サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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修学旅行の雷と鬼 Ⅶ

絶霧が晴れることはなく、俺たちは灰色の空間に閉じ込められていた。

 

周囲は見渡す限り同じ景色。方向感覚さえ曖昧になる。

 

「ちっ!やられたか……」

 

舌打ちしてしゃがみ込む俺。まずは現状把握だ。床は硬い岩盤のように感じられる。

 

「くそっ!俺はアイツらを甘く見てたみてぇだぜ!」

 

バーサーカーは拳を握りしめ、地面を一度だけ殴りつけた。金属音のような響きが霧に吸い込まれていく。

 

「まさか霧の中に閉じ込められるとは思わなかったなぁ」

 

俺の後ろでアサシンがくすくす笑いながら腰を下ろした。片膝を立てて瓢箪を取り出す。蓋を開けると芳醇な酒の香りが漂う。

 

「おいおい、こんなときに飲む気かよ」

 

「まぁまぁ。お酒は気分転換や」

 

彼女は一口含むと唇を舐め、「ぷっ」と噴き出した。

 

「いや~ホンマ笑えるわ。『新世代の英雄』やて?あの連中が?笑わせてくれるわ」

 

「どういうことだ?」

 

俺の質問に彼女は目を細めて答える。

 

「昔、うちが京の都を支配しとった頃の侍たちはなぁ。たかが二十人くらいで三千の大軍を相手にしたんやで?」

 

その言葉に俺とバーサーカーは思わず顔を見合わせる。

 

「三十も揃わん烏合の衆が偉そうに『英雄』なんて名乗るんかと思ったら……」

 

アサシンは盃を掲げて続ける。

 

「あの頃の武者たちの方がよっぽど魂が澄んどったわぁ」

 

「……そうだな」

 

バーサーカーも腕を組みながら同意する。その眉間には深く皺が刻まれている。

 

「なぁマスター」

 

バーサーカーが俯いたまま口を開く。霧の中で彼の黄色いバンダナだけが鮮やかに映える。

 

「何か策があるのか?」

 

俺はゆっくりと立ち上がり、ポケットに手を突っ込んだ。

 

「もちろんだ」

 

「どんな策だ?」

 

「簡単さ」

 

俺はニヤリと笑い、右手を掲げる。

 

「この霧を全部吹き飛ばす」

 

「……は?」

 

「なんですって?」

 

バーサーカーとアサシンが同時に呆けた顔をする。予想通りの反応だ。

 

「お前らなぁ……もっと頭を使えよ。この絶霧は外部から侵入されないように張られた結界だ」

 

「まぁそうやけど……」

 

「つまり内部から吹き飛ばせばいい」

 

俺は左腕の令呪を確かめるように撫でる。光が微かに脈打っている。

 

「内部から、シンプルに?」

 

「ぶっ飛ばす」

 

その言葉に対して、バーサーカーは笑みを浮かべる。

 

「ふふっ、それは良いねぇ、その方法は」

 

「・・・まぁ、本来だったら、バーサーカーに頼みたいけど、この場合だと」

 

そのままアサシンに眼を向ける。

 

「んっうちか?けれど、うちにそんな宝具はあったかなぁ」

 

「おっおい、大将、まさか」

 

「・・・まぁ、向こうは英雄を望んでいるからな、日本で一番有名な神話を越えられるか見てみようじゃないか」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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