サムライガールの幼馴染みは王様を目指す 作:ボルメテウスさん
絶霧が晴れることはなく、俺たちは灰色の空間に閉じ込められていた。
周囲は見渡す限り同じ景色。方向感覚さえ曖昧になる。
「ちっ!やられたか……」
舌打ちしてしゃがみ込む俺。まずは現状把握だ。床は硬い岩盤のように感じられる。
「くそっ!俺はアイツらを甘く見てたみてぇだぜ!」
バーサーカーは拳を握りしめ、地面を一度だけ殴りつけた。金属音のような響きが霧に吸い込まれていく。
「まさか霧の中に閉じ込められるとは思わなかったなぁ」
俺の後ろでアサシンがくすくす笑いながら腰を下ろした。片膝を立てて瓢箪を取り出す。蓋を開けると芳醇な酒の香りが漂う。
「おいおい、こんなときに飲む気かよ」
「まぁまぁ。お酒は気分転換や」
彼女は一口含むと唇を舐め、「ぷっ」と噴き出した。
「いや~ホンマ笑えるわ。『新世代の英雄』やて?あの連中が?笑わせてくれるわ」
「どういうことだ?」
俺の質問に彼女は目を細めて答える。
「昔、うちが京の都を支配しとった頃の侍たちはなぁ。たかが二十人くらいで三千の大軍を相手にしたんやで?」
その言葉に俺とバーサーカーは思わず顔を見合わせる。
「三十も揃わん烏合の衆が偉そうに『英雄』なんて名乗るんかと思ったら……」
アサシンは盃を掲げて続ける。
「あの頃の武者たちの方がよっぽど魂が澄んどったわぁ」
「……そうだな」
バーサーカーも腕を組みながら同意する。その眉間には深く皺が刻まれている。
「なぁマスター」
バーサーカーが俯いたまま口を開く。霧の中で彼の黄色いバンダナだけが鮮やかに映える。
「何か策があるのか?」
俺はゆっくりと立ち上がり、ポケットに手を突っ込んだ。
「もちろんだ」
「どんな策だ?」
「簡単さ」
俺はニヤリと笑い、右手を掲げる。
「この霧を全部吹き飛ばす」
「……は?」
「なんですって?」
バーサーカーとアサシンが同時に呆けた顔をする。予想通りの反応だ。
「お前らなぁ……もっと頭を使えよ。この絶霧は外部から侵入されないように張られた結界だ」
「まぁそうやけど……」
「つまり内部から吹き飛ばせばいい」
俺は左腕の令呪を確かめるように撫でる。光が微かに脈打っている。
「内部から、シンプルに?」
「ぶっ飛ばす」
その言葉に対して、バーサーカーは笑みを浮かべる。
「ふふっ、それは良いねぇ、その方法は」
「・・・まぁ、本来だったら、バーサーカーに頼みたいけど、この場合だと」
そのままアサシンに眼を向ける。
「んっうちか?けれど、うちにそんな宝具はあったかなぁ」
「おっおい、大将、まさか」
「・・・まぁ、向こうは英雄を望んでいるからな、日本で一番有名な神話を越えられるか見てみようじゃないか」
次回の王は
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妖怪王
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機械王
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怪獣王
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幻想王