サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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助けない理由はない

英雄派との戦いはあっさりと終わった。

 

彼らは数こそ多かったが、訓練された戦士ではなく、ただの烏合の衆だったようだ。

 

「ふぅ……こんな連中でも、人数が多いと面倒だな」

 

俺はジクウドライバーを外し、変身を解除する。

 

「けれど、どうしますか?誰、一人、情報は吐かなかったけど」

 

そうしながら、オカルンも現状の解決策が未だに無くて、頭を悩ませていた。

 

「お前は知っているのか?」

 

その言葉を聞いていた男に目を向けた。

 

すると彼はにやりと笑いながら答えた。

 

「ああ。知っているぜ。なんなら案内してやってもいいぜ」

 

「どういうことだ?」

 

俺は警戒心を強めながら尋ねる。

 

男は肩をすくめて言う。

 

「別にいいだろ?どうせお前らだけじゃ見つけられないだろうしな」

 

「・・・理由を教えてくれませんか?どうして協力してくれるんですか?」

 

オカルンが質問すると、男は少し考えた後に答えた。

 

「それは……まぁ色々あるが、簡単に言えば、願いを叶えてやりたいと思っただけさ」

 

「叶えてやりたい?」

 

その男の疑問に対して、俺達は首を傾げる。

 

「神社に一人の女の子が来たんだ。母上を助けたい。そんな切なる願いを聞いた」

 

「それだけで、ここまで動いたのか?」

 

「俺も、かつては母さんを助ける為に動いた。だからこそ、あの子の願いを叶えたいと想ったんだ」

 

男の話を聞いていた俺は不思議な気持ちになる。

 

なぜ、この男はここまで協力的なのだろうか。

 

普通なら自分の利益のために動くものだが。

 

それとも何か裏があるのか。

 

俺たちの様子を見ていた男は苦笑しながら言った。

 

「安心しろよ。俺にはお前たちを罠にはめるつもりはないさ」

 

「んじゃぁ、行こうか」

 

「太郎!」

 

俺の言葉に、キンジは思わず叫ぶ。

 

罠の可能性が十分にある。

 

それは理解出来ている。

 

けれど、それ以上に。

 

「俺はなんだか、この男の言葉を信じられる」

 

「・・・理由は」

 

それに対する答えは決まっている。

 

「王の勘だ」

 

「王の勘だと……?」

 

キンジの驚きの声と共に、周囲に緊張が走る。

 

「おいおい、何だそれ?」

 

男は苦笑いを浮かべながら言った。

 

「別に深く考えるなよ。直感ってやつだ」

 

俺は肩をすくめて答えた。そんな曖昧な答えに、オカルンは眼鏡を直しながら疑わしげな表情を浮かべている。

 

「ですが太郎さん……そんな勘だけで決めるなんて危険では?」

 

「まあな。でも俺にはわかるんだよ」

 

俺は真剣な表情で続ける。

 

「この男からは邪悪な気配を感じない。それに……」

 

「それに?」

 

茅森が興味津々といった様子で尋ねてくる。

 

「彼の目を見ればわかるだろ?母親を救いたいという少女の願いを本当に叶えたいと思っている目だ」

 

俺の言葉に皆が黙り込む。しばらくしてから、キンジが深いため息をついた。

 

「……ったく、お前らしいな。直感だけを信じるなんて」

 

「まぁね、それに助けない理由なんて、それこそないからね」

 

「自分も、それに異論はありません」

 

オカルンも同意し、茅森も頷いた。

 

「じゃあ決まりだな!」

 

俺は笑顔で男に向かって言った。

 

「よろしく頼むぜ、狐さん」

 

男はにやりと笑いながら答えた。

 

「あぁ、勿論、礼は用意してあるぜ」

 

それと共に、男はそのまま歩き出した。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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