サムライガールの幼馴染みは王様を目指す   作:ボルメテウスさん

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修学旅行の雷と鬼 Ⅸ

「ゴールデン!行くぜぇぇぇぇっ!」

 

ベアー号の操縦席でレバーを握りしめる金時が吼えた。紅蓮の装甲が太陽光を反射して輝き、その巨大な脚が瓦礫を蹴散らしながら前進する。目標は──数百メートル前方で暴れ狂う九尾の巨体だ。

 

「ガァァァァァ!」

 

九尾の咆哮がビル群を震わせる。彼女の体は既に制御不能なほど膨れ上がり、九本の尾は煙のように揺らめきながら全てのものを焼き尽くす炎と化している。

 

「これが本当にあの優しい八坂さんなのか?!」

 

俺は通信越しに叫ぶが、ベアー号内のスピーカーからは金時の愉快そうな笑い声が返ってくる。

 

「ハッハァー!大丈夫だって!マスター!任せときな!」

 

その言葉と同時にベアー号の胸部ハッチがパカッと開き──なんとミニチュア版金時専用おやつ自販機が出現した。

 

「何やってんの?!そんな場合かよ!」

 

「エネルギー補給だぜ!ほらいくぜっ!特製カレー味ポテチぃーっ!!」

 

ベアー号の口部分が開き、大量のポテチが虹色の流星のように散弾射撃される。

 

「ぷはっ……!?」

 

九尾が驚愕で目を見開く隙に、ベアー号が急加速。巨大な拳を振り上げると──

 

「必殺!ゴールデン・スタンプ・ドロップぉぉーっ!!」

 

電光を帯びた鉄拳が九尾の頭上めがけて炸裂!

 

「きゃあっ!」

 

鈍い衝撃音と共に九尾の体勢が崩れる。ベアー号はそのまま膝を突き込み、九尾を抱きかかえるように拘束した。

 

「ちょっと苦しいかもしれねえけど……許してくれよっ!」

 

装甲内部で金時が叫ぶと同時に、ベアー号の全身から雷光が迸る。瞬時に広がる眩い閃光。黄金の雷霆が九尾を包み込み、膨張し切った妖気を根こそぎ削ぎ落していく。

 

「すごい……妖気が薄れてる」

 

瓦礫に埋もれた九重ちゃんが呟く。彼女の目から一筋の涙が零れた。

 

「お母さま……!」

 

「ウオーーーッ!最後の一押しだぜっ!」

 

ベアー号が雄叫びを上げると同時に背中のジェットエンジンが最大出力へ。金色の粒子を撒き散らしながら九尾を抱え上げ──空へと跳躍した!

 

「行ってこぉい!ゴールデン・エレクトリカル・スパイラルーーーーっ!」

 

空中で渦巻く光の柱に飲み込まれる九尾。しばらくの沈黙の後──

 

ズゥゥゥン……

 

緩やかに地上へ降り立ったベアー号の腕の中には、小さく縮んだ八坂さんが眠るように横たわっていた。

 

そして、その戦いの最中。

 

「な……なんだ……これは……」

 

霧の結界が破られた先に現れたのは、異形の女神だった。漆黒の肌に海の如く深い青髪。額から伸びる二本の角が威厳を放つ。その手には蛇の骨格を模した剣──蛇腹剣が握られていた。

 

「伊吹童子……だと?」

 

曹操の声が震える。ゲオルクが即座に叫んだ。

 

「まさか、ここまでの大物が現れるとは」

 

それが合図のように、英雄派の面々が既に行動していた。

 

その身を巨人の悪戯によって、生み出されたミサイルで。

 

ジークは、4本の手で、竜殺しによる剣から繰り出される剣技で。

 

ジャンヌは、聖剣によって生み出されたドラゴン達で。

 

曹操は、その手に持つ聖槍で。

 

この場で行える最大火力を用いて攻撃を仕掛ける。

 

全ての攻撃を一身に受けながらも

 

「はぁ」

 

「!?」

 

一発の雷撃だけで殆どの兵を灰塵とかした。

 

そして残ったのはジークと曹操だけ。

 

「・・・さて、英雄に憧れていた若者」

 

伊吹童子が言った。

 

「これが、伝説のっ」

 

曹操の声が震える。ゲオルクが即座に叫んだ。

 

「ゲオルク!結界の再形成を急げ!」

 

だが──遅すぎた。

 

「まずは一匹……味見といこうか」

 

八本の首の一つが蛇腹のごとく蠢きながら曹操へと迫る。

 

「ッ!来るな!」

 

曹操が槍を構えて迎撃するが──

 

ガチッ!

 

八岐大蛇の口腔が槍ごと曹操を咥えた。

 

「ぐわああっ!」

 

鋭い毒牙が肉体を穿つ。

 

「貴様ら如きが『英雄』を騙るとはな」

 

バーサーカーの声が地響きのように轟く。

 

「マスターよ……儂にこの害虫共の始末を任せて良いか?」

 

「構わない」

 

太郎が答える。

 

「ただし殺しは禁止だ」

 

「承知した」

 

バーサーカーが鷹揚に頷くと同時──

 

残る七本の首が一斉に暴れ出した!

 

「逃げろ!散開しろ!」

 

英雄派の面々が蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。

 

だが──遅すぎる。

 

金色の稲光が八岐大蛇の全身を覆い、触れるものを悉く焼き尽くす雷撃へと変わる。

 

「ギャアアアッ!」

 

ゲオルクの作り出した結界は無惨に砕け散り、彼自身も雷の奔流に飲み込まれた。

 

「ふむ……なかなか良い反応速度じゃな」

 

バーサーカーが嗤う。その目は既に戦闘狂のそれだ。

 

「しかし……まだまだ甘い」

 

彼が右手を翳すと──八本の首が螺旋を描いて絡み合い始めた。

 

「これはどうかな?」

 

ギュルルルルッ!

 

巨大な渦巻き状の蛇の塊が英雄派を飲み込み──圧殺していく。

 

「ぐふっ……」

 

「うっ……」

 

「……馬鹿な……こんなことが……」

 

残った数人の英雄派幹部たちが膝を突く中──

 

バーサーカーは満足げに哄笑した。

 

「ほれほれ……これでもまだ『英雄』を名乗るか?」

 

彼の足元で瀕死の曹操が呻く。

 

「ぐっ……我々は……負けては……」

 

「負け惜しみか?」

 

バーサーカーが嘲るように踏み躙る。

 

その様子を見て太郎がため息をついた。

 

「やれやれ……バーサーカー……もう十分だろう」

 

「はぁ、相変わらず甘いな」

 

そうして、戦いは止まる。

 

そして。

 

「ははぁ、なるほど、確かにそれだけの英雄を従えれば、王にはなれるだろう。だが、それはお前自身の力ではない事だぞ」

 

「そうだな、確かに俺には力はない」

 

それと共に曹操を睨む。

 

「だからこそ、俺は、誇れる王になる為に歩む。それを続けるだけだから」

次回の王は

  • 妖怪王
  • 機械王
  • 怪獣王
  • 幻想王
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