サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
「は……はい。実は私たちの里の長、八坂様が行方不明なのです」
妖怪の長老が額の汗を拭きながら事情を説明する。彼曰く、八坂さんが数日前に須弥山との外交会議のために外出したまま帰還しないとのこと。
「普通の人間ならまだしも、妖怪界隈の重鎮である八坂様が簡単に迷われるはずはありません」
「しかも同行した護衛たちは皆……一瞬の出来事で」
「霧の中で突然姿を消されたそうです。最後の目撃者は護衛隊長でしたが」
アサシンがスッと顔を近づける。
「なるほど~? 神仏が住まう山へ向かう途中で霧に呑まれる……古典的やねぇ」
「ってことは、自然現象じゃなくて故意の失踪ってことか?」
「あるいは事故を偽装した拉致やね。人間ならともかく、神霊関係の土地でなら尚更」
彼女の視線が鋭くなる。酒呑童子としての狩猟本能が疼いているようだ。
金時が腕組みして唸る。
「しかしなぁ、京都の重鎮を狙うなんて度胸ある奴らだぜ。報酬次第じゃ力貸すのもやぶさかじゃねぇけど」
「報酬言うて?」
「でもよぉアサシン。お前だって『美味しい酒』って言ってただろ?」
「ふふっ。バレてもうたか~」
和やかなやり取りの裏で俺は考える。グランドオーダーでも霧を媒介とした異常事態は経験済みだ。
「霧、それに関してを考えれば、ジャックを思い出す。それに近い状況かもしれない」
(今回は単なる霧じゃない可能性が高い)
「わかった。探してみよう」
俺が宣言すると妖怪たちは安堵の表情を見せた。
「ありがとうございます! 引き換えに我々ができる範囲でご助力いたします」
金時が拳を叩いて吠える。
「よっしゃ! ゴールデンに決着つけてやるぜ!」
一方アサシンは舌なめずりするようにつぶやく。
「さてさて、霧の中の獲物はどれだけ『美味しゅう』ございましょうなぁ~」
「……勘弁してくれ」
こうして俺達は八坂さんの捜索へと乗り出すことになった。
俺達は現場へと赴いた。京都郊外の山中で、鬱蒼とした森が広がっている。
「ここか?」
金時が辺りを見回す。現代風の服装と風景がミスマッチすぎる。
「う~ん。確かに古い妖気の匂いがするねぇ」
アサシンが鼻をクンクン鳴らす。普段の陽気な顔とは裏腹に神妙な面持ちだ。
「しかし妙やなぁ。八坂さんは一流の妖怪や。そんな簡単に誘拐されるとは思えんけど」
彼女の指摘は正しい。しかも神仏と対等に交渉できるクラスだ。
「つまり罠か?それとも内部の裏切りか?」
俺の質問に金時が斧を担ぎながら応じる。
「どっちでもいいさ!怪しい奴を見つけたらブッ飛ばすだけだ!」
「まぁまぁ。焦らず行きましょう」
慎重に痕跡を探すアサシン。
「へぇ」
「どうしたんだ?」
その疑問にアサシンは。
「へぇ、面白いと思ってなぁ」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王