サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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修学旅行の雷と鬼 Ⅲ

宿泊場所であるホテルでのチェックインを終えた後。

 

俺はロスヴァイセ先生にこれからの予定を伝えた。

 

「という事で、これから少し京都の方での挨拶を行っていきますので、そちらの方でなんとか」

 

「はぁ、分かりました。それにしても、オーディン様も言っていましたが、このようなトラブルに巻き込まれやすいんですね」

 

そうして、ロスヴァイセ先生は少し呆れたように言っていた。

 

「わかりました。ですがくれぐれもトラブルを起こさないように」

 

ロスヴァイセ先生の呆れ顔に見送られ、俺はバーサーカーとアサシンを連れてホテルを出た。

 

「さて、まずは目的地へ行きますか」

 

スマホのマップを見ながら歩き始めると、背後からバーサーカーが俺の肩を叩いた。

 

「マスター!京都ってこういう感じなのかよ!俺が知ってた江戸時代とはまるっきり違うぜ!」

 

金時は黒革のジャケットを風になびかせながら興奮気味に周囲を見回している。昭和風のファッションと金髪おかっぱ頭が妙にマッチしていて、すれ違う人々が二度見していた。

 

「うちはやっぱりこっちの方が好きやなぁ。今の東京も悪くないけど、古都ってなんか落ち着くわ」

 

アサシンは薄紅色の振袖を涼しげに翻しながら歩いている。外見は少女だが中身は千年以上の歴史を持つ鬼。長い黒髪を簪でまとめた姿は芸術品のようだ。

 

「……二人とも目立つなよ」

 

俺が釘を刺すと、「へいへい」と返す金時と「ええ~?」と首を傾げるアサシン。果たしてこの面子で裏京都の妖怪たちと交渉できるのか不安になってきた。

 

「で、その裏京都ってのはどこにあるんだ?」

 

金時が尋ねてくる。

 

「現代版陰陽師ネットワークの情報を得た限りだと、八坂神社近くの裏路地に入口があるらしい」

 

俺が説明すると、アサシンがすっと目を細めた。

 

「裏路地ねぇ……昔はそんな目立つ場所じゃなかったんやけどな」

 

アサシンの言葉に一抹の違和感を覚えたが、取り敢えず指示通り進むことにする。

 

案内された路地に入ると空気が変わった。昼間なのに妙に薄暗く、コンクリートの壁がどこか粘土みたいに柔らかく感じられる。

 

「こりゃあ結界だな。人間避け用か?」

 

金時が鼻をくんくん鳴らしながら確認する。元鬼退治の英雄だけあってこういう嗅覚は鋭い。

 

やがて目の前に古びた鳥居が現れた。木製の門扉には苔むした札が下がっている。

 

『妖怪里への訪問者様へ 事前連絡無き場合はご退出ください』

 

「いやいやいや!どこの企業の受付だよコレ!!」

 

思わずツッコミを入れてしまう俺。しかし金時は意外と慣れた手つきで門扉を開けた。

 

「ほれほれっ!こっちから入るぞ!通行料はなしと書いてあるぜ!」

 

「ちょっ!勝手に入っちゃマズいんじゃ……」

 

慌てて制止するが時すでに遅し。バーサーカーは堂々と進み出した。俺とアサシンも仕方なく続く。

 

境内を進むと広場に出た。そこでは数十人の妖怪たちがざわつきながら待っていた。下駄履きの河童や火を噴く狸、毛玉のような小鬼たち……みんな俺たちを警戒しているようだった。

 

だが次の瞬間、金時を見るなり彼らの態度が豹変した。

 

「うっ……金時殿っ!」

 

「源氏四天王の一人だぞ!」

 

「かつて百鬼夜行を蹴散らした英雄がなぜここに!?」

 

あちらこちらから悲鳴のような声があがる。

 

だが

 

一方アサシンに至ってはさらに深刻だった。

 

「うわぁぁあああっ!」

 

「酒呑童子様だぁぁっ!」

 

「逃げろぉぉお!」

 

妖怪たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う中、一人の老翁が前に進み出てきた。額には角が生えている。おそらくこの集落の長であろう。

 

「お……お久しゅうございます酒吞童子様。以前の事件以来どうお過ごしでしたか?」

 

老人の声には明らかに怯えが含まれていた。アサシンはニコリと笑って答える。

 

「おかげさんで元気やで。それで、うちらを呼んだのはあんたらの方やろ?」

 

老翁は汗だくになりながら何度も頭を下げた。

 

「は……はい。実は」

 

それと共に、ゆっくりと呟く。

 

「京都の長である八坂様が、その、攫われてしまったのです」

 

「八坂って?」

 

「その、今代の京都の九尾の狐です」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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