サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
演奏を終えた後、俺と茅森は、見届ける為に見つめる。
強固な蟹の甲羅は、まるでそれ自体が彼女達の生きていた頃の恐怖から守る鎧にように。
それでいて、この世を縛り付ける鎖でもあった。
だが、俺と茅森の演奏によって、それは砕け散り、空を舞っていた。
俺と茅森は、それを見ていた。
「・・・旅立つ事は出来たのかな」
「そうだと、良いな」
天へと帰って行く彼女達。
彼女達にとっては、理不尽な人生だっただろう。
理不尽な人生を体験し、青春時代をまともに送れずに死んだ者達がいただろう。
「ねぇ、太郎」
それを見つめている最中で、茅森が、俺の名を呼ぶ。
普段の、あだ名ではない、俺の本名で。
「なんだ」
「私さ、人を助けるのは好きだけどさ、それと同じぐらいに一緒に笑える悪魔や天使と仲良くするのって、可笑しいと思う」
「・・・可笑しいか、普通の奴らだったら、そうかもしれないな」
「そうだよね」
その茅森に、俺は答える。
だから。
「だが、俺の国では、それは可笑しくもなんともない。むしろ、普通の事だ」
「・・・そっか、やっぱり太郎の国は面白そうだね」
笑みを浮かべた茅森は。
「だったら、沢山遊べて、面白そうじゃない」
笑みを浮かべた茅森は。
「あぁ、だから茅森。お前の家臣になれ!」
俺の言葉に対して、茅森は。
「だったらさ、王さま!」
それと共に、俺に対して、茅森は、その手に持ったアロンダイトをこちらに向ける。
「思いっきり、演奏してみないか」
「演奏か?」
その言葉に、茅森は、俺に言う。
「あぁ、あの子達に送る為の曲だけじゃない。これから沢山、色々とやる為に!文化祭でバンドをやったりする為にもな!!」
「バンドか、それだったら、オカルンやキンジに絶花も呼ばないとな!」
「おっぜんちゃんもか!だったら、色々と考えないとな!けど、今は!」
そうして、茅森は、その手に持つアロンダイトを構える。
先程、即興で造り出したギターではあるが、気に入った様子なのか、意気揚々と構えていた。
「王さまと私のデュエットを思いっきりやらないか!」
それと共に、茅森はギターの弦で、音をかき鳴らす。
「あぁ、そうだなぁ!!」
それに合わせて、俺もまた、その手にある鉢を構える。
近くにある木に、先程の蟹に装填した音撃鼓。
「それにしても、太鼓とギターか。なかなかに面白い演奏が出来そうじゃない」
そのまま、鳴り響く音楽が。
森の中に響き渡る。
深夜の森の中で響いた音楽。
それらが、後にこの街においての都市伝説の一つ。
幽霊達が、呪いの歌を響かせるという噂。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王