サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「馬鹿を言わないで!死んだのよ?もう戻れる訳がない!」
ジャンヌ・オルタの声が裏返った。珍しく取り乱している。まあ無理もない。目の前で人が死んだと思った直後に「まだ話せる」なんて言われたら誰だってパニックになる。
だがリアス・グレモリーの微笑みは揺るがなかった。
「いいえ、私たち悪魔には“それ”ができるのよ」
彼女は懐から何かを取り出した。
それは、俺の持つ英霊の駒とは色が異なるチェスの駒。
死んでいるはずのアーシアの体が淡い光に包まれた。
「おいおいおいおい!」
思わず声が出た。あまりにも非現実的な光景だった。死体が勝手に光り出すなんて聞いたことがない。
(待て……この輝き方、どこかで見た覚えが……)
記憶の奥底を探る。そうだ。聖杯システムを介した召喚プロセスによく似ている。英霊を呼び出す際の魔力放出パターンだ。
「っ」
ジャンヌ・オルタも同じことに気づいたらしい。彼女の顔色が変わった。
『聞こえる?マスターちゃん』
突然脳内に響いたジャンヌ・オルタの声。念話だ。
『ああ、聞こえるぞ』
『あの駒……あれって『英霊の駒』と構造が同じじゃない?』
『同じかどうかはまだ分からない。だが……』
『似すぎているわね、色と駒がチェスというだけの違うだけで』
ジャンヌ・オルタの声には焦りがあった。当然だ。これはただごとではない。
そして、そのまま、駒が入れば、死んだはずのアーシアが生き返った。
それに、俺とジャンヌ・オルタも驚きを隠せなかった。
「・・・それで、あなた達は一体何者」
「・・・以前にも言ったと思うけど」
ジャンヌ・オルタが拒否しようと口を開いた瞬間、俺は彼女の前に手を伸ばし制止した。
「ちょっと待て」
リアスの目が微かに見開かれる。彼女だけでなく、周囲のグレモリー眷属全員が緊張した空気を醸し出しているのが肌で感じ取れた。
(さて……これ以上隠していても意味がない)
令呪を使った反動でまだ少し眩暈がする。だが今はそれよりも確認したいことがあった。
「ひとつ訊かせてくれ」
俺はゆっくりと、リアスの目を見据えて問いかける。
「ゲーティアという存在について……何か知っているか?」
「ゲーティア?」
リアスが怪訝そうに首を傾げる。その仕草には演技の気配が全くなかった。
(……やっぱりか)
胸の内で安堵のため息を漏らす。
「知らないならいいんだ。どうやら君たちとは違う次元の存在らしい」
俺の言葉に、リアスはますます不可解そうな表情を浮かべた。
「あなたが何を言っているのかよく分からないけれど……そのゲーティアとやらが、あなたの敵なの?」
「かつては……いや、そうとも言えるかもしれないな」
曖昧な言い方で濁しながらも、内心では確信していた。
(この世界にはグランドオーダーの痕跡がない。少なくとも表向きは)
ジャンヌ・オルタも俺の意図を理解したようで、無言で頷いた。彼女の険しい表情が僅かに和らいでいる。
(なら俺たちの役目は一旦終わりだ)
グランドオーダーで培った経験と直感が告げていた。この世界の危機は“まだ”始まっていない。いや、そもそも存在していない可能性が高い。
「では改めて聞くわ」
リアスが仕切り直すように言った。
「あなたたちは一体何者?」
その問いかけは純粋な好奇心から来るものだった。警戒心は解けていないが、敵意は薄れている。
それと共に、俺はフードを脱ぐ。
「お前は、転校生の太郎!?」
「んっ、同級生だったか?まぁ良い」
それと共に、俺は宣言する。
「俺は唯我太郎!いずれ王となる男だ」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王