サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
宝石の中に閉じ込められ、周囲を見渡す。
宝石の中はまるで鏡のように反射しており、その表面には無数の小さな光の粒が舞っている。
まるで宇宙空間の中に放り出されたかのような錯覚を覚える。
そして、それによって外の状況を全く確認する事が出来ない。
ただ、冷たく無機質な感触が手に伝わるだけで、まるで時間そのものが停止したかのようだ。
腕組みをしながら、脱出方法を考える。
俺がジオウに変身している今、この宝石の内部で何が起きているのかは全く理解できない。
しかし、一つだけ確かなことがある。
それは、俺がここで立ち止まっているわけにはいかないということだ。
「とりあえず、色々と試してみるか」
それと共に、俺はジカンギレードを銃モードにして、銃口を構える。その銃口からは白い蒸気が微かに立ち上っている。手に持つ感触は心地良く、俺はそれを信頼しながら引き金を引く。
ジカンギレードから放たれたエネルギー弾は、空間を貫きながら一直線に進む。しかし、その弾丸は何も当たる事なく、そのまま彼方へと消え去る。弾丸が空間を通り抜ける瞬間、微かに空気の震えを感じた。
「・・・どうやら距離とかそういうのはない感じの結界か」
ため息を吐きながら、俺はジカンギレードを元に戻す。
その動作に合わせて、武器は瞬時に形を変え、再び元の姿に戻る。
「さて、どうするか」
そう、悩んでいた時だった。
先程まで、俺の姿を映すだけだったはずの宝石。
だが、その宝石の向こうに映ったのは。
「俺?」
俺が驚く声は、まるで空間の静寂を突き破るような響きを帯びていた。この異様な状況に、頭の中で疑問符が踊っている。その宝石はただの封印結界ではないのは分かるが。
宝石の中には、まるで鏡のように俺の姿が映っていた。その姿はただの自分の姿ではなく、どこか違和感がある。髪型や服装は確かに俺と同じだが、目の色や雰囲気には見覚えのないものが混じっていた。
「誰だ、これは」
呟く声は、どこか震えを帯びていた。この謎の存在が何者なのか、俺には全く理解できない。その姿は俺の心の奥底に眠る何かを呼び覚ますような気がして、一瞬、不安が心をよぎる。
そして、その姿は俺に向かって静かに語りかけ始めた。
「ーありうべからざる今を見ろ」
その声は低く、どこか冷たい響きを帯びていた。まるで俺の心の奥底に響くかのように、その言葉は深く突き刺さった。その瞬間、俺は自分の心の奥底にある何かが動き出すのを感じた。それは何かを知るための鍵のようなものだった。
「俺?」
その疑問と共に、目の前に映った光景。
それは、俺の知らない俺の戦い。
鏡の向こうで見えた光景は、俺にとっては信じられない光景だった。
これまで家臣となった彼らと争う光景。
その光景を、ただ宝石は映している。
血が滴り落ちる剣先、荒々しい息遣い、そして絶望に満ちた彼らの表情。
まるで悪夢のような光景が目の前に広がっている。
俺がその手で彼らを攻撃している。それも一方的な攻撃だ。その場面の一つ一つが心に突き刺さる。何故、こんな状況が起こっているのか、その理由も見えない。
「・・・なるほど」
それらを見て、俺は頭を抱える。
この光景に込められた意図とは何か。それを理解するにはまだ時間がかかりそうだった。
「本当に胸糞悪いのを見せるな」
ぼそりと呟く。
その声が宝石の中に響く。しかし、その音さえも虚しく消えていくだけだった。
この鏡の向こうには、俺が知りたくない真実が映し出されている。その真実がどれほど重く、のしかかる。
「胸糞悪いとは人聞きが悪いな、俺」
「・・・」
そんな俺に返答するように現れたのは、鏡の向こう側にいた俺だ。
次回の王は
-
妖怪王
-
機械王
-
怪獣王
-
幻想王