サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「はぁ、さすがにこの前のは疲れたな」
「本当にね」
俺の溜息に返事をするのは、砂浜に座って夕陽を眺める絶花だ。俺たちは今、戦いを終えたばかりの海辺にいた。波の音だけが静かに響いている。
「ジオウか……結局、俺の正体はバレずに済んだみたいだな」
「そうだね。世界中があなたを『仮面ライダージオウ』って呼んでるけど」
絶花は微笑みながら答える。彼女の言葉に、俺は手にした煎餅を一口かじった。
「結局、英雄扱いされたのはジオウだけか」
「でも太郎くんがそう望んだんでしょう?」
「まあね。正体を隠した方が色々都合がいいしな」
夕陽が沈むにつれて、空が燃えるような赤に染まっていく。その光景を見つめながら、俺は静かに考える。
「王ってなんだと思う?」
唐突な質問に絶花は少し驚いたようだったが、すぐに真剣な表情になる。
「……人に希望を与える存在じゃないかな」
「希望か。それなら俺は失格だな」
俺は苦笑しながら言った。
「俺は自分勝手な王だからな。自分のやりたいようにやって、みんなを振り回してる」
「それでも太郎くんはちゃんとみんなを守ったよ」
絶花の言葉に、俺は少しだけ心が温かくなった。
「守るために戦った。それが王の役目なら……そうなのかもな」
「これからどうするの? 禍の団を倒した後の未来は?」
絶花の問いに、俺は遠くを見る。
「さぁな、けど、お前が普通の友達を作る。それがある意味、基準だからな」
「・・・相変わらず、その基準はおかしいわよ。けどね、もし私が友達を作る事が出来たら」
絶花の視線は夕焼けから俺の方へ向く。彼女の目は優しくもあり、どこか挑戦的でもあった。
「その時こそ太郎くんは、本当の意味で『王』になれると思うよ」
「本当の王?」
「自分を犠牲にして他人のために尽くす……そんな英雄じゃない。自分も大切にしながら周りを大切にできる……そういう人こそが理想の王様だと思う」
絶花の言葉に、俺はしばし黙り込んだ。確かに俺は今まで自分勝手な王だったかもしれない。だけど……。
「なるほどね。つまり絶花が友達を作ったら、俺も変わるべきってわけか」
「そうじゃない。太郎くんが変わりたいと思った時が変わる時。私はただ……太郎の王道を信じてるだけ」
絶花の言葉に俺は苦笑した。
「そりゃ頼もしいな。まぁ、とりあえず今は……」
俺は残りの煎餅を口に放り込んだ。ザクザクという音が夕暮れの浜辺に響く。
「何か、食べるか?絶花は、こっちに来てから、家臣で皆と一緒に食っていなかったよな」
「あぁ、そうだね。そしたら、久し振りに」
そう、雑談をしながら呟く。
未だに、王というにはまだまだ、時間はかかるかもしれない。
けれど。
「こういう時が、王への道かもしれないな」
こんな時間を共有出来る王が、俺が目指す王かもしれない。
今回の話をもって、仮面ライダージオウ編、完結です!
今作におけるサムライガールの幼馴染みは王様を目指すは、当初のドンブラザーズ編にて終了し、新たな作品を書こうと思っていましたが、私自身の我が儘という事もあり、同じ王であるジオウをコンセプトに書いてみたいという欲望で書かせて貰いました。
それにより、無事にこの最終回まで辿り着く事が出来ました。
これも、ここまで応援してくれた皆様のおかげです。
そして、明日の7月1日より、新たなるFate編が開始します。
当初は、ウルトラマンオメガの放送に合わせて、ウルトラマン編も考えていましたが、今年でFGOが10周年という事もあり、その記念に書きたいという欲望で、Fate編に変更させて貰いました。
現在、募集しているFateのサーヴァントを見ながら、個人的にも入れてみたいサーヴァントの入れ替えなどを含めた調整を、現在行っています。
どのようなメンバーが現れるかなど、次回からのお楽しみに!
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王