サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
俺達は必死に走った。
霧のおかげで視界は見えないが、それは蠍型のロボットから逃げる助けにもなっている。
とにかく必死に走って、走って、走って―――――――
「よし、もうすぐで逃げ切れる」
そう思い始めた頃だった。
―――――ジャキンッ!! 突如として、霧の中から音が響いた。
まるで鋏のような刃物が擦れ合う音。そして――――――――――――
「っ」「ひゃぁ!?」
近くの木が斬れる。
それは、蠍型のロボットが振るった刃によって起こされた現象だった。
周囲は無人であり、蠍型のロボットからしたら、俺達を見つけ出す為に、少しでも視界を開こうとしたのだろう。
だが――
「おいおい。いきなりだな」
俺は苦笑するしかない。
木が真っ二つに切断されていく。
俺達はすぐに近くの岩陰に隠れる。
なるべく小さくうずくまるように。
「なんで、こんな事に」
絶花は、そう言う。
どんなに彼女が強くても、まだ中学生。
それが、いきなり命の危機に瀕するなんて、そう簡単に受け入れる事は出来ないだろう。
だけど、今は嘆いている時間すらない。
今はただ、生き延びることだけを考えないと。
幸いにして、俺と絶花は、敵から隠れられているが、
「…………」
絶花は、不安そうな顔をして俺を見る。
「俺には、正直に言って、どうする事も出来ない」
「・・・それは、そうだよね」
そう、俺は本音を吐露した。
抱き抱えれば、絶花の震えが伝わる。
俺自身、何の力もない。
自覚しても、やはり嫌な事だ。
「だけど、もしも出来る事があるとしたら」
俺は、絶花を見つめる。
「お前が最強だと信じる事しかできない」
「私が最強って、言ったじゃない、私は普通になりたいって」
俺に、そう本音を吐露する。
「あぁ、そうだな」
「最強になっても、友達が出来なかった。話す事が出来たのは、君だけなのに」
「だからだ」
俺はそう、絶花を抱く。
「俺は絶花の努力を知っている。友達を作りたいって事も。だからこそ」
俺は。
「絶花が最強でも、普通に生きられる世界を俺が造る」
ここで、俺が出来るのは宣言だ。
「私が普通に」
「あぁ」
だからこそ、俺は、自然と言葉を紡ぐ。
「俺が王になる。その国で、お前だけじゃない。色んな奴が入り交じった国。そこではお前の嫌な所が目立たないような場所を作る」
「私が」
「あぁ」
浅はかな言葉だ。中二病と言われても可笑しくないだろう。だけど。
「絶花、お前の最強を普通にしてみせる。だから、お前は、俺の最強の侍になってくれ」
「私が」
「あぁ」
それと同時だった。
眩い光が、俺の手から出てきたのは。
「・・・駒?」「チェスの?」
なぜ、こんなのが出てきたのか分からない。
だけど、その駒は、なぜか絶花の元に来ていた。
「・・・何が起きているのか分からない。けど」
同時に、機械の蠍型のロボットがこちらに来ていた。
「私、なるよ。君の刀に」
同時だった。
絶花の手には、何時の間に刀があった。
その刀を持つと共に、迫る蠍型のロボットの鋏をなんと斬り裂いた。
「っ」
それには、俺も蠍型のロボットも驚きを隠せなかった。
凜として、その手に持つ刀を構える。
「私は、最強の剣士で、普通の女の子、そして、太郎君の幼馴染みの宮本絶花」
それは、まさしく俺の知る最強の侍だった。
「参る」
一応、こちらで発表させて貰いますと、唯我太郎君のモデルとしては、ドンブラザーズの桃井タロウです。
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王