サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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今回から、新たな章、Fate編が開始となりました。
FGOが今年で10周年と言う事で、やはり魅力的なサーヴァントが多くいました。
最終決定と共に、私個人で入れてみたいサーヴァントの入れ替えを含めて、書かせて貰いました。
ここまで沢山の応募、ありがとうございます。
そして、これから、この面々がどこでどのような活躍をするのか。
気長に楽しみしてくれると、幸いです。

各々の選考理由を書かせて貰います
セイバー:アルトリア
Fateの顔であり、様々なアルトリアのクラスが変更出来るので、シリアスにもギャグにも対応する事が出来る人物。また、ハイスクールD✕Dとも大きな関連があります。
クラスチェンジによって、謎のヒロインXなども出来るので。
ランサー:カルナ
ランサー枠で最強であるのと同時に、ギャグ、シリアスの両方共に活躍が見込める為に変更しました。
アーチャー:エミヤ
様々な場面で活躍出来る人物であります。また、彼自身がどのルートかは、いずれ。
キャスター:ギルガメッシュ
ある意味、性格面で最も太郎に似ており、王としての理想像の一つとして考えている。本人は、別の世界に対して、興味があるのと同時に太郎が見せる王道に興味がある様子。
ライダー:ライネス
作者によって、変更したキャラ。FGOの中での師匠キャラの1人であり、ある意味、戦略の師として、登場させようと思っています。
アサシン:酒呑童子
召喚と同時に、太郎が殺す可能性のある最も高い人物。本人は気に入っているが、うっかりと殺してしまいそうな時がある。また、本作のクラスチェンジの影響もあってか、伊吹童子と入れ替わる事が多くある。
バーサーカー:坂田金時
太郎とは、少し歳の離れた気の合う友人という関係であり、心強い人物。
ルーラー:卑弥呼
未来予知などを行う事が出来るが、基本的に物理で解決する。日本の現状を見ながらも、これからの日本がどのように進むのか、見守るつもりでいる。
アヴェンジャー:ジャンヌ・オルタ
ある戦いで離れ、そして、再会した。相変わらずのツンデレぶりではあるが、太郎の幼馴染みである絶花も現れた為、どうするべきか悩んでいる。
アルターエゴ:徐福
悪友のような関係と共に、ある意味、別の意味で切札となる人物にしようと考えています。
ムーンキャスター:岸波白野
マスターという意味では最強の先輩。また、男女ともにいける口という事もあってか、絶花の事も気に入っている。
フォーリナー:青崎青子
ハイスクールD✕Dの中での時間関係など、魔術師とは違う魔法使いとしての目線で話す人物として、選ばせて貰いました。
プリテンダー:テュフォン・エフェメロス
先日のイベントの影響です。本当に申し訳ございません。
ビースト:ティアマト


英霊が集いし王
夢だけど、夢じゃなかった


始まりは、本当に突然だった。

 

眼を覚ますと、見覚えのない施設。

 

その施設、人理継続保障機関フィニス・カルデアにて、俺は廊下で眼を覚ました。

 

まるで記憶のない出来事で困惑しながら、俺は右も左も分からないまま呆然とカルデアを歩く俺の前に、一匹の白い動物が飛び出してくる。

 

それを追ってきた儚げな眼鏡の少女———マシュ・キリエライトと縁を結び、彼女から「先輩」と呼ばれ親しまれることになった。また、カルデアのスタッフであるダ・ヴィンチちゃんやDr.ロマンとも仲良くなる。

 

だが、次の瞬間───運命は動き出す。

 

爆発事故と称された悲劇の中で、マスター候補の大半が犠牲となる。生き残ったのは俺とマシュを含め僅かな人間だけ。だが、この事件は人為的に引き起こされたテロ行為だったのだ。

 

犯人探しよりも世界の危機を救うことを優先せざるを得なくなった俺は、マシュと共に7つの特異点を旅することを決意する。

 

マシュが所持していた特殊な盾———シールダーを用いて様々な英霊たちを召喚し、彼らと共に過去の時代へと飛ぶ。

 

様々な特異点にもそれぞれ譲れない信念があり、戦った。

 

様々な戦いを通して、特異点での戦い。

 

