ち去ろうとしたのに。

 

「おいおい、今日でここから去るのに、寂しいじゃないか」

 

 そう、俺が言うと絶花が止まる。

 

「寂しい」

 

「あぁ」

 

 それに対して、絶花はこちらを見ない。

 

 しかし、身体を震えている。

 

「だったら、行かないでよ」

 

「絶花」

 

 背中を震わせる。

 

「ずっと、一緒だった。幼馴染みで、生まれた時からっなのに、引っ越しをしたらっ私っ」

 

 絶花の言葉は、途中から嗚咽に変わる。

 

 そして、俺の方を振り向く。

 

 目元に涙を浮かべている絶花。

 

 それに対して。

 

「馬鹿か」

 

「えっ」

 

 俺は、そう絶花に言う。

 

「ここで別れて、一生会えないと思っているのか」

 

「それは、だって」

 

 同時に、俺はため息を吐く。

 

「俺の夢、忘れたのかよ」

 

「夢って、王になる事じゃないの」

 

「違うな、それは手段だ」

 

「えっ?」

 

 俺の言葉に絶花は戸惑う。

 

「俺が王になろうとしたのは、絶花、お前の夢を叶える為だ」

 

「私の」

 

「あぁ」

 

 俺が王様を目指している全ては、絶花の夢を叶える為。

 

「手段と目的が変わった事なんて、一度もない。第一、俺はずっと言っているだろ」

 

「あれは、その、私を揶揄っているんじゃなかったの」

 

「そんな事は一度もない」

 

 俺は最初から最後まで、目的は変わらない。

 

 絶花が普通の友達を作れる国を作る。

 

 そして、その為に王様になる事を目指す。

 

「何よりも、どんなに離れていても、お前は俺の最強の侍だ」

 

「太郎」

 

「だからこそ、待っているぞ」

 

 俺はそう、絶花に目を向ける。

 

 そして、絶花もまた、頷き、その刀を俺に向ける。

 

「ならば、私も誓うよ。私の最強は、どこまでもあなたと一緒に行く」

 

「あぁ」

 

 そう、俺は頷く。

 

「俺は、お前に夢を叶えてみせる。だからこそ、その最強を俺と共に」

 

「私は最強を証明する。あなたが私の夢を叶えてくれるのを諦めない気持ちがある限り」

 

 この日、確かに俺と絶花は、この地で別れた。

 

 けど、また出会える。

 

 その時まで。

 

「「またね」」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
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