サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
次の日の朝。
俺は特に気にすることもなく駒王学園に登校した。
だが、その思考は、学業ではなく、別の方向に。
(先日出会った堕天使。あの堕天使は、特異点でも異聞帯でもなかった。つまり、この世界独自のものか?)
(そもそもこの世界は俺の知っている世界とは違う。だが、英霊は存在する。ジャンヌ・オルタも召喚できた。それに俺の『王国の駒』の能力も健在だ。つまり、この世界にも魔術的な要素があるということだ)
(だとすれば、この世界の魔術体系はどうなっているんだ? 魔術協会や聖堂教会は存在するのか? それとも別の組織が支配しているのか?)
(もし存在するなら、連中が俺のような『王国の駒』能力者を放置しておくはずがない。先日の堕天使はその尖兵だったと見るべきか)
(それに、あの堕天使の目的は俺の殺害だった。俺が持つ『王国の駒』の能力が脅威とみなされたからか? いや、それだけじゃない。奴は「貴様のような人間が持つべきではない力」だと断言した。つまり、俺の能力が何らかの形で知られている可能性が高い)
(だとすれば、俺の情報はどこまで漏れているんだ? サーヴァント達がいる限り、簡単にはやられない自信はあるが……)
(この世界の情報を集める必要があるな。まずはこの街の様子をよく観察して……)
などと、授業中も休み時間もぶつぶつ呟きながら思考に没頭していたので、周囲の生徒たちからはちょっと危ない奴だと思われていたかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
「あ、あの……」
ふと気がつくと、誰かが俺に話しかけていた。
だが。俺はまだ考え込んでいた。
(この世界の魔術師はどんな術式を使うんだ? 俺の世界の魔術と互換性はあるのか? それとも全く異なる体系なのか? 例えば、エーテルを用いた攻撃魔術とか……いや、先日の堕天使は光の槍だったな。聖なる武器……ということは、この世界の神話体系も絡んでくるのか? だとしたら、聖書の神は存在するのか? それとも……)
だが、俺の思考は止まらない。
(待てよ? 仮に聖書の神が存在するとしたら、俺の持つ『王国の駒』の力はどう解釈される? 俺の世界の神とはまた別の存在かもしれないし……いや、そもそも神なんて実在するのか? オルレアンのジャンヌが英霊として存在する世界なら……)
「えぇ、まさかの無視!?」
俺は、そのまま何事もなかったように校門を出て行ってしまった。
誰かが俺に話しかけていたような気がするが、今はそれどころではない。
この世界の謎を解き明かす方が先決だ。
そうして、街に出ると。
「マスターちゃん」
「うわっと」
俺が考えていると、背中に衝撃が走る。
「アヴェンジャーか」
「アヴェンジャーか。じゃないわよ。考え込みすぎよ」
振り返るとジャンヌ・オルタが立っていた。
「……ジャンヌ・オルタ。なんでここに?」
「マスターちゃんの護衛よ。昨日の今日でしょ?」
「ああ、そうか」
昨日の堕天使の件は、確かに警戒するべきだろう。
「それで、何を考えてたの?」
「この世界の事だよ」
「この世界の事?」
「ああ。この世界の魔術体系とか、俺の能力についてとかな」
「ふーん。まあ、マスターちゃんが考えることだから、面白いことになるでしょうね」
ジャンヌ・オルタはそう言うと、ニヤリと笑った。
「まあいいわ。とりあえず、マスターちゃんの考えていることは大体分かったわ。それで、どうするの? 何か手掛かりはあるのかしら?」
「いや、まだ何も分かっていない」
「でしょうね、だったら、少し帰る前に散歩してみない」
「散歩?」
「そう、私達も暇だったから、少し調べてみると、この街って結構行方不明者とオカルトスポットが意外と多いのよ」
「なるほど」
俺はジャンヌ・オルタの提案に乗ることにした。
「この前の堕天使の1件もあるしね、こういう問題を解決するのも、王の役目じゃないかしら」
「・・・それもそうだな」
それと共に、俺はジャンヌ・オルタと共に歩き出す。
そのせいか、オカルトスポットが多く存在するという話は聞いたことがある。
もしかしたら、この世界の謎を解き明かす手がかりがあるかもしれない。
「よし、じゃあ行くか」
俺とジャンヌ・オルタは、夕暮れの街を歩き始めた。
次回の王は
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