様々な脅威に立ち向かいながら、歴史を越えた王達と出会った。

 

彼ら、彼女らと出会う事で、俺は王への理解が深まっていった。

 

人を惹きつけるカリスマとは何か。

 

王道とは何か。

 

王の威光とは何か。

 

様々な王達と出会い、そして敵対した。だが、彼ら彼女らは確かに王であった。

 

最後の最後で人類が存続の危機に陥りながらも俺はマシュや仲間たちと共に人類史を守ることに成功し、人理は修復された。

 

だが、それが俺の最後ではなかった。

 

異星の神。彼らは地球を見限り異聞帯による淘汰を決めた。俺とマシュは彼らに抵抗した。

 

様々な異聞帯に赴き、その地のクリプターと呼ばれる者達と戦う。その異聞帯もまた、一つの世界として完成されていた。故に俺達は苦悩し続けた。だが、それでも人類を救う為に俺達は戦った。

 

異聞帯を駆け抜けた俺は神を騙る者を倒し、異星の神との戦いに勝利した

 

これにて物語は完結。

 

世界は救われた。めでたしめでたし。

 

俺はそう結論づけて眠りに落ちた。

 

ああ……これで終わったのか……。そう思いながら。

 

眼が覚めると、いつも通りの朝。

 

太陽の日差しが眩しく感じる中で目を開ける。

 

「ふぁぁ〜」

 

欠伸をしながら起き上がる。まだ眠いが起きなければいけない時間だ。

 

リビングへ行くとそこには幼馴染の絶花がいる。

 

「おはよう絶花」

 

俺はいつものように挨拶をする。すると彼女は笑顔で返してくれる。

 

「おはよう太郎。今日も元気ね」

 

そんな感じで一日が始まる。

 

絶花は俺の幼馴染で同級生だ。彼女とは幼稚園からの付き合いでずっと一緒だった。

 

「さてと……それじゃあ朝ごはんを作ってくるわね」

 

そう言って台所に向かう絶花を見送りながらテーブルにつく俺。

 

そして椅子に座ったところでようやく気がついた。

 

何かがおかしいのだ。

 

「え?」

 

思わず声が出るほど違和感があった。

 

まるで昨日までの出来事が全て夢だったかのような感覚に襲われる。

 

「どうしたの太郎?」

 

心配そうな顔をしてこちらを見る絶花。その顔を見た瞬間ハッとする。

 

そうだ……ここは現実だ。

 

今まで見てきたものは全て夢だったのだ。

 

そう理解した途端に急に恥ずかしくなった。

 

何を慌てていたんだろうと反省する。

 

だが同時に安堵した。

 

やはりあれは夢だったんだと。

 

そして安心すると同時に空腹を感じ始める。

 

よし……それならさっさと朝食を食べて学校に行こうと思い立ち上がろうとした時だった。

 

ふと背中に何かがくっついていることに気づく。

 

「ん?」

 

なんだろうと思って触ってみると柔らかい感触があった。

 

これは……なんだろう? そう思いながら首を後ろに向けるとそこにはドラコーがいた。

 

「…………」

 

一瞬固まった後、すぐに理解する。

 

ああ……これも夢だ。

 

そう結論付けた途端に全てが納得できた。

 

やはりこの状況はおかしいと最初からわかっていたはずなのに何故気づかなかったのか不思議なくらいだ。

 

しかし同時に疑問も湧いてくる。それは何故かということだ。

 

何故俺はこのような夢を見ているのか?

 

答えは簡単だった。

 

俺がまだ現実を受け入れられていないということだろう。

 

だからこんな変な夢を見ているのだ。

 

そう思うことにした俺はため息をつくとドラコーを起こすことにした。

 

まずは優しく揺すってみる。

 

しかし反応はない。

 

仕方ないので今度は少し強めに揺らしてみる。

 

それでも起きないので最終手段に出ることにした。

 

それは───頭突きである!

