サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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不幸を好む神父

 グレモリー眷属との合同での訓練が始まった。

 

 そうは言っても、滅を始めとした面々の戦闘をグレモリーさん達が見るのは初めての為に、始めに模擬戦を行う事になった。

 

「それにしても、滅の戦闘は多少は見た事はあったけど、彼は一体何者なの?」

 

「1年前ぐらいに、命を狙って来た刺客ですよ。まぁ色々とあって、家臣になりました」「色々って、よくそんな事出来たわね、というよりも、その時はどうしたの」

 

「俺の最も信頼する家臣がなんとかしました」

 

 滅は、主に木場先輩との特訓を優先していた。

 

 滅自身、高い技量を持っており、テクニックで戦う事もあり、状況に合わせた戦い方をする事で似ている木場先輩と行っている。

 

 それ故に戦闘技術はかなり向上している。

 

「それにあの子も」

 

 そうして、友奈と小猫先輩の模擬戦も行われていた。

 

 その戦闘は、かなり大きな実力差があった。

 

「ぐっ」「まだまだぁ!」

 

 小猫先輩自身、かなりの力を持っているようだが、友奈はそれに負けていない様子で攻めている。

 

「元々、友奈自身、家臣になる前、鬼の先祖返り。それも酒呑童子の血を受け継いでいましたからね」

 

「酒呑童子!? まさか、それ程の鬼の力を持っていたとは、確かにそれだったら」

 

 それに対して、友奈の出生に驚きを隠せない様子だった。

 

「けど、そういう意味では、もしかしたら」

 

「んっ?」

 

 それに対して、リアスさんは少しだけ考えている様子。

 

「けど、問題は」

 

「ふむ、この程度では、まだまだだな」「ぐふっ」

 

 言峰と兵藤が模擬戦を行っている。

 

 言峰は、元々、滅と同じように様々な戦い方が行える。

 

 その中でも、言峰自身、八極拳を極めた達人。

 

 悪魔になったばかりの兵藤先輩では、おそらくは勝てないだろう。

 

「ふむ、兵藤君だったかな、やはりこの中では一番弱いようだな」

 

「っ」

 

 それと共に容赦なく、傷口を開く言葉。

 

 それが、兵藤先輩は、その言葉に対して反応を示す。

 

「君は、確か先日の堕天使の1件でもほとんど何も出来なかった。恋人だと、いやこれは思わされていたと良いだろうね。その堕天使に騙されて殺された」

 

「ぐっ」

 

「しかも、堕天使との再戦はせず、そのままあそこにいるシスターをも殺されそうになった」

 

 そうして、兵藤先輩は、手に力を籠めている。

 

 兵藤先輩にとっては、悔しい事かもしれないが、それらは全て事実だ。

 

「我が主が行動しなければ、おそらくはあのシスターは殺されただろうね」

 

「そんな事っ分かっているっ! だから、俺は強くなる!」

 

「その龍の手でかい? 自殺行為に等しいと思うが」

 

「……それは」

 

 兵藤先輩も分かってはいた。

 

 神器は強大だが、それを扱う力が無ければ意味がない事を。

 

 だが、それでも、神器を完全に扱えれば、可能性はあるかもしれない。

 

「さて、この程度の強さでは、この合宿に参加した意味がないのだが」

 

「っ!」

 

 そう言うと同時に、言峰は軽く、兵藤先輩は怒りを身に任せて、突っ込む。

 

「イッセー」

 

「リアスさん、そこで手を伸ばすのは駄目ですよ」

 

「っ」

 

 リアスさんにとって、この状況は決して目を離したくないだろう。

 

 けど。

 

「リアスさん、この状況でも、王は決して判断を誤ってはいけません。戦況は冷静で見なければなりません」

 

「……分かっているわ、けど」

 

「辛い気持ちは分かります。だからこそ、助けるのではなく、信じて見守る。それもまた王として主の役割です」

 

 そして、この見守る事。

 

 それもまた、リアスさんに必要な事だ。

 

 そのまま、言峰と兵藤先輩の戦いは続く。

 

 実力差はあまりにも大きい。

 

 まるで、蟻と象の戦いのように。

 

 それでも。

 

「君はその程度では、まるで話にならない」「そんなのでは、また死んでしまうな」「これじゃ、君の主は見る目はないな」

 

 言峰は、兵藤先輩の怒りを再燃させるように次々と言っていく。

 

 体力が尽きようとも、決して戦いを止めさせないように。

 

「俺は! 部長を守る為に強くなる!」

 

 その瞬間、兵藤先輩の龍の手が変わる。

 

 それには。

 

「ほぅ」

 

 笑みを浮かべながら、正面から受け止める言峰。

 

 だが、それは先程までその場を動いていなかった言峰を僅かに動かせた。

 

「なるほど、僅かだが、強くなったようだな、だが」「っ!」

 

 言峰は、そのまま兵藤先輩の腹部を蹴る。

 

「まだ、少しだけ足りないようだな」「イッセーっ」

 

 それによって、兵藤先輩は気絶してしまった。

 

「イッセーさんっ」

 

「安心したまえ、彼は生きているし、体力は残っている。いや、シスターがいるから体力面は問題ないか。なるほど、特訓でも役に立つな」

 

 そう、言峰は何事もなかったように呟き、その場を離れる。

 

「太郎、未だに分からないわ。確かに実力が高いのは認めるわ。けど、なんで人の不幸が好きという部分がなんで必要なの」

 

「そうだなぁ、俺としては、俺の民は幸せになって欲しい。それは本当だ」

 

「なら」

 

 そう、俺の言葉に対して、リアスさんは聞く。

 

「だけど、人間は幸福を好んで知ろうとするが、不幸を好んで知ろうとは思わない。不幸は、確かに悪い事かもしれないが、そこから学ぶべき教訓は多くある」

 

「学ぶべきこと」

 

 その言葉に頷く。

 

「災害、戦争、事件。多くの出来事は不幸であり、決して目を逸らしてはいけない事だ。だけど、それは俺だけでは無理だし、人によっては、目を逸らしてしまう事がある」

 

「……そうね、それは、分かる気がするわ」

 

 それに対してリアスさんは頷く。

 

 それに心当たりがあるから。

 

「だからこそ、俺はそれを目を逸らさない相手として、言峰を選んだ。奴は不幸を好んでいる。だからこそ、決してその不幸から目を逸らさない。それに関しては一切の妥協はない」

 

「民を守る為に、その不幸を見つめる為に選んだという事ね」

 

 それに対して、頷く。

 

「それに、そのおかげで兵藤先輩の本当の力も分かったからな。けどまぁ」

 

「イッセーが死んでいない事を祈るしかないわね」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
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