サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
校庭に降り立った3人に対し、俺はアルトリアの隣に立ったまま軽く手を振る。
「じゃあ頑張って~」
「気楽なものだな」
アルトリアは俺を一瞥すると溜息をつき、その後正面へ向き直る。
竹刀一本のみを肩に担ぎ直した彼女の姿勢には一切の緊張感がない。まるで買い物袋でも持っているかのような自然さだ。
ついでに、あの竹刀だが、実際には虎竹刀と呼ばれる物らしい。
そんなアルトリアの様子に対して、2人は怒りを隠せない様子だった。
「本気でその竹刀で戦うつもりですか」
「あぁ、お前達は、その偽物でさっさとかかってこい」
竹刀を弄びながら挑発するような声音で話すアルトリアに対して2人は怒りで震えていた。
「偽物」
その一言に、怒りを露わにする。
「なら見せてあげましょう」
その言葉と共に彼女の手に握られているエクスカリバーが光を放った。
その剣戟は空気を裂き、地面へと叩きつけられる。
しかし次の瞬間には別の斬撃が生まれてくる。流れるような動きで幾度となく打ち付けられる刃は地を抉り土煙を巻き起こす。
ゼノヴィアもそれに追随するように斬りかかり、イリナは後衛から支援を行う。その攻撃速度は人外と言っても過言ではないレベルであり、並の人間であれば防ぐことは困難だろう。
しかし……アルトリアには届かない。
迫り来る斬撃を最小限の動きで回避していく。まるで舞うような軽やかなステップだ。時には体勢を低く屈み込むようにして回避し、またある時は跳躍してかわすなど華麗極まりない技術を披露する彼女は全く余裕綽々とした態度を崩さないまま平然としていた。
「どうした?まさかもう終わりなのか?」
「クッ!!」
「ウザッ!」
苛立ち混じりの悪態と共にゼノヴィアは剣を振り上げる。
その刹那───。
ガキンッと甲高い音と共に衝撃が走る。エクスカリバーと竹刀が交差していたのだ。
「なっ」
その状況にゼノヴィアは驚きの声を漏らす。自分より圧倒的な劣位にある武器に抑え込まれるなんてことが信じられなかったのだ。
「ふむ……」
逆にアルトリアは冷静だった。己の武器が壊れる可能性など微塵も考えていないかのように。
むしろその状況を楽しむかのような表情さえ浮かべている。
「ハアッ」
「ムダッ!」
次いで別の方向から別のエクスカリバーの攻撃が繰り出される。だがそれも難なく弾き返す。
「嘘っ!竹刀のはずでしょ!?」
イリナは焦りを含んだ声で叫ぶ。しかしアルトリアは表情を変えない。淡々とした態度を保ったまま答えるだけだった。
「竹刀でも十分過ぎる。お前達の剣術もそうだが、その程度の剣でもな」
彼女の言葉通りその二つの宝具はまるで玩具のように扱われてしまう。どれだけ全力で振るっても意味が無いのだ。
むしろ自分の方がダメージを受けてしまっているくらいだ。
その様子にゼノヴィアは悔しさを滲ませながら歯噛みする。だが諦めることはなかった。再びエクスカリバーを構える。今度はこちらから攻めようとばかりに踏み込み斬りかかる。
しかしそれすら容易く受け止められる。むしろカウンターを喰らい吹き飛ばされてしまうほどだ。
そのまま、構えた瞬間には、既に眼前にまで迫ってきていたアルトリアの姿が映ったのだ。
「遅いな」
ドカッ!という打撃音とともに吹き飛ばされる。
「ゼノヴィアっ」
「相方を気にしている場合か」
そうしているとイリナの方へとアルトリアが迫る。そしてそのまま容赦なく追撃を行う。その鋭い突きが喉元に突き立てられたところで止まった。
あと数センチという所で停止させられたのだ。あと少しでも動けば致命傷になる位置であったためイリナは息を飲むことしか出来ない。額には汗が滲み出ていた。
しかし彼女の瞳には恐怖の色はなかった。むしろ闘志さえ見えるほどだ。
「貴様らが持つエクスカリバーはその程度の価値しかないという事だ」
アルトリアは淡々と言い放つ。
かつて自分が愛用した聖剣と同じ名前を持つ存在を侮蔑するかのような言い方だった。いや事実そうなのだろう。
その言葉にショックを受けた表情をする2人。
「その辺で良いだろ、セイバー」
「ふんっ、マスターが言うならばな」
そうして、アルトリアは竹刀を下ろす。
彼女自身あまり乗り気ではないものの主の命令ならば従うしかないといった感じだった。
「・・・なんか、またとんでもない事になりそう」
次回の王は
-
妖怪王
-
機械王
-
怪獣王
-
幻想王