 

「痛っ!!」

 

頭突きされたことでようやく目が覚めたのかドラコーが飛び起きる。

 

「なんだ!?一体何が起こったのだ!!」

 

辺りを見回しながら混乱している様子のドラコーに事情を説明しようとするが上手く言葉が出てこない。

 

そもそもどう説明すればいいのかわからないのだ。

 

そんな時だった。キッチンから声が聞こえてきたのは。

 

「太郎~ご飯できたわよ~」

 

その声を聞いてホッとしたような表情を浮かべるドラコー。だがすぐに真顔になると俺の方を見る。

 

「おい騎手!これはどういうことだ!説明しろ!」

 

怒鳴りつけてくるドラコーに対して何も言い返せない俺。

 

そんな俺を見てドラコーはさらに怒り出す。

 

「答えられないとはどういうことだ!?まさか忘れたのか!?」

 

問い詰めてくるドラコーに何も言えない俺だったがそこでようやく思い出したことがある。それは自分が先ほどまで見ていた夢のことである。

 

そうだ……確かに俺は夢を見ていたはずだ。それもかなりリアルな夢を。

 

だがそれを伝えることはできないため黙っているしかない。

 

すると今度はドラコーの方から話しかけてきた。

 

「まさかとは思うが……記憶喪失とか言うんじゃないだろうな?」

 

その問いかけに小さく首を横に振る。

 

それを見てため息をつくドラコー。

 

「はぁ……ならば何があったのか説明してもらおうか?」

 

そう言われて困った俺はとりあえず絶花を呼ぶことにする。

 

「ちょっと待っててくれないか?今から人を呼んでくるからさ」

 

そう言って立ち上がるとそのままキッチンへと向かう。

 

「おーい!絶花!ちょっと来てくれ!」

 

大声で叫ぶとすぐに返事が返ってきた。

 

「はーい!」

 

元気よく返事をしながらこちらに向かってくる絶花を見て思わず苦笑してしまう俺。

 

やがて彼女がリビングに入ってきたところで事情を説明することにした。

 

まず初めに夢の話をすることにしたのだがそこで問題が発生した。

 

それは俺自身がこの状況をどう説明すればいいのかわからないということだ。

 

正直に言えば信じてもらえるかどうか怪しいところである。

 

そこで俺は考えた末にあることを思いついた。

 

それは絶花に協力してもらうことだ。

 

幸いにも彼女は俺の幼馴染であり理解者でもある。

 

きっと俺の力になってくれるだろうと思い話すことにした。

 

そして話した内容というのが以下の通りである。

 

「実は俺……さっきまで不思議な夢を見てたんだよね」

 

そう切り出した俺に対して絶花は驚いた顔をした後で心配そうな表情になる。

 

「夢?どんな夢を見たの?」

 

心配そうに聞いてくる絶花に対して俺は夢の内容を話し始めた。

 

まず始めに人理焼却という出来事について説明する。

 

「えっとね……簡単に言うと世界が滅びそうになるっていう話なんだけど」

 

そう前置きをした後で夢の中での出来事を語る。

 

カルデアという施設に集められたマスター候補生達が世界を救うために奔走する話。

 

そしてその過程で様々な英霊達と出会い絆を深めていく話。

 

最後は人類史をかけた大戦争に勝利する話。

 

それを全て話し終えると絶花は呆然とした様子で聞いていた。

 

「いや、そんな事、あり得るの」

 

「このドラコーが、その証拠」

 

そうして、俺は隣でもぐもぐと飯を食べているドラコーを見ながら答えると絶花は驚くようにドラコーを見ながら叫ぶ。

 

「いや!それはないでしょ!」

 

と。

 

まぁ確かにその通りなのだが……。だが事実なのだから仕方がない。

 

「太郎!いきなり何を言っているの!」

 

そう言って怒る絶花だが、その顔はどこか楽しそうに見える。

 

そんな彼女に笑いかけると俺は再び食事を再開した。

 

ドラコーの存在を見て、俺は思わず呟く。

 

「夢だけど、夢じゃなかった」

 

その言葉を聞いた絶花は目を丸くして驚いている様子だったがすぐに笑顔に戻るとこう言った。

 

「そうね……確かに太郎の言う通りだわ。夢なのに夢じゃないなんて変な話よね」

 

そう言って微笑む絶花の姿はとても美しく見えた。

 

だがしかし、今はそれどころではない。

 

何故なら目の前にいるドラコーの存在をどうにかしなければならないからだ。

 

