サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

4 / 702
王は宣言!最強の侍!

俺達は必死に走った。

 

霧のおかげで視界は見えないが、それは蠍型のロボットから逃げる助けにもなっている。

 

とにかく必死に走って、走って、走って―――――――

 

「よし、もうすぐで逃げ切れる」

 

そう思い始めた頃だった。

 

―――――ジャキンッ!! 突如として、霧の中から音が響いた。

 

まるで鋏のような刃物が擦れ合う音。そして――――――――――――

 

「っ」「ひゃぁ!?」

 

近くの木が斬れる。

 

それは、蠍型のロボットが振るった刃によって起こされた現象だった。

 

周囲は無人であり、蠍型のロボットからしたら、俺達を見つけ出す為に、少しでも視界を開こうとしたのだろう。

 

だが――

 

「おいおい。いきなりだな」

 

俺は苦笑するしかない。

 

木が真っ二つに切断されていく。

 

俺達はすぐに近くの岩陰に隠れる。

 

なるべく小さくうずくまるように。

 

「なんで、こんな事に」

 

絶花は、そう言う。

 

どんなに彼女が強くても、まだ中学生。

 

それが、いきなり命の危機に瀕するなんて、そう簡単に受け入れる事は出来ないだろう。

 

だけど、今は嘆いている時間すらない。

 

今はただ、生き延びることだけを考えないと。

 

幸いにして、俺と絶花は、敵から隠れられているが、

 

「…………」

 

絶花は、不安そうな顔をして俺を見る。

 

「俺には、正直に言って、どうする事も出来ない」

 

「・・・それは、そうだよね」

 

そう、俺は本音を吐露した。

 

抱き抱えれば、絶花の震えが伝わる。

 

俺自身、何の力もない。

 

自覚しても、やはり嫌な事だ。

 

「だけど、もしも出来る事があるとしたら」

 

俺は、絶花を見つめる。

 

「お前が最強だと信じる事しかできない」

 

「私が最強って、言ったじゃない、私は普通になりたいって」

 

俺に、そう本音を吐露する。

 

「あぁ、そうだな」

 

「最強になっても、友達が出来なかった。話す事が出来たのは、君だけなのに」

 

「だからだ」

 

俺はそう、絶花を抱く。

 

「俺は絶花の努力を知っている。友達を作りたいって事も。だからこそ」

 

俺は。

 

「絶花が最強でも、普通に生きられる世界を俺が造る」

 

ここで、俺が出来るのは宣言だ。

 

「私が普通に」

 

「あぁ」

 

だからこそ、俺は、自然と言葉を紡ぐ。

 

「俺が王になる。その国で、お前だけじゃない。色んな奴が入り交じった国。そこではお前の嫌な所が目立たないような場所を作る」

 

「私が」

 

「あぁ」

 

浅はかな言葉だ。中二病と言われても可笑しくないだろう。だけど。

 

「絶花、お前の最強を普通にしてみせる。だから、お前は、俺の最強の侍になってくれ」

 

「私が」

 

「あぁ」

 

それと同時だった。

 

眩い光が、俺の手から出てきたのは。

 

「・・・駒?」「チェスの?」

 

なぜ、こんなのが出てきたのか分からない。

 

だけど、その駒は、なぜか絶花の元に来ていた。

 

「・・・何が起きているのか分からない。けど」

 

同時に、機械の蠍型のロボットがこちらに来ていた。

 

「私、なるよ。君の刀に」

 

同時だった。

 

絶花の手には、何時の間に刀があった。

 

その刀を持つと共に、迫る蠍型のロボットの鋏をなんと斬り裂いた。

 

「っ」

 

それには、俺も蠍型のロボットも驚きを隠せなかった。

 

凜として、その手に持つ刀を構える。

 

「私は、最強の剣士で、普通の女の子、そして、太郎君の幼馴染みの宮本絶花」

 

それは、まさしく俺の知る最強の侍だった。

 

「参る」




一応、こちらで発表させて貰いますと、唯我太郎君のモデルとしては、ドンブラザーズの桃井タロウです。

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。