サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
カルナが空中で静止する。その姿はまるで太陽そのものが地上に降臨したかのようだ。
一方のロキは顔を歪ませながら杖を掲げた。
「笑わせる……!」
彼の周囲に黒紫の魔力が渦巻き始める。これまで見たことのない濃密なオーラが彼を包み込んでいく。
「例え、本来の力を持ったとして!」
突如として虚空から巨大な氷塊が出現。それはカルナを目掛けて猛スピードで落下する。
しかもただの氷ではない。触れた空気が凍りつき、岩肌が一瞬にして白く染まっていく――絶対零度に近い冷気を帯びている。
カルナは動じることなく静かに腕を伸ばした。
「炎天よ」
その一言と共にカルナの掌から放たれた光条が氷塊を粉々に砕く。破片は瞬時に蒸発し、水蒸気となって消えた。
ロキの目が見開かれる。
「次はこれだ!」
今度は地面から無数の鉄杭が湧き上がり、蛇のように絡み合いながらカルナへと襲いかかる。それらは魔法によって硬化・強化された金属兵器。
カルナは無言で赤い翼を羽ばたかせた。
黄金の残光が舞う中、彼は一瞬で高度を上げると同時に腕を一振り。
「日輪よ、具足となれ」
淡い燐光に包まれたカルナの体が硬質な光沢を放つ。飛来する鉄杭はすべて命中寸前で消失した。
まるで空間そのものが拒絶するかのように、鉄杭は当たる直前に自壊して塵になる。
「ふざけるな……」
ロキの声が震えた。彼にとって魔法は万能であり、どんな存在も無傷ではいられないはずだった。
「ならばこれはどうだ!」
彼の手から放たれたのは無数の雷撃。稲妻の雨が天地を貫くような規模で降り注ぐ。
カルナは静かに瞼を閉じたまま微笑んだ。
「その程度では届かぬ」
言葉と共に彼の全身から金色の防壁が展開される。雷撃は悉く吸収され、逆にカルナの内部エネルギーへと変換されていく。
「ば……馬鹿な……」
ロキの顔色が蒼白になった。彼が得意とする高位魔法が悉く通用しないという現実に思考が追いつかない様子だ。
その時初めてカルナが口を開いた。
「ロキよ」
その声音は深い井戸の底から響くような荘厳さを帯びていた。
「お前が使うそれらの術式は確かに強力だ。だが残念ながら我が鎧の前では無力」
カルナは片手をゆっくりと前に差し出す。その掌から陽炎のように揺らめく光が立ち上る。
「何故なら我が装具――日輪よ具足となれ」
光が増幅され、カルナの背後の空間が歪む。
「この鎧は光そのものが形になったもの。それは如何なる物理法則も超越し」
掌から放たれた光線が一直線にロキへと飛ぶ。
「神々でさえ破壊は不可能だ」
その一閃は音もなくロキの足元に到達し、地面に直径五メートルほどの円形の空洞を作り出した。周囲の岩盤が溶融し、新たな溶岩湖を形成する。
ロキが後方へ跳躍しながら呻く。
だが、その時、ロキは気づいた。
「ぐっ」
俺が僅かに倒れた事。
「・・・なるほど、原理は未だに分からないが、どうやらそこにいる太郎。そいつがその力を十全に発動させる鍵のようだな」
「・・・ならば、どうする」
「知れた事を、弱点を突く。世の常識だろう」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王