どうしたものかと考えているとドラコーが口を開いた。

 

「おい騎手!いつまでボーッとしているつもりだ!」

 

怒鳴りつけてくるドラコーに対してもう一度謝罪する俺。

 

「ごめん!今から考えるから待っててくれ!」

 

そう言って必死に考えるものの良いアイディアは浮かんでこない。

 

そんな俺を見て呆れた様子のドラコーだが次の瞬間には別の人物に興味を持ったようだ。

 

その人物とはもちろん絶花のことである。

 

「ほぅ……こやつがお前の幼馴染とやらか」

 

興味津々といった様子で絶花を見るドラコーに対して彼女も警戒している様子だった。

 

無理もない。いきなり現れた謎の存在に興味を持たれたら誰だってそうなるだろう。

 

「太郎!この人は誰なの?」

 

小声で話しかけてくる絶花に俺は小声で答える。

 

「んっ、そうだなぁ、なんて説明したら良いのか」

 

そうして、俺は腕を組む。

 

改めて、考えて見ると、ドラコーって、どう説明したら良いんだろうか。

 

簡潔で、分かりやすく言うと。

 

「俺と戦った敵の1人で、世界を破壊しようとした黒幕とは別に動いていた奴。それで、人類の敵だったけど、色々とあって、頼もしい仲間になったドラコーだよ!」

 

「色々と突っ込みたい事は山々あるけど、取り敢えず、分かったわ。取り敢えずね」

 

俺の説明に納得したのかしていないのか分からないが取り敢えず受け入れてくれたようだ。

 

「それにしても太郎……あんたがこんな事になるなんて思わなかったわ」

 

しみじみと言っている絶花だがその顔には喜びの色が見える。

 

そんな彼女を見て俺も嬉しくなるのだがそれと同時に申し訳ない気持ちにもなる。

 

何故ならこれから先の出来事について全く覚えていないからだ。

 

だからこそ早く思い出さなければならないのだが……。

 

そんなことを考えているうちに絶花が声をかけてきた。

 

「太郎……大丈夫?」

 

心配そうな顔をしてこちらを見ている彼女に安心させるように微笑む。

 

「ああ!全然問題ないぞ!」

 

そう答えるものの内心では焦っていたりする。

 

何せ自分の身に起きた出来事を忘れていてさらにその原因もわからないのだから当然だろう。

 

それでも今は気にしないことにした。

 

「そう……それなら良かったわ」

 

安堵の表情を浮かべる絶花を見ているとなぜかこちらまで幸せな気分になってくるから不思議なものだ。

 

そう思っていると絶花が立ち上がり食器を片付け始めたのでそれに続くように立ち上がる。

 

「ありがとうな絶花。おかげで助かったよ」

 

感謝の言葉を述べると彼女は照れたように笑う。

 

「別にお礼なんていらないわよ。だって私はあなたの幼馴染なんだから当然でしょう?」

 

そう言って笑う彼女の笑顔はとても眩しく見えた。

 

その笑顔を見た俺は自然と笑みを浮かべる。

 

「そうだな……」

 

こうして俺達はいつものように朝食を食べ終えると学校へと向かった。

 

「・・・余を放って、話を進めるではない、騎手に、騎手の幼馴染みよ」

 

ドラコーの声で、俺と絶花は我に返った。そうだ、まだ説明の途中だった。

 

「ああ、ごめんごめん。それで、ドラコー。さっき言ってた『何か』って何だ?」

 

俺が尋ねると、ドラコーは少し考え込むような仕草を見せた後、俺の胸元を指差した。

 

「騎手よ。貴様の体内に眠る力だ。余はそれを感じ取ったのだ」

 

「俺の……体内に?」

 

「そう。貴様が夢と呼んだ世界で培ったもの……いや、むしろ貴様自身が夢の中から持ち帰ったものであろう」

 

ドラコーの言葉に、俺は思わず自分の胸に手を当てた。確かに、夢の中で感じた感覚……カルデアでの日々の記憶が、妙に生々しく脳裏に焼き付いている。

 

「太郎の体内に眠る力……?」

 

絶花も興味深そうに俺を見る。

 

「ああ……俺にもよく分からないけど」

 

