サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「分かったよ」
俺達はディハウザーさんに促されて移動することにした。
俺達が向かった先は、周囲の住人には分からない隠れ家のような場所。
そこは、静かな夜が更けていく中で灯りを灯し続けるバーだ。
店員に案内され席につくとカウンター越しにグラスを磨くバーテンダーが目に入る。
俺達が座ったのは奥まった空間にある半個室タイプの席で周囲からは見えにくいようになっている。
そこは落ち着いた雰囲気を醸し出しており、他の客もいないようだった。
「ここは俺が家族とよく通った店なんだよ」
そう言いながらグラスにワインを注ぐディハウザー。
「いや、俺、未成年なんだが」
「まぁ、雰囲気でね、それにここだったら、他に誰もいないか」
「もしかして、私達が気に入らない悪魔の人達に頼まれた感じ?」
「・・・いいや、むしろ俺としては、その発言に対しては不愉快には思わない。むしろ、正しい言葉だと思っているよ」
そうして、ディハウザーさんは苦笑しながらワインを飲む。
「まさか、あの発言が、気に入って声をかけるとか」
「そうだね。あれは正しい意見だった。確かに彼女達の理想論というのは荒唐無稽だと言われるほどだ。だが、それでも大切な事だと思う。君もそう思ったからこそあんな発言をしたんじゃないか?」
「まぁな」
そうして、俺は頷いた。
正直、先日の発言については間違いだとは思っていない。
だからこそああいったのだし、それを否定される謂れもないと思う。
まぁそんな感情を抜きにしてもあんなことを言われたら腹が立つのも当然だし。
だから俺は肯定した。
「まぁ、確かにあの時の一言に腹は立ったがね。ただの夢だと言われても納得できない部分はある。それを諦めて大人しく従うべきなのかと思わなくもなかったが。しかしやはり理不尽だと思う気持ちは変わらなかったよ」
「・・・うんうん。やっぱり、君達は良いねぇ。さて、そうなると肝心の話になるわけだが」
そうしながら、ディハウザーさんは一度咳払いをして本題に入った。
「率直に言おう。君達に会いたいと思っていたんだ。それはなぜかといえば――」
そうしてディハウザーさんは語り始めた。
かつて駒王町を縄張りにしていた、リアス先輩の前任にあたる女性悪魔であるクレーリア・ベリアル。
彼女が殺された事。
そして、その裏には、教会と悪魔、両陣営が関わっている可能性がある。
「俺は長い間、調べていた。けれど、俺自身もまた悪魔の血筋で追跡をするのが困難だ」
そして、彼はそう言いながら俺達に頼みたいと言った。
「なるほどな。悪魔の世界に影響がない人間に捜査させたい訳か」
「あぁ、その通り。俺はこの件についてどうしても知りたいんだ。もしよければ協力してくれないか?」
そう言いながらディハウザーさんは俺の眼を見てくる。
「さて、どうする?ルーラー」
俺は隣に座っているルーラーに尋ねた。
すると彼女は微笑みながら答える。
「私は未来クンの判断に従うよ」
「それじゃあ決まりだな」
こうして俺達はディハウザーさんとの取引を成立させることになったのであった。
それからディハウザーの話で分かった事だが、クレーリア・ベリアルの死因は不明であること。
だがそれ以外の事は不明とのこと。
「・・・なるほどね。それで俺達に白羽の矢が立ったわけか」
「そうだ。だからお願いできるだろうか」
ディハウザーは真剣な顔つきで頼み込んできた。
ディハウザーの懇願に、しばし沈黙が流れる。店内の照明が静かに揺れ、カランという氷とグラスにぶつかる音だけが響いた。
「……なるほどな」
俺はゆっくりと頷いた。ワインはまだ一口も口にしていない。未成年ということもあるが、今はそんなことに構っている場合ではなかった。
「良いですよ」
「えっ」
「だって、ディハウザーさんの言葉には信念がありますから」
卑弥呼がニッコリと笑って付け加えた。
「もちろん、条件付きですが」
俺は少し厳しめの口調で続けた。
「条件?」
ディハウザーが眉をひそめる。
「まぁ、調査の協力をして貰う時が来る。その時に力を貸して欲しいかな」
「まぁ、それはこちらから申し出たが、不正な事はするつもりはないぞ」
「あぁ、協力する時にそちらの判断に任せないと」
次回の王は
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妖怪王
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幻想王