俺が答えると、ドラコーはニヤリと笑った。

 

「ならば見せてやろう」

 

そう言うと、ドラコーは突然俺の胸に手を当てた。瞬間、俺の体に不思議な感覚が走る。

 

「なっ……なんだ!?」

 

驚く俺の目の前で、ドラコーの手が俺の胸に沈み込んでいくように見えた。

 

「大丈夫だ。痛みはない」

 

ドラコーがそう言うと同時に、俺の胸から淡い光が漏れ始めた。そしてその光が形を変え、小さな何かが浮かび上がってくる。

 

「こ、これは……!」

 

光の中から現れたのは、美しい装飾が施された小さなチェスの駒だった。王冠を被ったナイトの駒。

 

「これが……俺の体の中の力?」

 

俺が呟くと、ドラコーは頷いた。

 

「左様。これこそが貴様の新たなる力……いや、宿命であろう。名を『英霊の駒』という」

 

「英霊の……駒?」

 

「そう。かつて貴様が夢の中で従えた英霊たちの力を具現化したものだ」

 

ドラコーはそう言って、俺の手の中にあるナイトの駒を指差した。

 

「この駒は貴様自身……即ち『王の駒』だ」

 

「俺が……王?」

 

「左様。そして」

 

ドラコーがそう言うと、俺の周りの空気がざわめいた。そして、新たな光が現れ、次々とチェスの駒が出現していく。それぞれが異なる形をしている。

 

「この駒は余が役割として与えられた『聖杯』」

 

一つの特別な形をした駒を手に取りながらドラコーが言う。

 

「そしてこれらが……残りの15個の駒だ」

 

そうして、並べられた駒。

 

見てみると、そこには。

 

「これって、セイバー?こっちはランサーにアーチャーって、もしかして」

 

「あぁ、その通りだ。太郎よ。貴様はこれらサーヴァントを召喚する事が出来る」

 

ドラコーは満足げに頷いた。

 

「余を呼び出せたのも、この駒のおかげだ。まぁ余は特別で聖杯だがな」

 

そうして、説明をするドラコーを横目に絶花は感心した様子で駒を見つめていた。

 

「凄い……これが太郎の力なのね」

 

その瞳には羨望の色が浮かんでいる。

 

「ねぇ太郎!誰を呼び出すの?」

 

絶花は興奮気味に俺に尋ねてきた。

 

「え?いや……まだよく分からないけど」

 

「試しに呼び出してみなさいよ!きっと会いたがっている人、多くない!」

 

「ねぇ太郎!誰を呼び出すの?」

 

絶花のキラキラした瞳を見て、俺とドラコーは思わず顔を見合わせた。

 

「……」

 

「……」

 

二人で黙って目を合わせる。

 

「騎手……これはヤバいぞ……」

 

「ああ……ドラコー……」

 

カルデアの面々を思い出す。確かに様々な英雄豪傑がいた。

 

しかし彼らの中には、善人ばかりではなかった。

 

「ドラコー……この世界に彼らを呼んでいいと思うか?」

 

「ふむ……確かに善き者も悪しき者もいる……そして中には召喚した瞬間に暴走する者も……」

 

「マジかよ!?」

 

「清姫もそうだが、モルガンなんて呼んだら最後だぞ」

 

「あー……モルガンさん、呼んだら、こっちの世界、侵略されるぞ……」

 

「あり得そうだなぁ」

 

そうして、俺達が話していると。

 

「えっと、太郎?ドラコーちゃん?なんで、そんなに深刻な顔しているの?」

 

絶花が首を傾げて尋ねてくる。

 

「いやぁ……あの……その……」

 

上手く言葉が出てこない。

 

「ふむ……騎手の幼馴染よ。実はな……」

 

ドラコーが意を決したように口を開いた。

 

「余や騎手がいた世界には様々な英雄がいたのだ。しかし中には……その……非常に厄介な者もいてな……」

 

「厄介な人?」

 

「うむ。例えばだ……騎手が呼び出すサーヴァントの中には、極度のストーカー気質の者や、異常なほど支配欲の強い者もいるのだ」

 

「ストーカー!?支配欲!?」

 

絶花の顔色が変わる。

 

「え?そんな人を呼んじゃうの?太郎?」

 

不安そうな顔で俺を見る絶花。

 

「うぅん、悪い人ではないかもしれないけど、呼び出したらなぁ」

 

そうして、俺が腕を組む。

 

「けど、やっぱり最初に呼びたいサーヴァントは決まっている」

 

俺はそう言って、絶花とドラコーを見た。

 

「・・・まぁ、騎手ならば、彼女だろうな」

 

ドラコーが意味深に頷く。彼女が誰なのか分かっているらしい。

 

「彼女?」

 

絶花が首を傾げる。

 

「ああ……そうだな」

 

俺は心の中で呼びかけるサーヴァントを決めていた。

 

グランドオーダーを共に歩んだ、最初の相棒。

 

困難を共に乗り越え、最後まで支え合った少女。

 

「最初に呼びたいのは……」

 

俺は静かに盾兵の駒を手に取った。

 

「最初に呼びたいのは……」

 

俺は静かに盾兵の駒を手に取った。

 

それは他の駒と違って特別な輝きを放っているように見えた。

 

「決まっているからな」

 

すると、ドラコーは驚きながらも。

 

「そうだな、確かに、最初のサーヴァントという意味ではあやつが一番だな。まぁ余がなぜか最初になっていたがな」

 

ドラコーはなぜか誇らしげにしている。

 

そんなドラコーを放っておいて。

 

「よし……それじゃあいくぞ」

 

俺は目を閉じて精神を集中させた。

 

手の中の駒が熱を帯び始める。

 

「騎手の幼馴染よ、少し下がっておれ」

 

ドラコーの警告に絶花が慌てて距離を取る。

 

「英霊召喚詠唱……開始!」

 

俺が宣言すると同時に、盾兵の駒が宙に浮かび上がった。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

 

祖には我が大師シュバインオーグ。

 

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出でて、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

詠唱と共に床に複雑な魔法陣が浮かび上がる。まるでゲームの召喚シーンのような光景だ。

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

 

繰り返すつどに五度。

 

ただ、満たされる刻を破却する」

 

俺の声が家中に響き渡る。絶花は目を丸くしてその光景を見つめている。

 

「おい太郎……本当に召喚してるの!?」

 

「―――――Anfang」

 

俺が最後の呪文を唱えると同時に、盾兵の駒が閃光を放ちながら回転し始めた。

 

光の粒子が渦を巻き、一点に収束していく。

 

「――――――告げる。

 

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

光が一際強く輝き、人の形を模っていく。まるで三次元プリンターで造形しているかのようだ。

 

「誓いを此処に。

 

我は常世総ての善と成る者、

 

我は常世総ての悪を敷く者」

 

光が徐々に収束し、その姿がはっきりと現れ始めた。

 

白と黒の衣装に身を包んだ少女。

 

大きな盾を抱え、凛とした表情で立っている。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

 

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」

 

最後の詠唱と共に、光が弾け飛んだ。

 

そこに立っていたのは――

 

「マシュ……!」

 

思わず声が出た。

 

マシュ・キリエライト。俺の最初の相棒。共に多くを駆け抜けたパートナー。

 

彼女はゆっくりと目を開き、俺をまっすぐ見つめた。

 

そして――

 

「問います。貴方が私のマスターですか」

 

あの言葉を口にした。

 

グランドオーダーの最初の時と同じように。

 

「ああ……そうだよマシュ。俺がお前のマスターだ」

 

涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。

 

夢じゃない。本当にマシュがここにいる。

 

「太郎……本当にあの子が……?」

 

絶花が驚きと感動が入り混じった表情で呟く。

 

「ああ……そうだよ。俺の大事な相棒だ」

 

ドラコーが満足げに頷いている。

 

「ふむ……やはり最初は盾兵からか。良い選択だ騎手よ」

 

マシュは状況を理解したように小さく頷き、俺の方へ歩み寄ってきた。

 

「マスター……いえ、先輩。ご無事で何よりです」

 

その一言に胸が熱くなる。

 

「ありがとうマシュ……君にまた会えて本当に嬉しいよ」

 

こうして俺の物語は始まった。

 

最初に選んだのは盾兵の駒。

 

そしてそれは間違いなく最良の選択だった。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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